地熱発電のメリット・デメリットとは?発電の仕組みと日本が抱える課題も解説

2023年11月20日

地熱発電は、発電時にCO₂をほとんど排出しない再生可能エネルギーのひとつです。日本が持つ豊富な地熱資源を活用して発電できる純国産エネルギーで、持続的かつ安定して発電できる点が注目されています。この記事では、地熱発電の仕組みとメリット・デメリットをご紹介します。

そもそも「地熱」というのは、地球内部の熱のことです

火山地帯の地下数km~十数kmには、超高温の「マグマだまり」があります。

このマグマの熱で温められ、高温になった地下深部が「地熱貯留層」です。地熱貯留層は、主に地下1,000~3,000mあたりに存在します。

地上に降り積もった雨や雪は、地熱貯留層へと流れていき、高温・高圧の蒸気や熱水などの流体へと変化します。これが「地熱流体」です。

この蒸気や熱水などの地熱流体を活用して、電気を生み出すのが「地熱発電」です

発電するためには、まず地熱貯留層に「坑井」と呼ばれる井戸(生産井)を堀り、地熱流体をくみ上げます。

その後、熱水と蒸気へと分離され、蒸気は発電機につながるタービンを回して発電します。これが一般的な地熱発電の仕組みです。

役目を終えた蒸気は、復水器で冷却・凝縮されることで圧力が急減し、タービンを回すための蒸気の効率をアップさせます。

冷却・凝縮された蒸気は温水となり、冷却塔を経由してさらに温度が下げられ、冷却水として蒸気の凝縮に再利用されます。

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地熱を使って発電をするためには、フラッシュ式とバイナリー式の2種類の方法があります

【フラッシュ式発電とは】
地熱貯留層に井戸を堀り、地熱流体をくみ上げ、セパレーターを使い蒸気と熱水に分離させ、熱水は再び地下へと戻されます。

蒸気はタービンを回して発電に利用され、発電を終えた蒸気は温水にして冷却し、蒸気の冷却に再利用されるのがフラッシュ式発電の仕組みです。

【バイナリー式発電とは】
地熱流体を井戸からくみ上げ、水よりも沸点の低いペンタンや代替フロン(二次媒体)を地熱流体により温めて蒸気化させます。

フラッシュ式と異なる点は、二次媒体の蒸気を利用して、タービンを回転させることです

発電後の二次媒体は液体に戻され、循環ポンプを通して再び蒸発器へ送られます。

フラッシュ式は、地上での温度が200℃以上の高温地熱流体での発電に適しています。

反対に、バイナリー式は低温地熱流体での発電に適しており、温泉なども熱源として有効活用できます。

地熱を使った発電にはたくさんのメリットがあります。

実際に、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。

CO₂をほぼ排出しないクリーンエネルギー

深刻な環境問題を引き起こす一因として、CO₂をはじめとした温室効果ガスの排出問題があります。CO₂排出削減は世界規模の目標として、各国が取り組んでいます。

その点、地熱発電は、地球内部にある自然エネルギーを活用して電気を生み出すため、発電時にほとんどCO₂を排出しないのが大きなメリットです

資源エネルギー庁の「各種発電技術のライフサイクルCO₂排出量」によると、地熱発電のCO₂の排出量は、同じ再生可能エネルギーである太陽光や風力よりも低い結果となっています

一方、石炭・石油・天然ガスを使用して発電した場合では、地熱と比べて多くのCO₂を排出しているのが分かります。

持続可能な再生可能エネルギー

石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料は、将来的に枯渇すると考えられており、決して持続可能なエネルギーではありません。

