ウォーターフットプリントとは?意味・具体例から世界の水問題まで簡単に解説

ライフスタイル
2025年7月30日

Tシャツを1枚つくるのに、浴槽10杯分以上の水が使われていることを知っていますか?これは、製品やサービスが私たちの手元に届くまでに、どれだけの水が使われたかを示す「ウォーターフットプリント」という考え方です。この記事では、ウォーターフットプリントの意味や具体例、世界で深刻化する水問題についてわかりやすく解説します。

目次

ウォーターフットプリントとは

まずは、ウォーターフットプリントの意味や種類を知っておきましょう。よく似た概念である「バーチャルウォーター」との違いも解説します。

ウォーターフットプリントの定義

ウォーターフットプリントとは、製品やサービスのライフサイクル全体で使用される水の量を定量化したものです。

ひとつの製品やサービスが作られてから、廃棄、リサイクルされるまでの全工程(ライフサイクル)で、どれだけの水が使われ、汚染されたかを示します。

例えば、1本のジーンズができるまでには、原料である綿花の栽培、生地の染色、製品の加工など、たくさんの工程で水が消費されます。

こうした、普段私たちの目には見えない「隠れた水」の消費量を明らかにし、数値化したものがウォーターフットプリントです。

ウォーターフットプリントは3種類

ウォーターフットプリントは、その由来によって3つの種類に色分けされています。これにより、水がどのように使われたかをより詳しく知ることができます。

  • グリーンウォーターフットプリント
    雨水など、土壌に含まれる水のこと。主に農業や林業で、作物の成長のために消費される天からの恵みの水です。
  • ブルーウォーターフットプリント
    河川や湖、地下水などから取水される水のこと。工業用水や農業のかんがい用水、そして私たちの生活用水などが該当します。
  • グレーウォーターフットプリント
    生産活動などによって汚染された水を、環境基準を満たすレベルまできれいにするために必要となる水のこと。水質汚染の度合いを示す指標です。

「バーチャルウォーター」との違い

ウォーターフットプリントとよく似た言葉に「バーチャルウォーター(仮想水)」があります。

どちらも「見えない水」を示す大切な指標ですが、それぞれ視点が下記のように異なります。

ウォーターフットプリントバーチャルウォーター
意味製品やサービスのライフサイクル全体で使用された水の量を定量的に評価する指標輸入された食料や製品を自国で生産した場合に必要な水の量を示す指標
目的水資源の持続可能な利用を促進し、環境負荷を削減する国際貿易が他国の水資源に与える影響を評価する
評価内容水の使用量だけでなく、汚染や水資源への環境影響も評価使用された水の量に焦点を当て、環境影響の評価は含まない

バーチャルウォーターが「食料・製品の輸入」という国家間の貿易に着目するのに対し、ウォーターフットプリントは「個々の製品やサービス」にどれだけの水が使われたか、環境への影響も含めてより詳細な視点で見ていく点が特徴です。

【関連記事】バーチャルウォーターとは何か?日本と世界の水問題の現実・取り組み事例をわかりやすく解説

ウォーターフットプリントの具体例一覧

トマト・きゅうり・パプリカ・パセリを使った彩り豊かなフレッシュサラダのクローズアップ

ここでは、私たちの身の回りにある食品や製品を例に、ウォーターフットプリントの具体的な数値を見ていきましょう。

食品編|牛肉やコーヒーのウォーターフットプリントはどれくらい?

毎日口にする食べ物や飲み物には、実は非常に多くの水が使われています。身近な食品にどれくらいの「見えない水」が隠れているか見てみましょう。

分類品目ウォーターフットプリント(目安)
畜産物牛肉 1kg約15,420L
畜産物豚肉 1kg約5,990L
畜産物鶏肉 1kg約4,330L
乳製品・卵バター 1kg約5,550L
乳製品・卵チーズ 1kg約3,180L
乳製品・卵卵 1個(60g)約200L
穀物米 1kg約2,500L
穀物パン 1kg約1,610L
飲料牛乳 1杯(250ml)約260L
飲料りんごジュース 1杯(200ml)約230L
飲料コーヒー 1杯(125ml)約130L
飲料ビール 1杯(250ml)約70L
野菜・果物きゅうり 1kg約350L
野菜・果物じゃがいも 1kg約290L
野菜・果物バナナ 1本(200g)約160L
野菜・果物りんご 1個(150g)約130L

表を見ると、特に牛肉のウォーターフットプリントが突出していることがわかります。

これは、牛が飲む水や牛舎の洗浄水に加えて、その飼料となるトウモロコシや大麦などを育てるために、さらに膨大な量の水が必要になるためです。

食肉の生産には、私たちが想像する以上に多くの「見えない水」が使われています。

製品編|Tシャツやスマホのウォーターフットプリントは?

