ブラックペレットとは?ホワイトペレットとの違いやメリット・課題、国内の取り組みを解説

ライフスタイル
2026年10月1日

ブラックペレットは、木質バイオマスを半炭化して作る、石炭に近い性質を持った固形燃料です。この記事では、ブラックペレットの仕組みとホワイトペレットとの違い、メリットと課題、国内企業の商用化に向けた取り組みを解説します。

目次

ブラックペレットとは

ブラックペレットとは、木材などのバイオマスを半炭化処理し、圧縮して成型した固形燃料です。発熱量や取り扱いやすさが石炭に近く、既存の石炭ボイラーを改修せずに使えることから、石炭の代替燃料として注目されています。

半炭化(トレファクション)とは、木質バイオマスを酸素の少ない環境で約200〜300℃に加熱する処理です。木を蒸し焼きにするイメージで、この工程で水分や揮発成分があらかじめ取り除かれ、白っぽかった木材は石炭のような黒褐色に変わります。この色が「ブラック」の由来です。

半炭化を経た木材は、生の木材を固めただけの燃料に比べて、発熱量が高く、水に強く、石炭と同じように細かく砕きやすい燃料になります。

ブラックペレットを燃やしてもカーボンニュートラルとみなされる理由

ブラックペレットも燃やせばCO₂を排出します。それでもカーボンニュートラルな燃料とみなされるのは、原料の木が成長する過程で、燃焼時に出るのと同じ量のCO₂を吸収しているためです。

地中の石炭を燃やすと、大気中のCO₂は一方的に増えます。一方、木質バイオマスは「吸収して、燃やして、また育てる」循環の中で炭素が回るため、全体で見れば大気中のCO₂の量に影響を与えません。

ブラックペレットとホワイトペレットの違い

木質ペレットとの違いがわかるブラックペレットの接写

従来から普及している木質ペレットは、木材を乾燥・圧縮しただけの淡い色をした燃料で、ホワイトペレットと呼ばれます。ブラックペレットは、このホワイトペレットの弱点を半炭化によって改良した燃料です。両者の違いを詳しく見てみましょう。

項目ホワイトペレットブラックペレット
製法木材を乾燥・粉砕・圧縮成型半炭化(加熱)処理後に粉砕・圧縮成型
外観木肌本来の淡い白色〜茶色石炭に似た黒褐色
発熱量約16MJ/kg以上約20MJ/kg以上(石炭と同等の製品もある)
耐水性水に弱く崩れるため水分管理が必要疎水性があり、屋外での野積み保管が可能
粉砕性繊維質が残り、石炭用ミルで砕きにくい脆く崩れやすく、石炭用ミルで微粉化できる
石炭との混焼率設備の制約で数%程度既存設備を改修せず最大30%〜35%程度

※製造工程は製品やメーカーによって異なります

まず大きく違うのが発熱量です。ホワイトペレットの単位体積あたりの発熱量は約16MJ/kg(灯油や重油の3分の1程度)以上ですが、ブラックペレットは約20MJ/kg(石炭と同等の発熱量)以上を持ちます。

次に、保管と粉砕のしやすさです。ホワイトペレットは水を吸うと崩れてしまいますが、ブラックペレットは疎水性があるため、石炭と同じように屋外に野積みできます。石炭用の粉砕機でそのまま砕けるのも大きな違いです。

この3つの性質が揃うことで、石炭火力で混ぜて燃やせる量が大きく変わります。ホワイトペレットでは数%程度にとどまっていた混焼率が、ブラックペレットなら設備を改造せずに最大30〜35%程度まで引き上げられます。

石炭火力との相性の良さから、脱炭素社会の実現に貢献する燃料として期待されています。

ブラックペレットが注目される理由・メリット

ブラックペレットの最大の強みは、石炭に近い性質がそのまま導入のしやすさにつながる点です。主なメリットを4つ解説します。

既存の石炭火力発電所を改造せずに使える

石炭火力発電所には、石炭を細かく砕く粉砕機(ミル)や搬送配管、屋外の貯炭場といった設備がすでに整っています。ブラックペレットは発熱量・粉砕性・疎水性が石炭に近いため、これらの設備をそのまま生かせます。

