地球規模で進む海面水温の上昇
現在、世界の海ではこれまでにないペースで海面水温が上昇しており、多くの研究機関が警鐘を鳴らしています。
気象庁の観測によると、世界の海面水温は100年あたり約0.62℃のペースで上昇しており、2024年には平年比+0.44℃と観測史上最高値を記録しました。
特に日本近海では温暖化のペースが速く、100年あたり+1.33℃も上昇しています。これは世界平均(+0.62℃/100年)の約2倍に匹敵する速さです。
海面水温の上昇は地球規模で進行すると同時に、日本近海では世界平均以上のペースで温暖化が進んでおり、地球環境や経済活動への深刻な影響が懸念されています。
海面水温が上昇する主な原因は地球温暖化

なぜ、海面水温は上がり続けているのでしょうか?
その主な原因は、私たち人間の活動が引き起こした「地球温暖化」です。
産業革命以降、化石燃料の大量消費に伴って二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスが大気中に増加し、本来ならば宇宙に逃げていくはずの熱を地球に蓄積しています。
その結果、地球に閉じ込められた余分な熱の90%以上を海が吸収し、海面水温が上昇するという仕組みです。
短期的には、エルニーニョやラニーニャ現象などによる自然変動で海面水温が一時的に上下することもあります。
しかし、長期的なトレンドを見ると、温室効果ガスの影響による地球温暖化が原因であることは明確で、IPCC第6次評価報告書でも「人間の活動が大気や海洋を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と明記されています。
海面水温上昇がもたらす影響

海水温がわずかに上がるだけで、私たちの暮らしや自然環境には計り知れない影響があらわれます。
ここでは、海面水温の上昇が具体的にどのような問題を引き起こすのか、「気象」「海面上昇」「生態系」「社会経済」という4つの視点から詳しく見ていきましょう。
異常気象の激化:台風・豪雨・猛暑の増加
温暖化した海洋は、異常気象をより激甚化させます。
海面水温が高いと台風は勢力を増しやすく、しかも強い勢力が維持されやすいことが知られています。台風が強大化すれば、それに伴って、水害や風害、土砂災害などの被害が大きくなる可能性があるでしょう。
また、大気中の水蒸気量も温度上昇に伴って増えるため、短時間の豪雨が頻発・猛烈化する傾向もあります。実際、日本では1時間80mm以上の猛烈な雨の年間発生回数が、1980年前後に比べて約1.7倍に増加しています。
さらに、国内の猛暑日の年間日数も、100年あたり2.6日のペースで増加しており、異常気象のリスクが年々高まっているのが現状です。
海面上昇:熱膨張と氷床融解がもたらすリスク
「海面水温の上昇」は、「海面の上昇」という、もうひとつの深刻な問題を引き起こします。
水には温められると体積が増える「熱膨張」という性質があるため、海面水温が上昇するとそれに伴って海面も上昇する仕組みです。
さらに、地球温暖化によって、南極やグリーンランドの氷が海に溶け出すことで、海面上昇のペースはより加速します。
IPCCによれば、20世紀の海面上昇は全球平均で約15cm(約1.5mm/年)でしたが、現在は年間約3.6mmと倍以上のペースで水位が上昇している深刻な状況です。
このまま温暖化が進めば、2100年までに最大で60~110cmも海面が上昇するおそれがあります。
さらに厳しいことに、たとえパリ協定の目標を達成できたとしても、30〜60cm程度の上昇は避けられないという見通しです。
海洋生態系へのダメージ:サンゴ礁に広がる影響
海の生き物たちも、水温の上昇によって大きな影響を受けています。
特に代表的なのが、サンゴの「白化現象」です。「海のゆりかご」とも呼ばれるサンゴ礁は、豊かな生物多様性を支える、かけがえのない存在です。
しかし、サンゴは非常に繊細で、わずか1~2℃高い水温が続くだけで、骨格が白く透けてしまう「白化現象」を起こします。
この状態が続けば、サンゴはやがて死滅し、海の生態系に甚大な影響をおよぼします。
日本でも2016年の夏、奄美から八重山諸島にかけて観測史上最大規模の白化が発生し、大きな問題となりました。
社会経済への波及:漁業・観光業への打撃
海面水温の上昇が引き起こす環境変化は、私たちの社会や経済にも直接的な影響をおよぼします。
なかでも、漁業への影響は特に深刻です。
2024年度の水産白書によると、国内ではサンマ、スルメイカ、サケの不漁が長期化しています。
これら3魚種の漁獲量は、2014年の約54万8,000トンから、2023年には約10万7,000トンとわずか10年足らずで80%も減少し、漁業や水産加工業に深刻な打撃を与えています。
また、観光業も例外ではありません。美しいサンゴ礁が白化によって失われれば、ダイビングなどを目的とする観光客が減少し、地域の経済に大きなダメージをあたえる可能性があります。
今後の見通し:海はさらに温暖化する?
今後の海面水温は、気候変動対策の成否によって大きく変わりますが、いずれにせよ海の温暖化は続きます。
IPCCの予測では、もし温暖化を2℃に抑えられた場合でも、2100年までに海洋が蓄える熱は現在の2倍~4倍に達する見込みです。
一方で、温室効果ガスの排出量が増えた場合、蓄積する熱は最大で5倍~7倍に達するとされています。
この影響は、「海洋熱波」と呼ばれる極端な高温現象として現れます。
その発生頻度は1982年以降すでに倍増していますが、温室効果ガスの排出が大幅に増えれば、50倍にまで頻度が増加すると予測されています。
一度温まると冷めにくい海の特性上、一定の温暖化は避けられません。しかし、私たちの行動次第で、最悪のシナリオを回避することは可能です。
地球の未来は、まさに私たちのこれからの選択にかかっていると言えるでしょう。
家庭のCO₂削減なら、エバーグリーンのエコな電気

