カカオ2050年問題とは?

「カカオ2050年問題」とは、地球温暖化の進行により、2050年までにカカオの栽培に適した土地が激減し、生産が困難になるという予測を指します。
この問題は、アメリカの大手食品会社マースとカリフォルニア大学の共同研究が発端となり、科学的な根拠にもとづくものとして世界に広まりました。
主産地である西アフリカでは、気候変動による熱波や干ばつ、極端な多雨による病害の拡大に加え、病害虫の蔓延や、違法な金採掘による農地破壊も影響し、生産量が壊滅的に減少しています。
この深刻な供給不足は「カカオショック」と称される国際価格の高騰を招いており(2024年4月には史上最高値を記録)、2050年にはチョコレートが非常に高価な贅沢品となる可能性が指摘されています。
カカオ2050年問題の背景にある3つの原因
カカオが危機に瀕している背景には「気候変動」「病害虫」「需要と供給のアンバランス」という3つの原因があります。ひとつずつ見ていきましょう。
気候変動による栽培環境の悪化
カカオの木は、高温多湿で安定した気候でしか育たない、非常にデリケートな植物です。
栽培に適した条件は「最高32℃までの気温」「年間降雨量の合計が1,500~2,000mm」「乾期が3ヶ月以内」とされており、この気候パターンから外れると収穫量や品質の低下を招きます。
近年ますます深刻化する地球温暖化は、カカオ産地において気温上昇や降雨パターンの変化を引き起こしており、その繊細な生育環境を根本から揺るがしています。
特に、カカオの主要生産国であるガーナとコートジボワールの栽培適地は、2050年までに最大で約90%減少するとの予測が出ています。
病害虫のまん延と生産性の低下
国際カカオ機関(ICCO)によれば、現在、世界のカカオ生産量の約30〜40%が病害虫により失われています。
特に、地球温暖化は、「カカオ膨梢ウイルス病」を媒介するコナカイガラムシの大量発生を引き起こし、被害を深刻化させているのが現状です。
実際、ガーナでは約138万ヘクタールのカカオ栽培地のうち、最大で59万ヘクタールがカカオ膨梢ウイルス病に感染していると推定されています。
こうした病気のまん延を防ぐには、感染した実を剪定して除去し、焼却するのが原則ですが、広大なカカオ農園の木を1本ずつチェックして対応するのは非常に困難です。資金不足から、十分な対策が取れないケースも少なくありません。
気候変動と病害虫のまん延は、悪循環となってカカオの生産を脅かしています。
カカオの需要増加と深刻な社会問題
近年、アジアなどを中心に、世界のチョコレート需要は年々増加しています。
その一方で、供給を担うガーナやコートジボワールなど西アフリカの農園では、農家の貧困問題が深刻化し、生産性の向上が追いついていません。
さらに、政府の財政悪化による農家支援の停止や、より短期的に収入を得られる違法な金の採掘によってカカオ農園が失われるなど、社会的な問題も生産量の減少に拍車をかけています。
需要は増え続ける一方で、供給が先細りしていくという構造的な課題も、カカオショックを招く大きな要因となっています。
カカオ不足が私たちの暮らしにもたらす影響

カカオの生産が危機に瀕すると、私たちの暮らしにも直接的な影響がおよびます。
お気に入りのチョコレートが値上がりしたり、店頭で見かけなくなったりと、価格高騰や品薄による影響はすでに始まっています。実際、日本の板チョコレートの平均価格は、2022年初めの100円以下から2024年12月には145円まで上昇しました。
このままでは、チョコレートが日常のおやつではなく「贅沢品になる」という専門家の予測も現実味を帯びてくるでしょう。
店頭では高カカオ商品の数が減少し、カカオを使わない「代替チョコレート」の開発も進むなど、従来の商品が手に入りにくくなる変化も起きています。

