4パーミル・イニシアチブとは
「4パーミル・イニシアチブ」とはどのような枠組みなのか、まずは根幹となる考え方や注目される背景を解説します。
農業と気候変動対策を結びつける国際的な枠組み
「4パーミル・イニシアチブ」のパーミル(‰)とは、パーセント(%)の10分の1の単位です。4パーミルは「1,000分の4」、すなわち0.4%にあたります。
「世界中の土壌表層の炭素量を毎年0.4%増やすことができれば、人間の経済活動によって大気中に放出されるCO₂の増加分を実質ゼロにできる」というのが、4パーミル・イニシアチブの根幹となる考え方です。

出典: 山梨県
大きな技術革新を待たずとも、農業という日常の営みを通じて気候変動対策に貢献できるという点が、この取り組みの大きな魅力と言えます。
COP21でフランス政府が提唱
4パーミル・イニシアチブは、2015年12月にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)においてフランス政府が主導して提唱しました。
パリ協定が採択されたこのCOP21は、世界が一体となって気候変動対策を進める大きな転換点となったことでも知られています。
農業分野からも脱炭素に貢献できるという視点で生まれたこの枠組みは、その後急速に広がりを見せ、2025年1月時点では日本を含む833の国・国際機関が参画しています。
4パーミル・イニシアチブは、農業国や先進国を問わず、気候変動対策の新たなアプローチとして注目を集めています。
土壌が炭素を蓄える仕組み

出典: 長野県
植物は光合成によって大気中のCO₂を吸収し、炭素を茎や葉、根に蓄えます。植物が枯れたり落葉したりすると、蓄えられた炭素は土壌へ移行しますが、土壌中の微生物に分解され多くの炭素は再びCO₂として大気に戻ってしまいます。
炭素を土壌に長く留めるための手法のひとつが、バイオ炭の活用です。剪定枝やもみ殻を炭化することで、炭素は微生物に分解されにくい安定した形に変わります。
この炭を土壌に混ぜ込むと、長期間炭素を地中に閉じ込めておくことができ、大気へのCO₂放出を大きく抑えられます。
そのほか、地表に下草を生やして土壌を管理する草生栽培や、稲わらなどの有機物を土に加えながら耕すことなども、土壌炭素を増やす農業手法として知られています。
植物が吸収した炭素を、いかに長く土壌に閉じ込めるかが、4パーミル・イニシアチブを実践するカギです。
4パーミル・イニシアチブの効果と意義

4パーミル・イニシアチブによる土壌への炭素貯留がもたらす効果は、CO₂削減にとどまらず、農業や生態系にも広く及びます。
気候変動の緩和策と適応策の両立
4パーミル・イニシアチブが注目される理由は、大気中のCO₂削減(緩和)と気候適応の両面への貢献が期待できる点にあります。
まず、土壌への炭素貯留が進むことで大気中のCO₂濃度の上昇を抑えられます。これは地球温暖化の「緩和策」として直接的な効果をもたらします。
また、土壌有機物が増えることで土壌の保水力が高まり、干ばつなどへの耐性が上がる「適応策」としての効果も期待されます。
農業生産性の向上と環境保全を実現
4パーミル・イニシアチブは、生態系保全・食料安全保障・土壌劣化防止とも深く結びついています。
健全な土壌は農作物の生育に不可欠であり、土壌炭素量の増加は農業生産性の向上にもつながります。草生栽培では土壌の侵食防止や生物多様性の維持といった付加的な効果も農業現場で確認されています。
土壌の健康を守ることは、人間社会の持続可能性を守ることと同義です。4パーミル・イニシアチブはその具体的な行動指針として、世界の農業者・研究者・政策立案者から支持を集めています。
4パーミル・イニシアチブの課題

4パーミル・イニシアチブには、乗り越えるべき課題もあります。
まず、土壌炭素の測定・検証の難しさがあります。土壌の炭素量を正確に計測し、増加を確認するには専門的な技術と継続的な調査が必要です。科学誌「Nature Communications」でも、「年間0.4%という微小な変化を測定することには技術的な限界がある」と指摘されています。
また、概念・名称の難解さも課題です。「4パーミル・イニシアチブ」という名称は農家や流通業者、消費者には伝わりにくく、取り組みの理解・賛同を広めるうえでの障壁となっています。
さらに、農業者の負担も見逃せません。特に、バイオ炭の活用には、炭化に必要な機器の導入など初期費用がかかる側面もあります。農家が継続的に取り組むための支援制度や、経済的なインセンティブの整備が求められています。
日本における4パーミル・イニシアチブの取り組み事例
日本では、農林水産省が「グリーンな栽培体系」推進の一環として4パーミル・イニシアチブを位置づけ、普及を後押ししています。なかでも、先進的な取り組みを進めているのが山梨県です。
山梨県は、2020年4月に国内の都道府県として初めて4パーミル・イニシアチブに参加しました。果樹王国として知られる山梨県は、その特性を活かし、剪定枝のバイオ炭化や不耕起草生栽培を農家と連携して実践しています。

剪定枝を炭化する様子(出典: 山梨県)
また、2021年2月には山梨県の提案により「4パーミル・イニシアチブ推進全国協議会」が設立され、取り組みを全国へ広げるための体制が整いました。
さらに、2021年5月には全国初の「やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度」を制定。土壌炭素貯留の取り組みによって生産された農産物のブランド化を進めています。
認証された農産物や加工品にロゴマークをつける仕組みを導入し、消費者が環境配慮型農産物を選びやすい環境をつくっています。