地球温暖化を抑制するには、私たち一人ひとりが生活の中でCO₂排出削減に取り組むことが欠かせません。
日々の暮らしで効果的にCO₂を減らす方法としておすすめなのが「電気の切り替え」です。
ここでは、再生可能エネルギー100%のエコな電気を提供する『エバーグリーン』をご紹介します。
切り替えるだけで家庭のCO₂排出量が実質ゼロに!
家庭から出るCO₂排出の約半分は電気の使用に由来しています。
そのため、家庭で使う電気を、CO₂排出のない再生可能エネルギー由来のものに切り替えるだけで、生活に伴う環境負荷を大きく減らすことが可能です。
エバーグリーンは、電力の供給源をすべて再生可能エネルギーでまかなうことで、各家庭で使う電気によるCO₂排出量を実質ゼロにしています。
例えば、一般的なファミリー世帯がエバーグリーンに切り替えた場合、1ヶ月あたり約148kgものCO₂を削減できる計算です。これは、杉の木およそ11本分の植林効果に相当します。
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各プランの詳細は公式サイトをご覧ください。
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未来の海を守るために今こそ行動を
海面水温の上昇がもたらす影響は、気象災害から生態系サービス、経済活動にまで広がり、将来世代にも深刻な課題を残します。
しかし、私たち一人ひとりが問題に関心を持ち、日々の暮らしの中で行動を変えていくことで、未来はきっと良い方向へ変えられます。
家庭の電気をエコなものに切り替えるなど、身近でできることから行動を起こしましょう。
小さなアクションの積み重ねが、未来の海と暮らしを守る力になります。
- 出典:
- 気象庁 | 海洋の健康診断表 海面水温の長期変化傾向(全球平均)
- 気象庁 | 海洋の健康診断表 海面水温の長期変化傾向(日本近海)
- IPCC|Choices made now are critical for the future of our ocean and cryosphere
- 気象庁|エルニーニョ/ラニーニャ現象と全球平均海面水温の変動について
- IPCC|IPCC AR6 Working Group 1: Summary for Policymakers | Climate Change 2021: The Physical Science Basis
- JAMSTEC BASE|地球温暖化で台風がますます激甚化する!?
- 気象庁 | 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化(日降水量の年間日数)
- 気象庁 | 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化(猛暑日の年間日数)
- 気候変動適応情報プラットフォーム|Q3.海面上昇とゼロメートル地帯
- ウェザーニュース|温暖化による海面上昇で世界の陸地1割が塩害に!? 食への影響は
- IUCN|Coral reefs and climate change – resource
- 環境省「エコジン」|2018年7月号 VOLUME.65|特集 明日のサンゴ礁。いま、サンゴ礁があぶない!
- 水産庁|令和6年度水産白書
- 地球環境研究センターニュース|1.5°C特別報告書のポイントと報告内容が示唆するもの 気候変動の猛威に対し、国・自治体の“適応能力”強化を