エコセメントとは?特徴や普通セメントとの違い
エコセメントは、都市ごみの焼却灰など廃棄物を再利用して作られる環境配慮型のセメントです。
ここでは、エコセメントの主な特徴と、従来の普通セメントとの違いについて見ていきましょう。
都市ごみ焼却灰などを再利用したリサイクルセメント
エコセメントは、家庭ごみを焼却した後に残る焼却灰を主原料に、石灰石などの副資材を加えて製造される新しいセメントです。
1,350℃以上の高温で焼成してセメントの成分を生成する過程で、原料中の有害物質(重金属やダイオキシン類)は分離・無害化されます。
こうして生まれたエコセメントは、普通セメントと同様に建築や土木に広く利用できる品質を持ち、環境に優しいリサイクル素材として注目されています。
普通セメントとの違いは?原料や環境負荷を比較
エコセメントと普通セメントは、主な原料や製造時の環境負荷に違いがあります。以下の表で比較してみましょう。
項目 | エコセメント | 普通セメント |
---|---|---|
主な原料 | 都市ごみ焼却灰、下水汚泥などの廃棄物+石灰石など | 石灰石、粘土、けい石、鉄鉱石などの天然資源 |
環境負荷 | 廃棄物500kg/1t以上を再資源化し、埋立処分量を大幅削減(100tのごみから約16t製造) | 原料採掘に伴う資源消費が大きく、石灰石焼成時にCO₂を大量排出 |
エコセメントは廃棄物問題の解決を目的に開発され、1トン製造するごとに500kg以上の廃棄物を原料に使うとJIS規格で定められています。
一方、普通セメントは主に天然の石灰石や粘土を焼成して作られるため、資源採掘や製造時のCO₂排出量が多くなります。
原料や環境への影響を比較すると、エコセメントは資源循環と廃棄物削減に優れたセメントと言えるでしょう。
安全性はJIS規格(JIS R 5214)で保証
エコセメントの品質と安全性は、日本産業規格JIS R 5214によって保証されています。
製造過程で有害物質への対策が講じられており、重金属類は高温焼成中に分離・回収され、ダイオキシン類も分解されます。
さらにJIS規格ではエコセメントの性能が細かく規定されており、強度や耐久性も普通セメントと同等であることが確認されています。
安心して建築・土木用途に使用できるセメントとして、公的な基準に則った安全性が担保されています。
エコセメントの種類と主な用途・使い方

エコセメントは用途に応じて「普通エコセメント」と「速硬エコセメント」の2種類に分類されます。それぞれの特徴に合わせ、建設業界ではさまざまな使い方がされています。
ここでは、2種類のエコセメントの概要と具体的な活用例を紹介します。
普通エコセメント:幅広い用途で活躍
普通エコセメントは、鉄筋を腐食させるリスクのある塩素分を製造時にしっかり除去し、塩化物イオン量を0.1%以下に抑えたタイプです。
性質は普通ポルトランドセメントに類似しており、品質もほぼ同等であるため、コンクリート製品から鉄筋コンクリート構造物まで幅広い用途に使用できます。
実際、2008年の北海道洞爺湖サミットで展示された「ゼロエミッションハウス」には、建材としてエコセメントが採用されたほか、歩車道境界ブロックや道路脇の側溝ブロックなど、身近な製品にも多数使用されています。
一般的な建築・土木工事に安心して利用できるオールラウンドなエコセメントです。
速硬エコセメント:無筋コンクリート製品などに活用
速硬エコセメントは、早期強度の発現に優れたエコセメントで、短時間で硬化するのが特徴です。
塩化物イオンを0.5~1.5%含んでいるため、無筋コンクリート製品(鉄筋を配しないコンクリート構造物)に適しています。
主な用途としては、建築外壁材のほか、歩道や公園などに敷かれるインターロッキングブロック、海岸に設置される消波ブロックなどがあります。
エコセメントのメリット3つ:地球環境と社会に貢献する3つの特徴
エコセメントには、環境や社会に嬉しいメリットが大きく3つあります。ここでは、廃棄物問題や環境負荷、性能面からエコセメントの特長を見てみましょう。
廃棄物の削減と最終処分場の延命につながる
エコセメント最大のメリットは、廃棄物の大幅な削減につながることです。
都市ごみ焼却灰などを大量に再利用することで、これまで埋立処分するしかなかったごみを資源化できます。