一方で、日本が持つ豊富な地熱資源を活用すれば、化石燃料のように枯渇する心配がなく、長期かつ持続的に発電可能です

また、熱源となるマグマだまりの温度は650~1,000℃ほどで、寿命は数万年~数十万年と考えられています。

マグマだまりに浸透する水はほとんど雨水や雪など自然のもので、計画的に利用すれば永続的に発電できる再生可能エネルギーなのです。

天候や時間帯に左右されず安定的に発電できる

地熱発電のために掘削する井戸の深さは1,000~3,000mほどで、昼夜を問わず蒸気や熱水などの地熱流体をくみ上げられます。

エネルギーが地下にあることから、水力や太陽光などとは異なり、天候や時間帯を気にせず発電できる点がメリットです

このように、天候や時間帯に左右されずに安定的に電気を生み出せる方法を「ベースロード電源」と呼びます。

高温蒸気・熱水を再利用できる

役目を終えた高温の蒸気や熱水は、農業用ハウスや魚の養殖場、地域の暖房などに再利用ができます

発電した後も無駄なく熱エネルギーを利用できるのもメリットのひとつです。

次に、地熱発電のデメリットも見ていきましょう。

開発コストが高い

地表調査から探査事業、井戸の掘削や発電施設の設置に至るまで、地熱発電を行うまでにはさまざまな開発プロセスが必要です。

上記の開発プロセスには、合計で14年ほど必要とされており、莫大な資金や時間などコストがかかってしまうのがデメリットです

景観を損ねる可能性がある

地熱発電が行えるような場所には、温泉地や自然公園などと重なるケースが多々あります。

そのため、新たに発電施設を作る際には、それらの景観を損ねる可能性があるのです

開発事業の際には、地元民の理解が必要となる可能性もあるでしょう。

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再生可能エネルギーのひとつとして注目されている地熱発電ですが、世界や日本ではどのように活用されているのでしょうか。

各国が持つ地熱資源量のランキングによると、アメリカが資源量第1位、次いでインドネシアが2位となっています。

日本は世界第3位であり、世界と比べても潤沢な資源を持つ国です

一方で、発電設備容量(発電所が100%の力でどのくらい発電できるのか)で見てみると、日本は2015年にケニアに抜かれて世界10位まで後退しています。

つまり、日本は豊富な地熱資源を持っているにもかかわらず、発電能力を思うように発揮できていないということです。

日本の豊富な地熱資源を有効活用するには、積極的な地熱開発が重要です。

ただし、地熱は開発コストが高く、開発プロセスも長期にわたるというリスクがあります。

そうした事情もあり開発事業が進んでおらず、令和5年時点では、地熱による発電量が総発電量の1%にも満たないのが現状です。

そこで、日本政府は28.7億円を投じる「地熱・地中熱等導入拡大技術開発事業」を始めました

目的としては、主に発電所の設備利用低下や、地熱資源の探査コストなどの課題を解決することなどです

これにより、地熱発電の導入コスト軽減が期待されます。

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CO₂をはじめとする温室効果ガスは、気候変動など深刻な環境問題を引き起こします。

世界中で、温室効果ガスを減らすための取り組みが行われていますが、中でも注目したいのが地熱をはじめとする「再生可能エネルギー」です

再生可能エネルギーにはさまざまな種類があり、太陽の光エネルギーを利用する太陽光発電、風の力を利用する風力発電、水の勢いを利用する水力発電などが挙げられます。

資源エネルギー庁によると、日本の再生エネルギーの電力比率は、2020年度時点で約19.8%です

環境問題を解決するためにも、地熱だけではなく、太陽光や風力などの再生可能エネルギーも積極的に活用してCO₂の削減に取り組むことが重要です。

CO₂の削減が重要と聞いても、「私たち個人には関係ないこと」と感じるかもしれません。しかし、個人でも環境に優しいエネルギーを積極的に選ぶことができます。

それが『エバーグリーン』CO₂フリープランです。

CO₂フリープランの魅力は、電力使用によるCO₂排出量が実質ゼロになる点です

このプランへの切り替えによって削減できるCO₂排出量は、一般的な家庭で1785kg-CO₂/年。これは約130本の杉の木が一年で吸収する量に相当します。

※300kWh/月×12か月×0.496kg-CO₂/kWh(平成29年度全国平均係数)より算出
※杉の木一本当たりの年間吸収量14kg-CO₂/年と想定(環境省資料より)

なぜCO₂排出量を削減できるのかというと、FIT(※1)電気に環境価値を持つ非化石証書を利用し、実質的に再生可能エネルギー100%での調達を実現しているからです

※1 FIT:再生可能エネルギーの普及を図るため、電力会社に再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間、固定価格で買い取ることを義務づけた制度。

CO₂の排出量を減らすことは、世界中で取り組んでいる環境問題です。

地球温暖化防止のためにも、エバーグリーンのCO₂フリープランを家庭で導入してみてはいかがでしょうか。

エバーグリーンのホームページはこちら >>

地熱発電は、日本が持つ豊富な地熱資源を活用して発電ができるクリーンなエネルギーのことです。

ただし、コストなどの問題があり、未だ主力電源化はほど遠い現状にあります。

私たち個人でできることとしては、これ以上気候変動を進めないために、なるべく地球に優しいエネルギーを選ぶことです。エバーグリーンのCO₂フリープランも検討しつつ、少しずつ地球に優しい行動を心がけましょう。

エバーグリーンのホームページはこちら >>

(出典)

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