出光興産によると、既存の石炭燃焼設備を改造せずに最大35%を石炭から置き換えられ、技術的には専焼も可能です。新しい専用設備を建てる必要がないため、設備投資を抑えながら脱炭素化を進められます。

雨に強く屋外でも保管できる

ブラックペレットは疎水性があり、雨に濡れても崩れにくい燃料です。そのため、石炭と同じ屋外の貯蔵設備をそのまま活用でき、専用の屋内倉庫を新設する必要がありません。

高い耐水性によって野積み保管が可能であることも、従来のホワイトペレットに比べて扱いやすい点のひとつです。

少ない量で多くのエネルギーを運べる

半炭化によって発熱量が増えるため、同じ体積でより多くのエネルギーを運べます。原料の産地から発電所までの輸送コストを低減できることは、半炭化の主なメリットのひとつです。

海外で生産して日本へ海上輸送する事業モデルが成り立つのも、この輸送効率の高さがあるためです。

使われていない森林資源を活かせる

ブラックペレットの原料には、間伐材、製材工程の端材、のこくずなど、これまで活用されてこなかった木材が使えます。樹皮(バーク材)を原料にする方式も開発されています。

国産の未利用材を燃料に変える取り組みは、脱炭素だけでなく、国内林業や地域産業の活性化にもつながります。

ブラックペレットの普及に向けた課題

木材と植物のそばに置かれた木製ボウルいっぱいのブラックペレット

導入効果が高い一方で、ブラックペレットには課題もあります。主な課題を3つ解説します。

製造に手間とコストがかかる

ブラックペレットは、ホワイトペレットの製造工程に加えて、半炭化という加熱処理の工程が必要です。専用の熱分解装置が必要になるため、一般的な木質ペレットより初期投資や製造単価が高くなりがちです。

製造コストの低減は各社の技術開発のテーマになっており、過熱蒸気を利用して従来型より低コストで製品化する技術なども登場しています。

混焼率には上限がある

既存設備を改造せずに使える混焼率は、最大30〜35%程度が目安です。実際の発電所では、まだ石炭の一部を置き換える段階にあります。

石炭火力のCO₂排出をさらに減らすには、専焼化や設備側の対応が必要になります。

原料の安定確保が前提になる

大型の石炭火力で使う燃料をブラックペレットで賄うには、膨大な量の木材が必要です。林野庁によると、2024年の国内の木質ペレット全体の生産量は15.2万トンに対し、輸入量は638.1万トンと約42倍にのぼります。

実際に、原料に北米産のホワイトペレットを使う事例や、ベトナムなど海外に生産拠点を置く事例が多く、大切な森林資源を保護しつつ、原料をどう安定確保するかが問われています。

ブラックペレット商用化に向けた国内企業の取り組み

課題を抱えながらも、日本ではブラックペレットの商用化に向けた動きが着実に進んでいます。代表的な3つの取り組みを紹介します。

出光興産:ベトナムで年12万トンのブラックペレット工場が稼働

出光興産は、ベトナム・ビンディン省に年間生産量12万トンのブラックペレット製造工場を建設し、2025年10月に商業運転を開始しました。製品は「出光グリーンエナジーペレット」の名称で、日本の石炭需要家に石炭の代替燃料として供給されます。

同社は2030年代に年間300万トンの供給を目指しており、環太平洋のさまざまな地域で生産拠点を拡大する計画です。海外で生産し、国内の石炭火力へ供給するモデルの先行事例といえます。

UBE三菱セメント:国内最大級の年6万トン製造と製鉄分野への展開

UBE三菱セメントは、山口県宇部地区の既存設備で2019年12月からブラックペレットの製造を続けており、年間60,000トンの製造能力は国内最大級です。製造したペレットは、発電所での石炭との混焼に使われています。

2025年5月には神戸製鋼所との共同事業化検討を開始し、製鉄原料としての活用を視野に合弁会社の設立を目指しています。発電以外の分野でブラックペレットを使う動きが、具体的に動き出しています。

UBE三菱セメントのブラックペレット

UBE三菱セメントが独自技術で商品化した『MUCCトレファイドペレット®』

(出典: UBE三菱セメント)