例えば、100トンのごみから約16トンのエコセメントを製造できるとされ、その分だけ最終処分場へ埋め立てる廃棄物を減らせます。
エコセメントが普及することにより、埋立処分場の寿命が延び、新たな処分場建設の負担軽減にもつながります。
廃棄物そのものを減量化し、限りある処分場の延命に貢献できる点は、エコセメントの社会的価値と言えるでしょう。
環境負荷の低減に貢献
エコセメントは、廃棄物処理の負担軽減だけでなく、製造時の環境負荷を低減できる点でも優れています。
普通セメントに比べて2~3倍もの廃棄物を原料に活用しており、その分だけ新たな天然資源(石灰石など)の使用を減らせます。
また、石灰石の使用量が減ることで、焼成時に発生するCO₂が抑制されるため、製造過程のCO₂排出量も削減できます。
資源循環型社会を支える技術として、環境への貢献度が非常に高いことがエコセメントの特徴です。
普通セメントと同等の強度・耐久性を実現
環境に良いからといって、性能が劣るわけではありません。エコセメントは普通セメントと同等の強度・耐久性を持つよう開発されています。
実際に、エコセメントを使ったコンクリートの強度は、水セメント比を調整すれば普通ポルトランドセメントと変わらないレベルを発揮します。
また、耐久性(乾燥収縮や凍結融解に対する抵抗性など)についても、通常のセメント使用時と同等であることが確認されています。
このように、エコセメントはリサイクル素材でありながら品質面でも遜色なく、従来のコンクリート製品と同じように安心して利用できるのも大きなメリットです。
エコセメントのデメリットと問題点
廃棄物削減やCO₂排出抑制など、環境面でのメリットが大きいエコセメントですが、注意すべきデメリットや問題点もあります。
ここでは、エコセメントの代表的な注意点を解説します。
高強度・高流動コンクリートは適用外
エコセメントは通常の建築・土木用コンクリートに適用可能ですが、高強度や高耐久性が求められる特殊コンクリートについては適用が推奨されていません。
JIS R 5214でも高強度コンクリートや高流動コンクリートは適用外とされており、これらの分野では実績や技術データのさらなる蓄積が必要です。
そのため、特殊用途では従来のセメントに比べて適用範囲が狭い点には注意が必要です。
供給エリアが限られる場合がある
エコセメントは製造拠点が限られており、供給地域が首都圏など一部に限定される点も課題です。
現在、エコセメントの代表的な生産拠点は、東京都多摩地域の「東京たまエコセメント」や、千葉県市原市の製造工場などのため、地域によってはそもそもエコセメントが入手困難なケースもあります。
物流面でも、セメントは重量物のため遠隔地への供給コストが高くなりやすく、結果として利用できるエリアが限られる状況です。
ただし、今後、需要拡大に伴う生産拠点の増加や流通網の整備が進めば、この課題も解消に向かう可能性があるでしょう。
家庭でできる環境対策には「電気の見直し」がおすすめ

エコセメントのように社会全体で環境問題に取り組むことも大切ですが、私たち一人ひとりが家庭でできることもたくさんあります。
なかでも、特に効果的なのが「電気の見直し」です。
実は、家庭から出るCO₂排出量のうち、およそ半分は電気の使用によるもの。
私たちが日々の暮らしで使う電気の多くは、石炭や天然ガスを燃やす火力発電で作られており、発電過程において多くのCO₂が排出されます。
一方で、太陽光や風力などの再生可能エネルギー由来の電気は、その発電過程でCO₂を排出しないクリーンな電気です。
毎日使う電気をエコな電気に切り替えるだけで、家庭から排出されるCO₂を大幅に減らせます。
無理なく簡単に始められる取り組みとして、「電気の見直し」は家庭でできる環境対策におすすめです。
エバーグリーンのエコな電気で環境に優しい暮らしを

環境に配慮した電気の中でも、注目なのが『エバーグリーン』の提供する「エコな電気」です。
エバーグリーンは、国内有数のバイオマス発電事業者であるイーレックスと東京電力エナジーパートナーが共同で設立した会社です。
すべてのプランで再生可能エネルギー100%のエコな電気を届けており、切り替えるだけで、環境に優しい暮らしを始められます。
ここでは、エバーグリーンの特長やメリットについてご紹介します。
家庭のCO₂排出量が実質ゼロに!