山梨県の4パーミル・イニシアチブロゴマーク(出典: 山梨県)

4パーミル・イニシアチブロゴマークの使用例(出典: 山梨県)
家庭のCO₂削減は電気の見直しから

4パーミル・イニシアチブが伝えているのは、「日々の小さな選択が地球を変える」という考え方です。
農業者が剪定方法を少し工夫することで土壌への炭素貯留に貢献できるように、私たちも日常の選択を見直すことで、家庭から気候変動対策に参加できます。
なかでも、特に効果が大きいのが「電力会社の切り替え」です。
実は、家庭からのCO₂排出量の約半分は電気の使用に由来します。毎日使う電気を再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力に切り替えることで、家庭からのCO₂排出量を大きく減らせます。
家庭でできる気候変動対策として、まずは毎日使っている「電気」から見直してみましょう。
エバーグリーンの電気でCO₂排出量実質ゼロの生活へ

『エバーグリーン』は、国内有数のバイオマス発電事業者であるイーレックスと東京電力エナジーパートナーが共同で設立した電力会社です。
累計19万件以上の契約実績を持ち(2025年9月末時点)、「環境にやさしい暮らしへの一歩を踏み出したい」とお考えのお客さまに多く選ばれています。
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一般的なファミリー世帯の場合、エバーグリーンへの切り替えによって実現できる環境貢献は以下の通りです。
| 項目 | エバーグリーンへの切り替えによる環境貢献(1世帯・1ヶ月あたり) |
|---|---|
| CO₂削減量 | 約127kg |
| 杉の木の植林効果への換算値 | 約9本分 |
※CO₂排出量は令和5年度全国平均係数(0.423kg-CO₂/kWh)をもとに計算
※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算
日常生活を変えることなく、電力会社の切り替えだけで地球環境に貢献できるのが、エバーグリーンの大きな魅力です。
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土壌の力と再エネの力で、次の世代へ豊かな地球を
4パーミル・イニシアチブは、土壌という身近な存在が気候変動対策の主役になれることを伝えています。
そして、農業とともに暮らしのCO₂を減らすためのもうひとつの選択肢が、再生可能エネルギー電力への切り替えです。
再エネ100%の電気をお届けするエバーグリーンなら、切り替えるだけで手軽に地球環境に貢献できます。
土壌から、そして暮らしから、できることを積み重ねて次の世代へ豊かな地球を手渡しましょう。
4パーミル・イニシアチブについてのよくある質問(Q&A)
Q1. 4パーミル・イニシアチブとは何ですか?
「世界の土壌表層の炭素量を年間0.4%(4パーミル)増やすことで、人間の経済活動によって増加する大気中のCO₂を実質ゼロにできる」という考え方にもとづいた、国際的な農業・土地管理の取り組みです。
2015年のCOP21でフランス政府が提唱し、2025年1月現在で833の国・国際機関などが参画しています。
Q2. 「4パーミル(0.4%)」という数値にはどんな意味があるのですか?
パーミル(‰)はパーセント(%)の10分の1の単位で、4パーミルは0.4%に相当します。
この数値は「世界の土壌有機物を年間0.4%増やすだけで、人間活動によるCO₂排出増加分をほぼ相殺できる」という科学的な試算にもとづいており、取り組みの目標として設定されています。
Q3. 日本では具体的にどのような取り組みが行われていますか?
農林水産省が推進施策として位置づけているほか、山梨県が2020年4月に国内の都道府県として初めて参加しました。
山梨県では、果樹の剪定枝を炭化してバイオ炭として土壌に還元する取り組みや、不耕起草生栽培を実践しています。また、2021年5月には全国初の「やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度」を制定し、取り組み農産物のブランド化も進めています。
Q4. 4パーミル・イニシアチブは本当に効果があるのですか?
土壌への炭素貯留による気候変動対策の可能性は科学的にも注目されています。ただし、土壌炭素量の測定・モニタリングには技術的な課題もあり、効果を定量的に証明する手法の確立が今後の重要な課題です。
Q5. 一般の消費者にできることはありますか?
4パーミル・イニシアチブ認証農産物などを選ぶことで、土壌を守る農業を支援できます。また、家庭の電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替えることも、CO₂削減に直結する有効な行動のひとつです。
- 出典:
- 山梨県|4パーミル・イニシアチブについて
- 農林水産省|4パーミル・イニシアチブ普及推進協議会
- 山梨県|やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度
- 山梨県|4パーミル・イニシアチブ推進全国協議会
- 農林水産省|グリーンな栽培体系
- 長野県|農地への炭素貯留(4パーミル・イニシアチブ)
- 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構|やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等 認証制度について
- 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構|プレスリリース (研究成果) 世界の乾燥地域では、農地土壌の炭素量増加により穀物生産の干ばつ被害が軽減
- 環境省ローカルSDGs-地域循環共生圏づくりプラットフォーム|農業分野での脱炭素化の取り組み 4パーミル・イニシアチブ
- 全国地球温暖化防止活動推進センター|パリ協定
- 株式会社セイコーステラ「セイコーエコロジア」|草生栽培とは?果樹園における土壌管理について
- チバニアン兼業農家学校|草生栽培の秘密最先端の持続可能農法
- The International “4 per 1000” Initiative|Discover
- The International “4 per 1000” Initiative|Agriculture and Climate Change
- Nature Communications|Towards a global-scale soil climate mitigation strategy
