森林火災とは?
森林火災とは、山林、原野、牧野などで発生する火災の総称です。「林野火災」「山火事」「山林火災」とも呼ばれます。
日本国内における発生件数は、1974年の8,351件をピークに減少傾向にありますが、それでも年間1,300件前後発生しているのが現状です。
森林火災の大きな特徴は、一度発生すると甚大な被害につながりやすい点です。消防隊の立ち入りや消火用水の確保が困難なうえ、燃え広がるスピードも速いため、鎮火までに多くの時間と人員を要します。
その結果、人命や家屋に危険がおよぶだけでなく、貴重な森林が失われることで土砂崩れなど二次災害のリスクも高まります。
焼失した自然が元の姿を取り戻すには、非常に長い年月と多くの労力がかかるため、森林火災を起こさないことが何より重要です。
森林火災の主な原因

森林火災の原因は大きく「人的要因」と「自然要因」に分けられます。ここでは、日本と世界における森林火災の主な原因をそれぞれ見ていきましょう。
日本では「人的要因」が主な原因
日本では、森林火災のほとんどが、私たち人間の不注意や意図的な行為によって引き起こされています。
出火原因(2019年~2023年の平均)でもっとも多いのが「たき火」で32.6%を占め、次いで農作業にともなう「火入れ」が19.0%と続きます。そのほか、「放火(疑いを含む)」が7.6%、「たばこ」の不始末が4.5%となっており、原因が明らかなものの多くが人的な要因です。
特に、空気が乾燥して風が強くなる2月から5月は、火災が多発する時期です。この季節はハイキングや山菜採りなどで山に入る人が増えるため、火の不始末が火災につながりやすいと考えられています。
日本の森林火災の大部分は、私たち一人ひとりが火の取り扱いに注意することで防ぐことが可能です。
世界では「自然発火」も深刻な原因に
一方、世界に目を向けると、自然発火による森林火災も頻繁に発生しています。
その主な原因は「乾燥」です。
少雨や干ばつなどの影響で乾燥が進むと、落ち葉や空気中の水分が失われます。カラカラに乾いた枯葉は、強風などでお互いが擦れ合う際のわずかな摩擦熱でも火がつくことがあります。
アメリカやオーストラリアなどの地域では、こうした乾燥による自然発火がたびたび大規模な森林火災を引き起こしているのが現状です。
この他、「落雷」による自然発火も原因のひとつとして知られています。特に、北米では、火災面積ベースで見るとその大半が落雷による焼損とも言われています。
さらに、森林火災を大規模化させる要因としてフェーン現象(山を越えて吹く乾燥した高温の風)が挙げられます。森林火災の発生現場にこの強風が吹くと、火の手を一気に拡大させるだけでなく、別の場所で火災が発生する危険性も高まります。
世界で森林火災が増えているのはなぜ?地球温暖化との深刻な関係
近年では、森林火災の大規模化・深刻化が世界各地で報じられていますが、その背景には地球温暖化が深く関わっています。
ここでは、気候変動がどのようにして森林火災のリスクを高め、問題を悪化させているのかわかりやすく解説します。
地球温暖化は森林火災を増加させる主な原因のひとつ
世界資源研究所(WRI)によると、森林火災によって焼失する樹木の面積は、20年前の2倍以上に増加しています。
こうした森林火災の増加の背景にあるのが、世界規模の脅威である地球温暖化です。
同研究所によれば、極度の熱波の発生確率は150年前に比べてすでに5倍になっています。
地球温暖化が進むにつれて熱波はさらに頻発すると予想されており、気温の上昇が大地を乾燥させ、より大規模で頻繁な森林火災が発生しやすい環境をつくり出します。
国連環境計画(UNEP)も、このまま温暖化が進めば、大規模な森林火災の発生リスクは2100年までに最大50%上昇する可能性があると警鐘を鳴らしています。
森林火災がさらに温暖化を加速させる悪循環も
さらに深刻なのは、森林火災そのものが地球温暖化をさらに加速させてしまう点です。
森林は、光合成によって大気中の二酸化炭素(CO₂)を吸収し、炭素を蓄える役割を担っています。
しかし火災が起きると、蓄えられた炭素が一気に大気中へ放出されてしまいます。
森林火災が増えれば、それだけ大気中のCO₂濃度が高まり、地球温暖化が進行。そして、温暖化がさらに火災の起きやすい乾燥した環境をつくり出します。
この「温暖化が火災を呼び、火災が温暖化を呼ぶ」悪循環が、世界中で問題を深刻化させています。
