世界の水問題の現状・原因とは?解決に向けた取り組みと私たちにできること

2023年11月20日

日本に住んでいると、水問題を身近に感じることはなかなかないかもしれません。しかし、世界に目を向けてみると、不衛生な飲み水や水不足で苦しんでいる人々がたくさんいます。世界の水問題の現状・原因を知って、解決のために私たち一人ひとりができることを考えてみましょう。

環境に優しい、エバーグリーンの「CO₂フリープラン」

『エバーグリーン』は、東証プライム市場上場のイーレックスグループの一員で、電力事業20年以上の実績がある老舗の新電力です。

エバーグリーンの「CO₂フリープラン」に加入すると、電気を使用したときのCO₂排出量が実質ゼロになります。

CO₂フリープランの詳細はこちらからご覧いただけます。

現在、世界ではどのような水問題が起こっているのでしょうか?まずは、世界の水問題の現状を見てみましょう。

安全な飲み水が手に入らない人は世界で約22億人

衛生的に管理された安全な水は、私たちが健康的に生きていくためには欠かせないものです。

日本では、蛇口をひねればきれいな水が簡単に手に入りますが、世界中には、安全に管理された飲み水を使用できずにいる人が22億人もいます

このうち、2億9,600万人は、人や動物の糞尿から保護される構造を持たない水源を使用しており、1億1,500万人は湖・河川・用水路などの未処理の地表水を使用しているのが現状です。

安全に管理されていない水は、寄生虫や病原体などを含んでいるため、飲み水として利用するには大変危険です。

しかし、世界にはそのような危険な水を飲用水として利用したり、料理・手洗いなどに利用したりせざるを得ない人々もいます。

特に、抵抗力の低い子ども達への影響は甚大で、汚染された水が引き起こす下痢などの病気で毎日900人以上の5歳未満の子どもが命を落としています

世界には深刻な水不足に苦しむ地域も

水不足は日本ではあまり馴染みのない問題かもしれませんが、世界には深刻な水不足に直面している地域もあります。

世界の水不足の現状と、将来的に起こり得る水不足問題について解説します。

限りある水資源

地球は「水の惑星」と呼ばれるほど、水を豊富にたたえた星です。

地球の表面積の75%を海が占めており、総量にして約14億km3の水が存在しています。

そんな地球上でなぜ水不足が起こるのか、不思議に思う人もいるでしょう。

しかし、実は地球上にある水の約97.5%は海水であり、私たちが生きていくために必要な淡水はたったの2.5%しかありません。

しかも、その淡水の多くは氷河や地下水として存在しており、河川など人間が取水しやすい形で存在する淡水はわずか0.01%のみです。

地球上にあるすべての水が浴槽1杯分(約200L)だとすると、人間が利用できる水はスプーン1杯分(約20ml)ほどしかないことになります。

地球上には水が豊富に存在することは間違いありませんが、私たちが生きていくために使用できる水資源は非常に限られているのです。

発展途上国や乾燥地帯は水ストレスが高い傾向に

「水ストレス」という言葉を聞いたことがありますか?

水ストレスとは、水需給が逼迫している状態の程度を表わすもので、「人口一人当たりの最大利用可能水資源量」が水ストレスの指標としてよく用いられます。

「人口一人当たりの最大利用可能水資源量」の最低基準は年間1,700m3/人とされており、この基準を下回ると「水ストレス下にある状態」と判断されます。

国連の「The United Nations World Water Development Report 2015」では、発展途上国や乾燥地帯において、深刻な水ストレス下にさらされている地域が多いことが示されました。

