気候変動による健康への影響発生経路は3パターン

気候変動が私たちの健康に影響をおよぼす経路は、大きく分けて3つのパターンがあります。
- 気温上昇などによる「直接的な影響」
気温や気象の変化が、私たちの体に直接ダメージを与えるケースです。
例えば、記録的な猛暑によって熱中症になったり、熱波が心臓や血管に負担をかけたりするのがこれにあたります。もっともイメージしやすい影響と言えるかもしれません。 - 生態系や環境の変化を介した「間接的な影響」
気候変動が自然環境を変え、その結果として健康リスクが生まれるパターンです。
例えば、温暖化で蚊の生息域が広がり、これまで安全だった地域でデング熱のような感染症のリスクが高まるケースなどがあります。
また、地球温暖化の影響で植物の生育期が長くなった結果、花粉の飛散量が増え、アレルギー症状が悪化するのもこの一種です。 - 自然災害に伴う「メンタルヘルスへの影響」
台風の巨大化やゲリラ豪雨など、激甚化する自然災害は、私たちの心にも大きな傷跡を残します。
災害で家や仕事を失ったり、避難生活を余儀なくされたりといった過酷な経験は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病、不安障害などを引き起こすことがあります。
このように、気候変動の影響はさまざまな形で私たちの健康につながっています。
具体的に解説!気候変動がもたらす5つの健康リスク
では、気候変動は具体的にどのような健康リスクを引き起こすのでしょうか。
ここでは、特に知っておくべき5つのリスクについて詳しく解説していきます。
①猛暑の常態化と熱中症リスクの増加
気候変動のもっともわかりやすい影響が、猛暑による熱中症リスクの増加です。
消防庁の発表によると、2024年の夏(5月~9月)に全国で熱中症により救急搬送されたのは97,578人で、2008年の調査開始以降もっとも多い人数を記録しました。
日本の年平均気温は100年あたり1.40℃の割合で上昇しており、もはや猛暑は「異常」ではなく「日常」になりつつあるのが現状です。
特に、夜間も気温が下がらない「熱帯夜」は睡眠の質を低下させ、気づかぬうちに体力を奪います。これにより、日中の熱中症リスクがさらに高まるという悪循環が生まれるため注意が必要です。
②感染症の拡大と流行パターンの変化
地球の温暖化は、これまで日本にはなじみの薄かった感染症のリスクも高めています。
例えば、デング熱を媒介するヒトスジシマカは、かつては北関東が北限とされていました。
しかし、2015年には青森県にまで拡大しており、このまま温暖化が進めば、2100年までに北海道まで生息域が拡大する可能性も指摘されています。
2014年に東京で160人以上が感染した事例のように、いつ国内で流行が起きてもおかしくない状況になりつつあるのが現状です。
また、通常は冬にピークを迎えるインフルエンザが、暖冬の影響で流行の開始が遅れるなど、感染症の流行パターンに変化が見られたケースも過去に報告されています。
③大気汚染とアレルギー疾患の悪化
気候変動は、私たちが吸う空気の質にも影響を与えます。
気温上昇によって光化学スモッグの発生が促されると、ぜんそくなどの呼吸器疾患を悪化させる要因になります。
また、大気中のCO₂濃度が上昇すると、花粉の量が2倍にまで増える可能性があるという予測もあります。
花粉の量が増えるだけでなく、飛散する期間も長期化するため、アレルギーを持つ方にとってはつらい季節がより長く続くことになります。
④栄養不足や食中毒リスクの拡大
気候変動は、私たちの食の安全を脅かし、栄養不足や食中毒といった形で健康に影響を与える可能性があります。
世界各地で頻発する高温や干ばつは農作物の不作を招き、安定した食料確保を困難にしています。
例えば、2022年にエチオピアを襲った干ばつでは、22万5,000人もの子どもたちが栄養不良に陥りました。
さらに、海水温の上昇は、海水中などに見られる食中毒の原因菌(腸炎ビブリオ菌など)を増やすため、食中毒リスクも高まると懸念されています。
⑤気候変動によるメンタルヘルスの不調