世界で起きた大規模な森林火災の事例

世界に目を向けると、気候変動が影響したとされる大規模な森林火災が各地で発生しています。ここでは、特に被害が甚大であったオーストラリアとアメリカの事例を紹介します。
オーストラリアで発生した史上最悪の森林火災(2019年~2020年)
近年の大規模火災の中でも、特に深刻な被害として記憶に新しいのが、2019年から2020年にかけてオーストラリアを襲った森林火災です。
「史上最悪」ともいわれるこの火災では、約1,860万ヘクタールもの森林が焼失し、30名以上の方が亡くなりました。
さらに、コアラを含む推定12億匹以上の野生動物が犠牲になったとされています。
森林火災の被害がここまで甚大になった大きな要因は、記録的な気象条件です。2019年のオーストラリアは観測史上もっとも暑く乾燥した年であり、人為的な気候変動が被害を拡大させたとみられています。
アメリカ・カリフォルニアの森林火災
アメリカでは、2020年にカリフォルニア州で過去最大規模の山火事が発生しました。
この火災では約170万ヘクタール以上の森林が焼失し、約30名が亡くなったほか、煙による大気汚染が深刻な健康被害なども引き起こしました。
アメリカの研究チームの調査によれば、気候変動がカリフォルニア州の山火事の規模や被害を大きくしていることが明らかになっています。
実際にカリフォルニア州では、気温の上昇、降水量の減少、乾季の長期化といった、気候変動による影響が顕著に現れています。
日本で甚大な被害をもたらした森林火災の事例
日本の森林火災は、世界的なメガ火災と比べると規模は小さいものの、ひとたび発生すれば人命や財産に甚大な被害をおよぼします。
林野庁によると、森林火災による国内の年間平均焼失面積は約705ヘクタールです。しかし、近年ではこの平均と同程度、あるいは大きく上回るほどの大規模な森林火災も発生しています。
岡山県:ガスバーナーの火が記録的な森林火災に
2025年3月、岡山県岡山市で大規模な森林火災が発生しました。焼失面積は約565ヘクタールにおよび、記録が残る1965年以降で県内最大規模となりました。
この森林火災の原因は、現場付近で男性が使っていたガスバーナーの火が燃え移ったこととみられています。
ごく身近な火の不始末によって、地域に甚大な被害をもたらす大規模な森林火災が引き起こされることを示す事例と言えます。
岩手県:異常気象が引き起こした大規模火災
国内の極めて大規模な事例として、2025年2月に岩手県大船渡市で発生した森林火災が挙げられます。
この森林火災では、平成以降最大規模となる約3,370ヘクタールが焼失し、鎮火までに40日間を要しました。
建物226棟が被災し、最大で約4,300人が避難を余儀なくされるなど、甚大な被害が出ています。
森林火災がここまで拡大した大きな原因は、降雨量が例年の3%程度という極端な乾燥状態にあったことと、連日の強風でした。
人為的な要因だけでなく、異常気象が組み合わさることで、日本でも壊滅的な被害をもたらす火災が起こり得ることを示しています。
森林火災を食い止めるために、私たちが家庭でできること
森林火災は、ひとたび起こると地域社会や豊かな生態系に甚大な被害をもたらします。
近年世界で頻発している大規模な森林火災を食い止めるためには、火災が発生しやすい環境を生み出している地球温暖化への対策が欠かせません。
温暖化対策で重要なのは、主な原因であるCO₂の排出量を減らすことです。
「CO₂を減らす」と聞くと、家電の使い方やライフスタイルを見直すことをイメージするかもしれませんが、実は、「電気の見直し」も効果的なCO₂削減対策になります。
家庭から出るCO₂排出量のうち、約半分は「電気の使用」によるものです。
そのため、家庭で毎日使う電気を、CO₂を排出しない再生可能エネルギー由来の電気に切り替えれば、それだけで家庭からのCO₂排出量を大きく減らせます。
ぜひこの機会にご家庭の電気を見直して、暮らしの中で無理なく環境貢献を始めましょう。
環境貢献を日常に。エコな電気ならエバーグリーン

環境への優しさを電力選びの基準にしたいなら、ぜひ『エバーグリーン』をチェックしてみましょう。
ここでは、エバーグリーンが提供するエコな電気の魅力をわかりやすくご紹介します。
切り替えるだけで家庭のCO₂排出量が実質ゼロに!