また、問題は消費者側だけにとどまりません。不安定な収入はカカオ農家の生活をさらに悪化させ、子どもたちが学校へ行けずに働かざるを得ない「児童労働」の温床にもなっています。
未来のカカオを守るための取り組み
深刻な状況にあるカカオですが、その未来を守るために世界中でさまざまな挑戦が始まっています。
カカオ2050年問題の危機に際して、企業や研究機関、NGOなどが連携して対策を進めています。
気候変動に強いカカオの開発と持続可能な農法の導入
カカオの持続可能性を確保するために不可欠なのが、新品種の開発です。
暑さや干ばつ、病害虫に強い品種の開発が急がれており、カリフォルニア大学などでは遺伝子編集技術を活用して、気候変化に対応できるカカオの品種改良が進められています。
同時に、森林環境を守りながらカカオを栽培する持続可能な農法「アグロフォレストリー」の導入も広がっています。
アグロフォレストリーとは、カカオの木と多様な植物を一緒に育てることで、生態系を守り土壌の浸食防止などをもたらす農法です。日陰を作る背の高い木(シェードツリー)を植えることで、病気の罹患率を下げる効果も期待されます。
国際協力機構(JICA)も、ギニアやエクアドルなどでアグロフォレストリーに取り組む日本企業を支援しています。
企業による産地支援と未来に向けた技術開発
世界のチョコレート関連企業は、現地への直接支援と技術開発への投資を積極的に行っています。
例えば、明治は「メイジ・カカオ・サポート」を通じて、9ヶ国で農家への技術指導や生活支援を行う一方、将来を見据えてカカオの細胞培養といった革新技術へも投資しています。
また、ロッテや不二製油などは、カカオの殻をバイオ炭として活用する再生農業の共同実証試験をガーナで行うなど、企業の垣根を越えた取り組みも進められています。
こうした個別の活動に加え、多くの企業が「世界カカオ財団(WCF)」といった国際的な枠組みに参画し、地球規模での課題解決に貢献しています。
チョコレートの未来を守るために今日からできること

チョコレートの未来を守るためには、国や企業の取り組みだけでなく、私たち一人ひとりの選択も大切になります。ここでは、日々の暮らしの中で今日から始められるアクションを紹介します。
環境に配慮されたチョコレートを選ぶ
チョコレート製品を買うときは、少しだけパッケージに注目してみましょう。
「国際フェアトレード認証」や「レインフォレスト・アライアンス認証」といったマークがついたチョコレートは、カカオ生産者の人権や地球環境に配慮して作られた製品の証です。
これらの製品を選ぶことは、カカオ農家の生活を支え、持続可能な生産を応援するという意思表示になります。私たちの日々の買い物を、チョコレートの未来を支える大切なアクションに変えていきましょう。


地球温暖化対策につながる選択をする
カカオ2050年問題の根本的な原因は「地球温暖化」です。
地球温暖化の進行を抑えるためには、私たちのライフスタイル全体で環境への負荷を減らす必要があります。
例えば、食品ロスを減らしたり、エコバッグやマイボトルを使ったりすることは、日々の生活に取り入れたい大切なアクションです。
そして、家庭からのCO₂排出量を効果的に削減する方法としておすすめなのが、毎日使う「電気」の見直しです。
実は、家庭から排出されるCO₂のうち、約半分は電気の使用に由来するもの。
暮らしに欠かせないエネルギーだからこそ、環境に優しいものを選ぶ。その意識が、巡り巡ってチョコレートの未来を守ることにもつながります。
エコな電気ならエバーグリーン!切り替えるだけで環境貢献に