2050年には世界中で約50億人が水不足に陥る可能性がある

水不足に苦しむ人の数は、今後も増えることが懸念されています。

「世界人口白書2023」によると、2022年11月時点で世界人口は約80億人を突破しました。

国連の報告書では、2050年には世界人口がさらに増え、約97億人になると予測されています。

さらに、世界気象機関(WMO)によって、そのうちの約半数にあたる50億人が水不足になるという試算が発表されました。

2018年には36億人いたとされる水不足人口が、2050年には約40%増える見通しで、将来的に水不足がさらに深刻化する可能性があります。

水不足が進行すれば、私たちの健康が脅かされるだけでなく、生態系への深刻な影響も避けられません

水問題は深刻な水紛争を引き起こすことも

深刻な水問題は、国同士の対立・紛争の引き金になることもあります。

日本では「水を奪い合う」といってもピンと来ないかもしれませんが、世界では、水資源の配分問題や水質汚染問題などが原因で紛争に発展するケースも珍しくありません

例えば、インダス川の水所有権を巡るインド・パキスタンの紛争や、ナイル川のダム建設と水配分を巡るエジプト・スーダン・エチオピアの対立などが挙げられます。

こうした紛争は水ストレスの高いアジアやアフリカなどの地域で多く発生していますが、過去にはコロラド川の水の過剰利用・汚染を巡ってアメリカ・メキシコ間で紛争が起こるなど、水ストレスの低い地域でも散見されています。

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水問題を引き起こす原因には、次のようなものが挙げられます。

  • 人口増加に伴う水使用量の増加
  • 温暖化による気候変動
  • 水源の破壊や水質汚染
  • 紛争による水関連施設の破壊

ひとつずつ見ていきましょう。

人口増加に伴う水使用量の増加

現在、世界人口は増加の一途を辿っており、2050年には約97億人になる見込みです。

しかし、当然ながら水資源には限りがあります。

人口が増えればその分水の使用量が増え、水不足がより深刻になることが懸念されます

さらに、人口増加に伴う経済発展により、産業分野で必要とされる水の量も増加。

過去には、1960年~2000年の40年間で、世界人口は30億人から60億人と約2倍に増えましたが、同時に農業・工業・家庭利用を合わせた世界の水使用量も約2倍に増加しました。

人口が増えると、家庭利用だけでなく、農業や工業といった産業分野でも水使用量が増えるため、水不足がより一層起こりやすくなります

温暖化による気候変動

地球温暖化による気候変動も、水問題を深刻化させる大きな原因です。

人間が利用できる水の量は降雨量に依存しています。

気候変動によって雨の強度・頻度が変化すると、大雨や干ばつなどのリスクが増大し、人間が利用できる水の量に大きな影響を及ぼします

また、温暖化による冬季の降雪量の減少や、融雪時期の早期化も懸念点のひとつです。

冬の間に降った雪は、春・夏まで地表面に水資源を保持しておく役割がありますが、積雪量が減ったり、融雪時期が早まったりすることで、春や夏に利用できる水資源が減少してしまう可能性があります。

水資源は、必要なときに必要な量を確保できることが重要です。

1年を通して見れば水資源量に問題のない地域でも、季節単位・月単位では水不足に直面する恐れがあります。

水源の破壊や水質汚染

都市開発に伴う森林伐採などの水源破壊も、水不足を引き起こす原因です。

森林の土壌には水を蓄える働きがあるため、昔から、水不足を防ぐには森林保全が重要であると考えられてきました。

しかし、保水機能のある森林が都市開発による伐採で減少し、水不足に拍車をかけています

また、発展途上国においては、水道や下水道、トイレなどの衛生設備が整っていないことが原因で水質汚染が引き起こされている国も多数あります。

水質汚染は安全な飲み水の確保を困難にするだけでなく、水不足の原因にもなる深刻な問題です。

紛争による水関連施設の破壊

世界では水問題を原因とする対立が多数起こっていますが、こうした対立が武力紛争に発展した結果、水問題が新たに発生・深刻化するケースもあります。

例えば、武力紛争が起こった場合、敵の給水を断つために浄水場や井戸などが狙われたり、空襲や爆撃などにより水関連施設が破壊されたりすることがあります

イエメン紛争では、フーシ派が支配する都市の水道が、敵対するサウジアラビアなどの空襲によりほぼ全壊。

深刻な水不足をもたらしたことに加え、国内でコレラなどの感染症が著しく増加する事態に陥りました。

水問題の解決に向けて、世界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?