身体的な健康だけでなく、気候変動が心の健康に与える影響も深刻です。
台風や豪雨などの自然災害を経験すると、多くの人が強いストレスを感じ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされることがあります。
また、最近では「気候不安(エコ不安)」という言葉も聞かれるようになりました。
気候不安とは、気候変動の深刻なニュースなどを目の当たりにして、将来への不安や無力感、怒りといった感情を慢性的に抱いてしまう状態のことです。
特に若い世代を中心に広がっており、気候変動がもたらす新たなメンタルヘルスの課題となっています。
未来の健康を守るために私たちができること

気候変動は私たちの健康にさまざまな影響を与えます。しかし、私たち一人ひとりが行動することで、そのリスクを減らすことができます。
ここでは、「適応策」と「緩和策」の2つの視点から、自分や家族の健康を守るためにできる対策をご紹介します。
「適応策」で自分と家族の健康を守る
「適応策」とは、すでに起こりつつある気候変動の影響から身を守るための具体的な行動です。
適応策には、以下のようなものが挙げられます。
【熱中症対策】
- こまめな水分・塩分補給
- エアコンを適切に使用する
- 冷感グッズを活用する
- 日中の暑い時間帯の外出を避ける
- 外出するときは帽子や日傘を利用する
- 自治体が設置するクーリングシェルター(暑熱避難施設)の場所を確認しておく
【感染症・アレルギー対策】
- 蚊に刺されないよう虫除け対策を徹底する
- 蚊の発生源となる水たまりを作らない
- 花粉やPM2.5の飛散量が多い日はマスクや空気清浄機を活用する
【防災対策】
- ハザードマップで地域の災害リスクを確認する
- 自宅から避難場所までの経路を確認する
- 防災リュックを用意する
- 防災訓練に参加する
こうした対策は、日々の生活の中で意識すればすぐに実践できるものばかりです。一つひとつの行動が、気候変動による健康リスクを減らすことにつながります。
「緩和策」で気候変動の根本原因にアプローチする
「緩和策」とは、気候変動の根本原因である温室効果ガス(CO₂)の排出そのものを減らすための、より本質的な取り組みです。
緩和策には、以下のようなものが挙げられます。
【省エネルギーの実践】
- 使わない部屋の電気やテレビはこまめに消す
- 窓に断熱シートを貼るなど、家の断熱性を高める
- クールビズやウォームビズを実践し、冷暖房の過度な使用を控える
- LED照明など、省エネ性能の高い家電に買い替える
【移動手段の見直し】
- 近距離の移動は徒歩や自転車を利用する
- 通勤や通学には、電車やバスなどの公共交通機関を積極的に使う
- 自動車を運転する際は、急発進などをしないエコドライブを心がける
【ごみの削減】
- リデュース・リユース・リサイクル(3R)を意識してごみを減らす
- プラスチックごみ削減のための工夫をする(マイバッグ、マイボトルの持参など)
- 計画的に買い物をして食べ残しを出さないなど、食品ロスを減らす
【エネルギーの見直し】
- 家庭で使う電気を、CO₂を排出しない「再生可能エネルギー」由来のものに切り替える
これらの取り組みの中でも、特に効率よくCO₂を減らせるのが「エネルギーの見直し」です。
家庭から出るCO₂排出量の約半分は電気の使用によるもの。
そのため、毎日使う電気をクリーンな再生可能エネルギーに切り替えることは、気候変動を食い止めるための効果的な一手になります。
気候変動対策ならエバーグリーン!エコな電気で未来を守ろう

地球に優しいエコな電気に切り替えるなら、『エバーグリーン』がおすすめです。
エバーグリーンは、国内有数のバイオマス発電事業者であるイーレックスと東京電力エナジーパートナーが、脱炭素社会の実現に向けて設立した共同出資会社です。
すべてのプランで、再生可能エネルギー100%で発電されたエコな電気を提供しています。
ここでは、エバーグリーンの電気の特徴やプランを詳しくご紹介します。
切り替えるだけで家庭のCO₂排出量が実質ゼロに!