環境に優しい電気を選ぶなら、『エバーグリーン』がおすすめです。
エバーグリーンは、国内有数のバイオマス発電事業者であるイーレックスと東京電力エナジーパートナーが、脱炭素社会の実現に向けて設立した共同出資会社です。
累計契約件数は19万件を突破し、多くのお客さまに選ばれています。
家庭からのCO₂排出量が実質ゼロに!
エバーグリーンでは、再生可能エネルギー100%で発電されたクリーンな電気をすべてのプランで提供しています。
そのため、エバーグリーンに切り替えるだけで、ご家庭で使う電気からのCO₂排出量が実質ゼロになります。
具体的には、一般的なファミリー世帯の場合、エバーグリーンへの切り替えによって、1ヶ月あたり約127kgものCO₂を削減できます。これは、杉の木およそ9本分の植林効果に相当する大きなアクションです。
※CO₂排出量は、令和5年度全国平均係数(0.423kg-CO₂/kWh)をもとに計算
※植林効果は「森林の二酸化炭素吸収力」(関東森林管理局/林野庁)をもとに、杉の木1本当たりの年間CO₂吸収量を14kgとして計算
これまでに、エバーグリーンのご利用で削減できたCO₂量は、累計で3億9,822万kgに達します。植林効果に換算すると2,845万本分にもなります。
毎日の暮らしに必要不可欠な電気だからこそ、一人ひとりの選択を、環境を守る大きな力に変えていきましょう。
「スマートゼロプラン」で、無駄なく賢くサステナブルな選択を
エバーグリーンではライフスタイルに寄り添うさまざまなプランをご用意しています。なかでもおすすめなのが、毎月の基本料金が0円の「スマートゼロプラン」です。
- 基本料金なし!使った分だけお支払い
多くの電力会社で設定されている月々の基本料金が、スマートゼロプランでは発生しません。お支払いいただくのは、実際に使った分の電気代だけ。電気の使用が少ない月でも、固定費を気にすることなくお過ごしいただけます。
- シンプルな一律料金単価
一般的な電力プランでは、電気の使用量に応じて料金単価が段階的に上がる場合がほとんどです。スマートゼロプランなら、使用量にかかわらず料金単価は常に一定。日々の暮らしの中で、電気を気兼ねなく快適にご利用いただけます。
- Amazonギフトカード5,000円分をプレゼント!
新規でご契約いただいたお客さまには、特典としてAmazonギフトカード5,000円分をプレゼントしています。暮らしに嬉しい、おトクな特典です。
エバーグリーンへの切り替え申し込みは、Webサイトからわずか5分程度で完了します。現在の電力会社への解約連絡はエバーグリーンが代行するため、お客さま自身でご連絡いただく必要もありません。
「毎月の電気代は使った分だけを支払いたい」という方は、ぜひチェックしてみてください。
一人ひとりの行動でカカオと地球の未来を守ろう
カカオの未来は、地球温暖化という大きな課題と密接につながっています。
認証マークのついたチョコレートを選ぶこと、そして家庭のCO₂排出量を減らすために、エコな電気に切り替えること。
私たちの身近な選択が、未来を変える力になります。カカオと地球の未来のために、今日から行動しませんか?
- 出典:
- ウェザーニュース|地球温暖化のウソ? ホント?(6)チョコレートやオリーブオイルの値上げはどうなる?
- 財経新聞|カカオの木、温暖化の影響で30年以内に絶滅の可能性も
- 国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター|1196. 気候変動のカカオ生産への影響
- CHOCOLATERIE TOKI|カカオの病気について
- 日本貿易振興機構(ジェトロ)|国際カカオ機関、カカオ豆需給予測を更新(コートジボワール)
- ロイター|焦点:西アフリカのカカオ大国「終わりの始まり」か、生産が壊滅的落ち込み
- 日本テクノ株式会社「EcoNews」|「代替食品」について知ることで食を取り巻く環境・人権・持続可能性の課題が見えてくる
- International Cocoa Organization (ICCO)|Pests & Diseases
- 明治ホールディングス株式会社|明治グループTNFD 提言に基づく自然関連情報開示:2025年版
- Voice Network|2022年版カカオバロメーター エグゼクティブサマリー
- 独立行政法人 国際協力機構(JICA)|開発途上国における サステイナブル・カカオ・プラットフォーム 2024年次レポート
- 特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン|フェアトレードカカオ
- 朝日新聞「with Planet」|甘いチョコの苦い現実 児童労働撤廃に向けた歩みと最新の動きとは?
- PR TIMES|“ひまわりの種”から生まれたチョコレート代替品 大好評!カカオを使用せずに作ったトップバリュ「チョコか?」に待望のブロックタイプが新登場!
- 株式会社 明治|カカオに関わるすべての人の暮らしを豊かにし、笑顔にするために持続可能なカカオ豆生産の実現に貢献 メイジ・カカオ・サポートにおいてさらなる目標を設定 農園までのトレーサビリティ確立、児童労働ゼロ、森林減少ゼロを目指して
- 明治ホールディングス株式会社||Meiji Cocoa Support カカオづくりを、持続可能に。明治にできることを、もっと。
- 不二製油株式会社|カカオのサステナブル調達
- 森永製菓株式会社|外部イニシアティブへの参加
- The Green Economy|ロッテなど4社、カカオの外殻をバイオ炭にする再生農業試験をガーナで開始
- Rainforest Alliance|レインフォレスト・アライアンス認証カカオ
- 特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン|認証ラベルについて
- Rainforest Alliance|「レインフォレスト・アライアンス認証」とは何を意味するのか?