熊谷組・清本鉄工:国産樹皮を原料にした国内初の工場が愛媛県で竣工

熊谷組と清本鉄工が開発したブラックバークペレットは、国産の樹皮(バーク材)を原料にした国内初のブラックペレットです。両社と神鋼商事の共同出資会社ローカルエナジーシステムが、愛媛県西条市に年間約30,000トンの製造工場を建設しました。

愛媛県西条市に建設されたブラックペレットの製造工場

出典: 熊谷組

工場は2026年6月に竣工し、試運転を経て10月に商業運転を開始する予定です。愛媛県内を中心とした地域材を原料にするため、脱炭素だけでなく森林資源の価値化や地域産業の活性化にもつながる取り組みです。

暮らしの脱炭素はエコな電気への切り替えから

植物と自然光に囲まれた電球。環境に優しい電気のイメージ

ブラックペレットは発電所で使われる燃料で、私たちが直接扱うものではありません。一方、家庭でできる脱炭素の第一歩が「どんな電気を選ぶか」の見直しです。環境に配慮した電気を使いたい方におすすめなのが、新電力『エバーグリーン』です。

エバーグリーンは、国内有数のバイオマス発電事業者であるイーレックスと東京電力エナジーパートナーの共同出資により設立された電力会社で、累計契約件数は20万件を超えています(2026年6月末時点)。すべてのプランで再生可能エネルギー100%のエコな電気を提供しており、ご家庭の電気使用に伴うCO₂排出量を実質ゼロにできます。

エバーグリーンなら、毎月杉の木9本分のCO₂を減らせる

家庭から排出されるCO₂のうち、約半分は電気の使用によるものといわれています。電気を変えることは、家庭でできる脱炭素対策の中でも効果の大きい取り組みのひとつです。

ご家庭の電力会社をエバーグリーンに切り替えると、一般的なファミリー世帯では1ヶ月あたり約127kgものCO₂排出量を削減できます(月300kWhを使用する場合)。これは、杉の木およそ9本分の植林効果に相当します。

※CO₂排出量は令和5年度全国平均係数(0.423kg-CO₂/kWh)をもとに計算

※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算

ブラックペレットが発電所の脱炭素を進める燃料なら、再エネ100%の電気を選ぶことは、暮らしの脱炭素を進める選択です。電気の使い方は今日と同じまま、家庭からのCO₂排出量を減らして地球に優しい暮らしを始められます。

基本料金0円のスマートゼロプランなら家計にも優しい

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電気の使い方はそのままに、家計の負担も抑えながら、地球に優しい暮らしを手に入れる。そんな毎日を、ぜひエバーグリーンで始めてみてください。

一人ひとりの選択で、暮らしの脱炭素を進めよう

ブラックペレットは、木質バイオマスを半炭化して石炭に近い性質を持たせた燃料です。既存の石炭火力設備を改造せずに使えるため、設備を止めずに脱炭素を進める手段として期待され、国内でも商用生産が始まっています。

発電所の燃料が変わり始めているいま、私たちも家庭の電気を再エネ100%に切り替えて、暮らしの脱炭素を一歩進めてみましょう。

ブラックペレットについてのよくある質問(Q&A)

ブラックペレットとホワイトペレットの一番大きな違いは何ですか?

製造工程で半炭化処理を行うかどうかです。ブラックペレットは半炭化によって水分や揮発成分を取り除いているため、ホワイトペレットより発熱量が高く、水に強く、石炭用のミルで砕きやすい性質を持ちます。

ブラックペレットはなぜ黒い色をしているのですか?

酸素の少ない環境で比較的低い温度で焙煎する半炭化処理を経ることで、木材が黒褐色に変わるためです。加熱前の白っぽい木質ペレットがホワイトペレット、加熱処理したものがブラックペレットと呼ばれます。

ブラックペレットを燃やしてもCO₂は増えないのですか?

燃焼時にはCO₂を排出しますが、原料の木が成長する過程で同じ量のCO₂を吸収しているため、全体で見れば大気中のCO₂の量に影響を与えないカーボンニュートラルな燃料とされています。

ブラックペレットは日本国内でもつくられていますか?

UBE三菱セメントが山口県宇部地区で年間60,000トンを製造する国内最大級の設備を2019年12月から稼働させています。また、国産の樹皮を原料にしたブラックバークペレットの国内初の工場が2026年6月に愛媛県西条市で竣工し、10月に商業運転を開始する予定です。

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