エバーグリーンに切り替える最大のメリットは、電気の使用に伴うCO₂排出量を実質ゼロにできることです。
具体的には、一般的なファミリー世帯がエバーグリーンの電気に切り替えた場合、1ヶ月あたり約148kgものCO₂を削減できます。これは、なんと杉の木およそ11本分の植林効果に相当します。
※CO₂排出量は令和3年度全国平均係数(0.434kg-CO₂/kWh)をもとに計算
※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算
毎日の暮らしで欠かせない電気をクリーンなものにすることで、サステナブルなライフスタイルを手軽に実現できるのが大きな魅力です。
エコに「安心」や「おトク」をプラスしたユニークなプランも選べる
エバーグリーンでは、環境に優しいだけでなく、ユニークな付加価値のあるプランも用意しています。
- ライフスタイルプラン
電気料金が月額固定になる「変動ゼロ」が魅力のプランです。毎月の電気代を定額にできるので、家計管理に安心感が生まれます。 - あるく・おトク・でんき
毎日の歩数に応じて電気料金が割引される、健康志向の方にぴったりのプランです。健康にも環境にも優しい生活を、楽しみながら実現できるのが特長です。 - 保険でんき
電気と個人賠償責任保険をセットにした、安心感と利便性を兼ね備えたプランです。電気代の支払いだけで、自転車事故など、日常生活の思わぬリスクを幅広くカバーできます。
エバーグリーンなら、環境への配慮に安心やおトクがプラスされた、自分に合ったプランを選べます。
切り替えのお申し込みは、Webサイトからわずか5分程度で完了します。現在の電力会社への連絡も不要で、手間なく切り替えが可能です。
ぜひエバーグリーンへのエコな電気で、環境に優しい暮らしを始めましょう。
エコな選択で持続可能な未来をつくろう
エコセメントの活用による循環型社会づくりと、家庭でのエコな電気への切り替えは、いずれも持続可能な未来への大切な一歩です。
社会インフラから日常生活まで、それぞれの場面で環境に優しい選択肢を取り入れていくことで、地球環境への負荷を減らしつつ豊かな暮らしを実現できます。
日々の暮らしにエコな選択を上手に取り入れて、よりサステナブルな未来づくりに貢献していきましょう。
- 出典:
- 東京都コンクリート製品協同組合|エコセメントとは
- 太平洋セメント株式会社|エコセメントシステム
- 一般社団法人セメント協会|セメントとは
- 日本コンクリート工学会|コンクリートの基礎知識
- 環境省|平成14年版 環境白書
- 一般財団法人カーボンフロンティア機構|Q7:なぜ石炭灰の使用は温室効果ガスの削減になるのでしょうか?
- 太平洋セメント株式会社|エコセメントの特長
- kikakurui.com|JISR5214:2019 エコセメント
- 太平洋セメント株式会社|エコセメントの適用例
- 塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)|世界初の本格的エコセメント製造工場・市原エコセメント(株)
- グリーンワークショップ|普通セメント、エコセメントと資源循環型社会の実現の一翼を担って
- 日本GRC工業会|技術資料 1 – エコセメントとコンクリートとしての利用技術について
- 太平洋セメント株式会社|エコセメントの製造工場
- 国土交通省|環境物品等の調達の推進を図るための方針