エバーグリーンは、国内有数のバイオマス発電事業者であるイーレックスと、東京電力エナジーパートナーが共同で設立した会社です。
脱炭素社会の実現という大きな目標を掲げ、提供するすべてのプランで再生可能エネルギー100%の電気を届けています。
そのため、エバーグリーンの電気に切り替えることで、家庭での電気使用によるCO₂排出量を実質ゼロにできます。
例えば、一般的なファミリー世帯の場合、1ヶ月あたりに削減できるCO₂排出量は約148kg。これは、杉の木およそ11本分の植林効果に相当します。
※CO₂排出量は令和3年度全国平均係数(0.434kg-CO₂/kWh)をもとに計算
※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算
電力会社を見直すという行動が、未来の豊かな森を守ることにつながります。
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このプランの大きな特徴は、次の2つです。
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新規でご契約いただいたお客さまには、特典としてAmazonギフトカード5,000円分をプレゼントしています。暮らしに嬉しい、おトクな特典です。
スマートゼロプランの詳細は、下記のページをご覧ください。
環境に優しい選択で未来の森を守ろう
森林火災は、人為的な要因と自然的な要因、そして地球温暖化が複雑に絡み合って深刻化しています。
地球温暖化が進むほど、森は乾燥し、大規模な火災が起きやすい危険な状態になっていきます。この負の連鎖を断ち切るためにも、私たち一人ひとりが温暖化対策に取り組むことが重要です。
なかでも、毎日使う電気を環境に優しいものに切り替えることは、家庭で無理なくできる効果的な温暖化対策です。
ぜひエバーグリーンのエコな電気に切り替えて、未来の豊かな森を守りましょう。
- 出典:
- 総務省消防庁|林野火災への備え
- 林野庁|山火事の直接的な原因にはどのようなものがあるの?
- ウェザーニュース|地球温暖化で世界的に山火事が多発 森林火災リスクは2050年までに50%増か
- World Resources Institute|The Latest Data Confirms: Forest Fires Are Getting Worse
- UNEP|Number of wildfires to rise by 50 per cent by 2100 and governments are not prepared, experts warn
- WEB防災情報新聞|山火事と気候変動 相互に影響しあう悪循環に
- WWFジャパン|【動画あり】オーストラリアの森林火災へのご支援をいただき、誠にありがとうございました
- 林野庁|日本では山火事はどの位発生しているの?
- テレ朝NEWS|【時系列まとめ】岡山と愛媛で山火事 岡山市と愛媛県今治市ともに鎮圧を発表
- NHK ONE|岩手 大船渡 大規模山林火災から半年 見えてきた課題とは…
- Wedge ONLINE|解説>岩手・大船渡の山火事はなぜ起きた?日本と海外の出火原因で「決定的に違うこと」
