JEPXとは?仕組みや価格の決まり方をわかりやすく解説

2023年05月06日

JEPXをご存じでしょうか?あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、実は私たちの暮らしに関係があります。今回は、JEPXがどういうものなのか、簡単にご説明します。

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JEPXとは、「Japan Electric Power Exchange」の略称で、日本語では、「日本卸電力取引所」といいます。2003年に設立されました。

「取引所」という名前の通り、JEPXは電気を取引できる市場です。日本国内では、唯一ここで電気の売り買いができます。

JEPXは、発電事業者などが電気を売りに出し、電気が欲しい小売事業者などが電気を買う仕組みで成り立っています。

30分単位で電気の取引が行われており、売手と買手が入札するそれぞれの数量と価格によって電気の価格が決まります。

JEPXで電気の取引をするには、取引会員になる必要があります。取引会員になるためには設けられている要件を満たす必要があり、基本的には一般の消費者は参加できません。

取引会員数は2023年4月時点で279社です。

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JEPXには、さまざまな電力取引市場があります。

いったいどんな取引市場があり、どのように電気が買えるのでしょうか。この項目で見てみましょう。

一日前市場(スポット市場)

一日前市場(スポット市場)は、次の日に受け渡しする電気を取引する市場です。

1日の電力を30分単位で分割し、48個の商品として取引します。必要な時間帯のみ電気の売買ができます。

価格は、ブラインド・シングルプライスオークションという方式で決まります。

ブラインド・シングルプライスオークションとは、入札価格に関係なく、約定価格で取引される方式です。

たとえば、10円/kWhで売りの入札を出していても、約定価格が15円/kWhであれば、15円/kWhで売られます。

ブラインドとは、入札時にほかの参加者の入札状況が見えないことを指します。つまり、誰がどんな約定価格を出したかを見ることはできないのです。

スポット市場は、JEPXで主要となる市場です。

当日市場(時間前市場)

当日市場(時間前市場)は、調整の場という位置付けで設けられている市場です。

基本的にはスポット市場で電気の取引を行いますが、例えば設備の故障で計画通り発電できなかったり、気温の変化によって想定以上の電気が必要になるようなケースがあります。

そのような場合に、電気を追加で売買できるのが、時間前市場です。

時間前市場でもスポット市場と同じく、電力は30分単位で取引を行います。

先渡市場

先渡市場は、1週間後や1ヶ月後など、将来の特定期間に受け渡しする電気を取引する市場です。

スポット市場では30分毎に価格が決まりますが、変動する価格を事前に固定化したい場合にこの先渡市場が利用されます。

価格変動のリスクを抑えて電気を取引したい場合に向いています。

受け渡しできる期間は、1年間・1ヶ月間・1週間の3つです。

受け渡し期間が1年間のものを「年間商品」、1ヶ月のものを「月間商品」、1週間のものを「週間商品」といいます。

ベースロード市場

ベースロード市場は、その名の通り、「ベースロード電源」を取引する市場です。

ベースロード電源とは、コストが安く、かつ、安定的に発電できる電力源のことで、石炭火力や原子力発電などを指します。

ベースロード電源は、日本全体の供給力の9割弱もの量を大規模電気事業者(旧一般電気事業者・電発)が占めていました。

そのベースロード電源に新電力もアクセスしやすくしようという考えで生まれたのが、ベースロード市場です。

創設時期は2019年7月で、年4回のオークションがJEPXにおいて開催されることになりました。

現在では、7月・9月・11月・1月に開催されています。

非化石価値取引市場

「非化石価値」とは、発電時に二酸化炭素を排出しない「環境的な価値」のことです。

石油や石炭、天然ガスなどを使用した発電方法を「化石電源」と呼ぶのに対し、太陽光やバイオマスなど、化石燃料に頼らない方法で発電するものを「非化石電源」といいます。

化石電源は発電時に二酸化炭素が発生してしまうため、地球温暖化を促進する原因の一つとして考えられています。

一方、非化石電源は発電時に二酸化炭素を排出しないという特徴があり、それを「非化石価値」といいます。

非化石電源で発電された電気から、「環境的な価値」を切り離して証書化したものが「非化石証書」で、非化石価値取引市場ではその非化石証書が売買されています。

電力会社にはさまざまな電力プランがあり、電気料金はそれぞれ異なっています。

電気料金の決め方にもいろんな方法がありますが、この記事でご紹介したJEPXの市場価格を参考にした電気料金プランもあります。

エバーグリーンの電気料金の特徴

新電力『エバーグリーン』では、2023年の春に、下記のように電気料金の算定方法を改定しました。

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新しく設けられた「電源調達調整額」にあたる部分が、JEPXの取引価格に連動します。

電源調達調整額は、市場価格次第でお客さまの電気料金に加算・減算するものとなっています。市場価格が高騰した場合、プラス調整されることにより電気料金が高くなる可能性がある一方で、市場価格が安くなる場合は、電源調達調整がマイナス調整されることにより電気料金が安くなります。

また、エバーグリーンでは、日々の市場価格がそのまま電気料金に反映される一般的な市場連動型とは違い、過去1カ月間の市場価格を単純平均した価格が電気料金に反映する仕組みを採用しています。

そうすることで、瞬間的に高値をつける「スパイクリスク」がお客様の電気料金に反映されにくいという、メリットがあります

また、使用前に単価がある程度分かるというのも利点のひとつです。

エバーグリーンのホームページはこちら >>

難しく感じるJEPXですが、仕組みが分かればとても簡単です。分かりにくいな、と感じている方は、「電気の市場」と覚えておいてください。電力関係のニュースが少し分かりやすくなるかもしれません。

私たちの暮らしにより良い電気を届けるために、いつも電気が取引されています。エバーグリーンをはじめとする新電力も活用しながら、私たちも自分自身で電気を選んで使いましょう。

(出典)

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