エバーグリーンに切り替える最大のメリットは、家庭の電気使用に由来するCO₂排出を実質ゼロにできることです。
一般的なファミリー世帯がエバーグリーンの電気に切り替えた場合、1ヶ月あたり約148kgものCO₂を削減できます。
これは実に、杉の木およそ11本分の植林効果に相当する削減量です。
※CO₂排出量は令和3年度全国平均係数(0.434kg-CO₂/kWh)をもとに計算
※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算
エバーグリーンに切り替えるだけで、環境保全に大きく貢献できるのが特徴です。
エコに「安心」「おトク」をプラスしたユニークなプランも選べる
エバーグリーンでは、環境への優しさに加えて、ご家庭のライフスタイルにも寄り添うユニークなプランをご用意しています。
- ライフスタイルプラン
毎月の電気料金が一定額になる「変動ゼロ」が魅力のプランです。季節ごとの電気代の変動を気にせず、家計管理もしやすくなります。 - あるく・おトク・でんき
歩数に応じて電気代が安くなる、健康志向の方に嬉しいプランです。楽しみながら健康にも環境にも優しい生活を続けられます。 - 保険でんき
個人賠償責任保険と電気がセットになった、もしもの際にも安心なプランです。自転車事故など日常生活のさまざまなリスクをカバーできます。
エバーグリーンへの切り替え申し込みは、公式サイトからわずか5分程度で完了します。現在契約している電力会社への連絡も不要で、手間なくエコな生活をスタートできます。
この機会にぜひ、エバーグリーンへの切り替えをご検討ください。
未来の健康のために、今日からできる対策を始めよう
気候変動による健康リスクは、すでにあらゆる形で私たちの生活を脅かし始めています。
まずは熱中症対策などの「適応策」を実践しつつ、根本的な解決につながる「緩和策」として、毎日の電気を環境に優しいものに切り替えてみませんか?
自分や大切な家族が健やかに暮らせる未来のために、まずは家庭の電気を見直すことから始めてみましょう。
- 出典:
- BOSAI PLUS|COP28に「健康の日」 気候変動に健康リスク
- Public Health Scotland|Climate Emergency
- 気候変動適応情報プラットフォーム|各分野の気候変動影響と適応 3-5 健康
- Public Health Scotland|Direct and indirect health impacts
- 毎日新聞|温暖化で広がる「デング熱」リスク 新たな媒介生物侵入の恐れも
- 日本経済新聞|花粉症は温暖化でより過酷に 米研究、21世紀末に4割増
- Public Health Scotland|Impacts to mental health and wellbeing
- PLANETARY HEALTH INSIGHTS|自然災害がメンタルヘルスに与える影響
- Abdul Latif Jameel|温暖化とヘルスケア: 地球温暖化が健康にもたらす影響に取り組む
- 環境省|気候変動影響評価報告書(総説)
- 消防庁|令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況
- 気象庁 | 日本の年平均気温
- 環境省「脱炭素ポータル」|『日本の気候変動2025』を公表しました ~様々な分野での気候変動対策にご活用ください~
- 埼玉県国民健康保険団体連合会|ぐっすり眠って夏バテ知らず!夏の睡眠
- 環境省「デコ活」|地球温暖化が進むと秋も蚊が活発になる!? 懸念される感染症の脅威とは
- GLOBE+|水際対策は限界 日本が考えるべき感染症対策は
- 毎日新聞|インフルエンザ:暖冬で 全国的に流行遅れてます
- やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック|急にのどが痛くなった原因!光化学スモッグ
- 日本ユニセフ協会|エチオピア:深刻な干ばつにより壊滅的影響-3月には推定680万人に緊急人道支援が必要に
- 神奈川県|感染症(水系・食品媒介性感染症)への影響と適応策
- WIRED.jp|「気候不安」がメンタルヘルスの主要な問題になる──特集「THE WORLD IN 2024」
- 電通総研|気候不安に関する意識調査(国際比較版)
- 気候変動適応情報プラットフォーム|適応しよう
- 政府広報オンライン|「デング熱」にご注意を! 予防策は「蚊に刺されない」「蚊を発生させない」
- 気候変動適応情報プラットフォーム|2-2 緩和