ここでは、国連及び国際NGO組織による活動をご紹介します。

【国連】SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」

2015年に開かれた「国連持続可能なサミット」では、持続可能な開発目標・SDGsが採択されました。

SDGsの17の目標のひとつに定められているのが「目標6:安全な水とトイレを世界中に」です。

安全な飲み水への普遍的なアクセスや、下水・衛生施設へのアクセス、水不足に陥る人の数を大幅に減少させることなどを示した8つのターゲットを設定し、すべての人々が安全な飲料水やトイレなどの衛生施設を利用できるようにするための取り組みを推進しています

また、国連では、水問題に対する関心を高め、解決のための取り組みを促すことを目的として、2018年から2028年を「水の国際行動の10年」に位置付けています。

【国連】ユニセフの活動

国連ではユニセフ(UNICEF:国連児童基金)による活動も積極的に行っています。

ユニセフでは、安全な飲用水を届けるために井戸などの給水設備を作ったり、衛生的な生活に欠かせないトイレを設置したりするなどの活動を実施。

また、学校などを通して、石けんを使った手洗いなどの衛生習慣を広める活動も進めています。

【民間団体】ワールド・ビジョンの活動

国際NGOワールド・ビジョンは、2030年までにすべての人が安全かつ衛生的な水を利用できるようにすることを目指して、さまざまな取り組みを実施しています。

浄化槽や水タンクなどの設備を設置するといった物理的な支援の他、地域の人々が水資源を自主管理できるよう住民組織の立ち上げ・運営を支援したり、きれいな水の重要性や手洗いの方法などを普及活動を行ったりしています。

世界の水問題を解決するために、日本でも政府や民間企業がさまざまな取り組みを実施しています。

資金面・技術面における、日本の水問題の取り組み事例をご紹介します。

水・衛生分野における日本のODA

安全な水と衛生分野における日本のODAは、1990年代から累計で世界トップの実績を誇っています

援助額は、アメリカやドイツなどを上回る57億4500万ドルです。

具体的な支援内容として、総合的な水資源管理の推進や、衛生施設の整備、専門家の派遣および途上国からの研修員受入れなどを行っています。

資金・技術両面からの援助を通して、発展途上国で安全な水を普及させるための活動を継続して実施しています。

海水淡水化技術

世界的な水不足問題が懸念されている今、注目を集めるのが「海水淡水化技術」です。

地球上に存在する水の約97%を占める海水から淡水を得る技術で、世界的な水不足問題の解消に貢献できる手段として、日本国内でも研究が進められています

海水を淡水化する方法としては、蒸発法と逆浸透膜法(RO膜法)が実用化されていますが、特に日本が世界で評価されているのが、RO膜による淡水化技術です。

実際、RO膜市場においては、世界シェアの60%以上を日本メーカーが占めています

例えば、東レ株式会社では、RO膜を使った海水淡水化装置を開発し、インドネシアやパプアニューギニア、シンガポール、バングラデシュなど、世界各地で海水淡水化システムの導入を進めています。

下水浄化処理技術

水問題を解決し、循環型社会を構築するために重要視されているのが、下水の再生技術です。

株式会社クボタでは、MBR(膜分離活性汚泥法)を用いた下水の浄化処理技術を開発し、中東地域など世界中で導入を進めています

水ストレスが高い傾向にある中東などでは、かんがい用水や公園などの修景用水として再生水を利用することで、貴重な飲み水の確保に役立てています。

生物浄化法

生物浄化法とは、微生物による浄化作用(自然界での水浄化の仕組み)を活用して安全な水を作り出す方法です。

ランニングコストが低くメンテナンスが容易であることから、発展途上国でも導入しやすい技術として注目されています。

国内メーカーではヤマハ発動機株式会社が、生物浄化法を用いた小型浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム」を開発。

アジア・アフリカなど、水問題に悩む地域に導入しています。

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水問題を解決するために、世界各国や企業がさまざまな対策を講じています。

しかし、世界的な水問題を解消するためには、私たち一人ひとりの取り組みも必要不可欠です。

ここからは、水問題解消に向けて、私たちが日常生活の中でできる取り組みをご紹介します。

節水を心がける

普段の水の使い方を見直して節水を意識することは、SDGs目標6を達成するための第一歩です。

例えば、シャワーや歯磨きの際に水を出しっぱなしにしているなど、普段の生活の中で何気なく水を無駄遣いしているケースも意外と多いものです。

シャワーの場合、3分間出しっぱなしにしていると36Lもの水を使用するといわれています。

シャワーヘッドを節水タイプのものに替えたり、水をこまめに止めたりして、節水を心がけましょう

他にも、洗濯回数を減らす、お風呂の残り湯を再利用するなどの対策も有効です。

節水については、こちらの「自宅で簡単にできる節水方法10選 | 実践して節約に繋げよう」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