食べ物だけでなく、私たちが毎日身につける衣類や電子機器にも、驚くほどの「見えない水」が隠されています。

品目ウォーターフットプリント(目安)
ジーンズ(綿) 1本約10,850L
ベッドシーツ(綿) 1枚約9,750L
Tシャツ(綿) 1枚約2,720L
スマートフォン 1台約12,760L
革靴 1足約8,000L
紙(A4) 1枚約5.1L

衣類などの綿製品はウォーターフットプリントが大きいことがわかります。

これは、原料である綿花の栽培に大量の水が必要なうえ、生地を染色する工程でも水を消費し、排水による水質汚染(グレーウォーターフットプリント)も発生するためです。

普段何気なく使っているスマートフォンにも、多くの部品を製造・洗浄する過程で大量の水が関わっています。

私たちの便利な生活が、世界の水資源と密接につながっていることがわかります。

ウォーターフットプリントが注目される背景

製品やサービスの裏側にある水の使用量を明らかにする「ウォーターフットプリント」の考え方が、現在、世界中で注目を集めています。

ここでは、ウォーターフットプリントが重要視される背景をわかりやすく解説します。

世界が直面する水問題とウォーターフットプリントの役割

現在、地球規模で水不足が深刻化しています。

ユニセフによると、世界では22億人もの人々が、安全に管理された飲み水を使えずにいます。

さらに、世界の人口の約半分にあたる36億人が、年に1ヶ月以上水不足に苦しんでいるという報告もあり、このままでは2050年にはその数が50億人にまで増えるとも予測されています。

こうした危機的な状況を乗り越えるために重要な役割を果たすのが、ウォーターフットプリントです。

ウォーターフットプリントを活用すれば、製品の生産から廃棄までの「見えない水」の使用量が明らかになるため、企業は水の無駄が多い工程を改善でき、私たち消費者は、より水を使わない商品を選択できるようになります。

問題点が正確にわかることで、具体的な節水対策につながりやすくなります。

日本は水輸入大国!食料自給率が低いことによるリスクは?

蛇口から当たり前のように水が出る日本では、水不足の脅威を実感することはそう多くないでしょう。

しかし、世界で深刻化する水不足問題は、決して日本も無関係ではありません。

日本は食料自給率が38%(2023年度)と低く、日々の食事の多くを海外からの輸入に頼っています。

食料を輸入するということは、その生産に使われた他国の水資源も、「バーチャルウォーター」として間接的に輸入していることになります。

その量は、年間でおよそ800億㎥。これは、日本最大の湖である琵琶湖の水量のおよそ3杯分に相当する量です。

この状況は、海外で干ばつなどの水問題が起きた場合、食料の安定供給が脅かされ、私たちの食卓に直接影響が及ぶリスクがあることを意味しています。

今日からできる!ウォーターフットプリントを減らす3つのアクション

世界や日本の水資源を守るためには、私たち一人ひとりが水を無駄にしない生活を心がけることが重要です。

ここでは、今日からすぐに始められる具体的なアクションを3つご紹介します。

①食生活を見直す

私たちのウォーターフットプリントの中で、もっとも大きな割合を占めるのが「食」です。

だからこそ、日々の食事を少し工夫するだけで、大きな節水効果が期待できます。今日からできる具体的なアクションを見ていきましょう。

  • お肉を食べる頻度を工夫する
    牛肉は特にウォーターフットプリントが大きいため、食べる頻度を少し減らすのが効果的です。例えば、週に1日お肉を食べない日を設けるだけでも、大きな違いが生まれます。
  • 食品ロスをなくす
    食べ物を無駄にすることは、その生産に使われたすべての水も無駄にしてしまうことを意味します。買い物に行く前に冷蔵庫をチェックして食事の計画を立てる、残った食材はスープや炒め物にして使い切るなど、家庭での食品ロスをなくす工夫をしましょう。
  • 地元の旬な「素材」を選ぶ
    加工食品は洗浄や調理の工程で多くの水を使います。できるだけ旬の野菜や果物など、加工の少ない「素材」そのものを選びましょう。輸送にかかるエネルギーが少ない地元産の食材(地産地消)を意識すると、さらに環境負荷を減らせます。

②買い物の仕方を変える

買い物の際にも、ウォーターフットプリントを減らす工夫を取り入れてみましょう。

  • 長く使える質の良いものを選ぶ
    ファストファッションの裏では、Tシャツ1枚に約2,700Lもの水が使われています。流行に流されず、本当に気に入った質の良い服を長く大切に着ることが、結果的に大きな節水につながります。お気に入りの一着を長く愛用しましょう。
  • リサイクル製品や古着を選ぶ
    新しい製品を作る際は、必ずウォーターフットプリントが発生します。古着やリサイクル素材から作られた製品を選べば、新たな水の使用を大幅にカットできます。買い物の新しい選択肢として取り入れてみましょう。
  • レンタルやシェアを活用する
    特別な日の服やたまにしか使わないアイテムなどは、レンタルやシェアリングサービスを利用するのもひとつの手です。製品の過剰な生産を防いで、水資源の節約につながります。

③水資源を守るには「電気の見直し」もおすすめ!

