エネルギーマネジメントシステムとは?法人の省エネに役立つ仕組みと導入方法などを解説

ビジネス関連
2026年5月29日

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは、ビルや工場などの設備のエネルギー使用状況を「見える化」して、運用効率を最適化するためのシステムのことです。企業などの省エネルギーに役立つ仕組みや、エネルギーマネジメントシステムの導入方法などを解説します。

目次

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは

エネルギーマネジメントシステムの定義とは

エネルギーマネジメントシステムとは、エネルギーの使用状況を「見える化」することによって、エネルギーの運用効率を最適化するシステムのことです。

使用状況を「見える化」することで、リアルタイムでエネルギーの使用量や傾向を把握することができるようになり、無駄な電力消費を特定することが可能になります。

このデータに基づいて省エネルギー対策を講じることで、電気料金を削減できます。あわせて、脱炭素社会の実現に寄与することにもつながります。

エネルギーマネジメントシステムの種類とは

エネルギーマネジメントシステムは、対象とする建物や適用範囲に応じて次のような種類があります。

BEMS(Building Energy Management System)は、ビルなどを対象とするシステムです。商業ビルなどの受変電設備や空調、それに照明設備などのエネルギーの最適化を図ります。

FEMS(Factory Energy Management System)は、工場が対象です。BEMSの適用範囲にあわせて、生産設備のエネルギーの最適化を図るシステムです。

HEMS(Home Energy Management System)は一般家庭が対象で、家庭内で使用する設備のエネルギー最適化を図るものです。

MEMS(Mansion Energy Management System)の対象はマンションです。マンション内で使用する設備のエネルギー最適化を、現地または遠隔で管理します。

CEMS(Community Energy Management System)の対象は、地域全体になります。地域内のビルや家庭、工場などをITネットワークなどでつなぐことで、地域全体のエネルギーの最適化を図ります。太陽光発電や風力発電などを活用して、電力需要の予測に基づいて供給量を調整するケースもあります。

エネルギーマネジメントシステムの重要性とは

エネルギーマネジメントシステムの重要性は近年高まっています。背景にはエネルギーの安定供給と、脱炭素社会の実現といった社会的な目標があります。2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、電力供給のバランスが崩れたことで、エネルギーマネジメントシステムを導入する企業が増えました。

さらに、最近では電気料金の高騰によって、重要性はさらに高まっています。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻や、2026年2月のアメリカとイスラエルによるイランへの大規模攻撃などの影響で、石油や天然ガスなど化石燃料の価格が高騰しています。化石燃料を輸入し、依存度も高い日本では、電気料金への影響は避けられません。

企業にとってはエネルギー消費量を減らす取り組みが不可欠な状況で、エネルギーマネジメントシステムの導入は有効な方法の一つになっています。

パソコンで分析している様子のイメージ画像

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の仕組みと導入方法とは

エネルギーマネジメントシステムの仕組みとは

エネルギーマネジメントシステムは、次のような仕組みでエネルギーの使用量を「見える化」します。

まず、センサーやメーターなどでエネルギー使用量を計測します。このデータを、クラウドや専用ソフトに送信します。

送信したデータはAIや分析ツールによって、使用状況がグラフや数値などで「見える化」されます。エネルギーの無駄使いや偏りなどをリアルタイムで把握しながら、効率的な運用ができます。

また、自動制御機能や警告機能によって、エネルギーの無駄使いを抑制します。空調や照明、設備などを最適に管理することで、省エネルギー効果を高めることができます。

エネルギーマネジメントシステムの導入方法とは

エネルギーマネジメントシステムを導入するには、最初に自社の設備を確認して、エネルギー使用量を測定する設備を選びます。その際に、エネルギー効率の目標を設定することや、省エネルギー対策を設定する必要があります。

設備を選んだら、計測器などの設置場所を決めて、エネルギー使用量を計測します。計測したデータを分析して、改善策を立案し、実行します。このサイクルを継続していくことで、省エネルギーに継続的に取り組むことになります。

経済産業省調査によるエネルギーマネジメントシステムの導入事例

前述したように、東日本大震災の発生以降、多くの企業でエネルギーマネジメントシステムの導入が進んでいます。

エネルギーマネジメントシステムの規格に、2011年に発行されたISO50001があります。経済産業省資源エネルギー庁では、ISO50001を導入した企業の事例を調査して、ホームページで紹介しています。詳しくはホームページをご覧ください。

経済産業省資源エネルギー庁:ISO50001導入事例紹介

エネルギーマネジメントシステムのメリットと課題は

エネルギーマネジメントシステム導入のメリットとは

エネルギーマネジメントシステムの導入により、企業はさまざまなメリットを得ることができます。その一つは、建物や施設の電力使用量をリアルタイムで把握できることです。人の手作業では難しいデータの収集も可能で、省エネルギーの取り組みの成果を数字で表すことができます。

加えて、経費削減に取り組めることも大きなメリットです。省エネルギー化が進めば、電力使用量が削減できます。データの分析により稼働効率が低下した機器を特定できるため、最新の機器に切り替えることや、運用方法を見直すことによって、電気料金の削減につなげることができます。

また、省エネルギーに積極的に取り組む企業として評価されることで、投資家や金融機関からの資金調達が有利になる可能性もあります。企業価値や競争力の向上につながることが期待されます。

エネルギーマネジメントのイメージ画像

エネルギーマネジメントシステムの市場規模と補助金は

エネルギーマネジメントシステムの市場は、ハードウェア、ソフトウェア、それにコンサルティングなどのサービスの分野で形成されています。経済産業省によりますと、世界で2021年に768億米ドルだった市場規模が、2028年には2881億米ドル(2026年5月22日時点の日本円で約45.8兆円)に拡大する見通しです。

日本国内では、国や地方自治体などがエネルギーマネジメントシステムの導入を支援する補助金制度を用意しています。代表的なものの一つが、経済産業省による補助金で、省エネ性能が高い設備を導入する際に費用の一部を支援する「省エネ・非化石転換補助金」です。

省エネ・非化石転換補助金 2026年版特設サイト(一般社団法人環境共創イニシアチブ)のトップページ画像

省エネ・非化石転換補助金 2026年版特設サイト(一般社団法人環境共創イニシアチブ)より

この補助金は、工場や事業所全体の省エネルギー化、それにエネルギーマネジメントシステムの導入にも使えます。2026年度はすでに1次公募が終了し、6月上旬から2次公募が始まる予定です。

エネルギーマネジメントシステムの課題は

エネルギーマネジメントシステムの導入には課題もあります。それは、多額の費用がかかることです。BEMSの導入費用は、小規模な店舗やオフィスビルで数百万円からとなっていて、ビルや施設、工場の規模によって導入費用は高くなります。継続してモニタリングを行うための費用も必要です。

また、導入するだけではなく、省エネルギーの効果を最大化するには導入後の運用が重要になります。運用が定着しなければ十分な効果が得られず、無駄な投資に終わってしまうおそれもあります。着実に運用できる体制を構築することが必要です。

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よくある質問

Q.エネルギーマネジメントシステムはどのような施設に導入できますか?

A.住宅、ビル、工場、商業施設、自治体、地域単位など、あらゆる施設で導入できます。

Q.エネルギーマネジメントシステムの導入にはどれくらいの費用がかかりますか?

A.BEMSでは小規模な店舗やオフィスビルで、導入費用は数百万円からです。ビルや施設、工場の規模によって導入費用は高くなります。

Q.エネルギーマネジメントシステムで太陽光などの再生可能エネルギーも管理できますか?

A.管理できます。太陽光などの再生可能エネルギーの管理にも広く活用されています。

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