生活排水の汚れを極力減らす

水質汚染を防ぐためには、生活排水中の汚れを減らすように心がけることも重要です。

食器や調理器具についた油汚れは、そのまま排水として流してしまうと、河川や海の水質汚染に繋がってしまいます。

食器類の汚れはキッチンペーパーで拭き取ってから洗うことなどを、ぜひ日頃から意識してみましょう。

加えて、石けんや洗剤の使いすぎにも注意が必要です。

地球温暖化対策に取り組む

前述の通り、温暖化による気候変動も、水問題に大きな影響を及ぼしています。

地球温暖化の主な原因とされているのは、温室効果ガスのひとつであるCO₂です。

普段の生活の中にCO₂排出量を減らす行動を取り入れることで、地球温暖化、ひいては水問題の解決に繋がります

CO₂の排出量を減らす対策には、

  • 省エネタイプの家電を選ぶ
  • 使用していないコンセントを抜く
  • エアコンの設定温度を見直す
  • 冷蔵庫に詰め込み過ぎないようにする
  • できるだけ公共交通機関を利用する

などが挙げられます。

日常生活の中で無理なく取り組めることも多いので、ぜひ普段から温暖化対策に繋がる行動を意識してみましょう。

地球温暖化対策をいくつかご紹介しましたが、実は、普段使っている電気を見直すことも、水問題の解決に繋がります。

なぜ電気を見直すことが、水問題の解決に役立つのでしょうか?分かりやすく解説します。

家庭からのCO₂排出量1位は「電気」

全国地球温暖化防止活動推進センターによれば、2021年度における家庭からの年間のCO₂排出量は、1位が電気(46.8%)、2位がガソリン(23.0%)、3位が都市ガス(9.9%)です。

家庭からのCO₂排出量の約半分は電力使用によるものなので、普段の生活で節電を意識することが、家庭からのCO₂排出量の削減に有効であることが分かります。

家庭でできる節電アイデア10選!今すぐ実践しよう

CO₂フリー電気への切り替えでCO₂排出量を削減可能

節電が重要とはいっても、仕事や家事・育児に忙しい毎日では、こまめに節電を心がけることが難しい場合もあるでしょう。

そのような場合は、いつも使っている電気をCO₂フリーのものに切り替えることをおすすめします。

CO₂フリー電気とは、温室効果ガスであるCO₂を排出しない“環境に優しい電気”のことです。環境問題が叫ばれる昨今において、高い注目を集めています。

前述の通り、家庭からの年間のCO₂排出量の約半分は、電力の使用によるものです。

そのため、毎日使う電気をCO₂フリーのものに切り替えるだけで、特別に節電を意識しなくても、家庭からのCO₂排出量を大幅に削減できる可能性があります

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20年以上の電力事業実績を誇る老舗の新電力『エバーグリーン』では、電力使用によるCO₂排出量が実質ゼロになる「CO₂フリープラン」をご提供しています。

エバーグリーンのCO₂フリープランに切り替えることで、削減できるCO₂排出量は、一般家庭で年間1,785kg-CO₂。

その削減量は、杉の木約130本が1年間に吸収するCO₂量に相当します。

※300kWh/月×12か月×0.496kg-CO₂/kWh(平成29年度全国平均係数)より算出 ※杉の木1本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)

普段通りの生活をしながら、温暖化対策、さらには水問題対策にも取り組めるのがメリットです。

世界の水問題解決に向けて、個人でも何か取り組みたいと考えている方は、ぜひエバーグリーンのCO₂フリープランを検討してみてはいかがでしょうか?

エバーグリーンのホームページはこちら >>

日本で暮らしていると水問題を実感することは少ないかもしれませんが、世界に目を向けてみると、安全な飲み水を確保できない地域や、水不足に苦しんでいる地域がたくさんあります。

水問題の解決に向けて、世界はもちろん、日本でもさまざまな技術的・経済的支援を行っていますが、水問題を解決するためには、私たち一人ひとりの主体的な取り組みも欠かせません。

普段から節水を意識したり、生活排水の汚れを減らしたりするなど、限りある水資源を無駄にしないよう心がけることが重要です。

また、水問題に拍車をかける大きな要因のひとつには、地球温暖化もあげられます。地球温暖化を防ぐための取り組みを実施することも、水問題解消への一歩に繋がります。

普段使っている電気をCO₂フリーのものに変えるなど、まずは手軽にできることから始めてみましょう。

エバーグリーンのホームページはこちら >>

(出典)

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