意外かもしれませんが、実は「電気の選択」も水資源の保護に大きく関係しています。

私たちが使う電気の多くは、石炭や天然ガスを燃焼させる火力発電によって作られています。この火力発電は、発電過程において大量の冷却水を必要とします。

一方で、太陽光や風力といった一部の再生可能エネルギーは、発電時に水をほとんど使用しません。

そのため、環境に優しい再生可能エネルギー由来の電力を選ぶことは、貴重な水資源を守ることにもつながります。

エバーグリーンで始めよう!水にも地球にも優しいエコな暮らし

ダイニングキッチンと植物

再生可能エネルギー由来の電気を選ぶなら、『エバーグリーン』がおすすめです。

エバーグリーンは、イーレックスと東京電力エナジーパートナーが、脱炭素社会の実現に向けて設立した共同出資会社です。

水資源にも環境にも優しい再生可能エネルギー由来の電気を、すべてのプランで提供しています。

ここでは、エバーグリーンに切り替えるメリットやプランを詳しくご紹介します。

家庭のCO₂排出量を実質ゼロにできる

エバーグリーンの最大のメリットは、切り替えるだけでご家庭の電気使用によるCO₂排出量を実質ゼロにできることです。

例えば、一般的なファミリー世帯がエバーグリーンに切り替えた場合、1ヶ月あたり約148kgものCO₂を削減できます。

これは、杉の木およそ11本分の植林効果に相当する削減量です。

※CO₂排出量は令和3年度全国平均係数(0.434kg-CO₂/kWh)をもとに計算
※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算

毎日の暮らしはそのままに、電気を切り替えるだけで手軽に環境保全に貢献できるのが嬉しいポイントです。

エコだけじゃない!「安心」「おトク」が叶うユニークなプランも

エバーグリーンでは、環境への優しさに「安心」や「おトク」をプラスしたユニークなプランもご用意しています。

  • ライフスタイルプラン
    一定の電気使用量まで料金が定額になる「変動ゼロ」が魅力のプラン。季節による電気代変動を気にすることなく、毎日を安心して過ごしたい方にぴったり。
  • あるく・おトク・でんき
    日々のウォーキングが、そのまま環境貢献につながるユニークなプラン。歩数に応じて電気料金が安くなるので、楽しみながら健康的な習慣を続けられます。
  • 保険でんき
    個人賠償責任保険と電気がセットになったプラン。環境に優しい電気を使いながら、家族みんなの暮らしに「安心」をプラスできます。

各プランの詳細は、エバーグリーンの公式サイトをご覧ください。

エバーグリーンへの切り替え申し込みは、Webサイトからわずか5分程度で完了します。

現在契約している電力会社への連絡もエバーグリーンが代行するため、手間なく切り替えが可能です。

ぜひこの機会に、エバーグリーンのエコな電気をご検討ください。

ウォーターフットプリントを意識して、地球に優しい選択を

牛肉1kgに約15,000L、Tシャツ1枚に約2,700L。私たちの生活を支える食料や製品の裏側には、目に見えなくてもこれほど多くの水が使われています。

ウォーターフットプリントを知ることは、地球が抱える水問題と向き合うための第一歩です。

食生活を見直したり、買い物の仕方を変えたりすることに加えて、環境負荷の少ない電気を選ぶことも、私たちが今すぐ始められる効果的な環境貢献のひとつです。

一人ひとりの選択が、未来の地球や水資源を守る大きな力になります。ぜひこの機会に、毎日の電気を見直してみましょう。

エバーグリーンは
環境に配慮した電気を
供給することで
皆さまの暮らしを支えます

  • Point
    1

    CO₂排出量が実質ゼロの電気

    実は、家庭から排出されるCO₂の約半数は電気の使用によるもの。エバーグリーンの電気をご利用いただくと、これを実質ゼロに抑えることができます!

  • Point
    2

    安心・安全の供給体制

    エバーグリーンは、再生可能エネルギーのリーディングカンパニーであるイーレックスと、東京電力エナジーパトナーの共同出資により創設した企業です!

  • Point
    3

    充実のサポート体制

    電気のトラブル時に迅速に駆け付ける「でんきレスキュー」 サービスなど、万が一の際もご安心いただけるサポート体制を整えています。

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