排出量取引制度とは?法人向けに仕組みや進め方をわかりやすく解説

ビジネス関連
2026年5月30日

排出量取引制度が2026年度から日本国内でも本格稼働しました。排出量取引制度の考え方や仕組み、対象企業など、法人が参加する場合の進め方などをわかりやすく解説します。

目次

排出量取引制度とは

排出量取引制度の目的とは

排出量取引制度は、企業ごとにCO₂排出量の上限を決めて、排出量が上限を超える企業と下回る企業との間で排出量を売買する制度です。2005年にEU排出量取引制度(EU-ETS)が導入されたのを皮切りに、英国、米国、中国など世界各国で導入が進められています。

大きな目的は、CO₂などの温室効果ガス排出量の削減を促すことです。2015年に国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定では、世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温上昇を2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑えるために努力する目標が掲げられました。また、持続可能な開発目標であるSDGs でも、「気候変動に具体的な対策を」が目標13に記載されています。

エバーグリーン:気候変動に具体的な対策を企業が進める方法を解説

地球温暖化を防ぐためには、全体の大きな割合を占める企業活動における温室効果ガス排出量を減らす必要があります。そこで、炭素に値付けするカーボンプライシングによって、企業が排出量を削減しようとする動機付けを行うことが、排出量取引制度で期待されています。

高い煙突から排出される蒸気や温室効果ガスのイメージ写真

排出量取引制度と成長志向型カーボンプライシング構想

日本では2023年に閣議決定されたGX推進戦略に基づいて、排出量取引制度と化石燃料賦課金がカーボンプライシングとして導入されることが決まりました。

導入の背景には、政府による「成長志向型カーボンプライシング構想」があります。日本は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げています。

この目標達成と、産業競争力の強化、それに経済成長をともに達成していくのが「成長志向型カーボンプライシング構想」であり、排出量取引制度は構想を実現するための重要な政策の一つに位置付けられています。

排出量取引制度(GX-ETS)の仕組みとは

日本では排出量取引制度が段階的に実施されています。2023年度から実施されているのがGX-ETSです。カーボンニュートラルへの移行に向けた挑戦をする企業が参画するGXリーグが設立され、2023年度からは第1フェーズとして、参画企業が自主設定した排出削減目標達成に向け排出量取引を行いました。

GX-ETSは、第2フェーズとなる2026年度から本格稼働しました。政府が一定の基準の下で制度対象者に排出枠を割り当てて、排出実績量と同量の排出枠を、毎年度法令に定める期限までに保有することを義務付けています。対象者は、排出枠の過不足に応じて、事業者間で排出枠を取引することができます。

つまり、政府から企業に排出枠が割り当てられ、過不足分を市場で取引するものです。企業が排出削減に向けた先行投資などの取り組みを促進することで、産業競争力強化と脱炭素を同時に実現することを目指しています。

経済産業省「排出量取引制度」の概要より、排出枠の取引イメージ図

排出枠の取引イメージ:経済産業省「排出量取引制度」の概要より

排出量取引制度の進め方は

排出量取引制度の対象企業は

GX-ETSの対象となるのはCO₂の直接排出量が、前年度までの3年度平均で10万トン以上の事業者です。

経済産業省によりますと、対象企業は石油の元売りや電力会社をはじめ、製鉄、化学、自動車などの業界を中心に、300社から400社程度となる見通しです。国内の温室効果ガス排出量の60%近くをカバーすることが見込まれています。

排出量取引制度の手続きとは

企業は次のように手続きを進めます。まず、直近3年度平均の排出量を算出して、制度の対象となる10万トン以上かどうかを確認します。対象になった場合は、一定の基準に基づいて排出目標量等合計量を算定します。排出目標量は、経済産業大臣より登録を受けた登録確認機関による確認が必要です。

続いて、年度平均排出量と排出目標量等合計量を経済産業大臣に届け出るとともに、移行計画を提出します。その後、排出枠が割り当てられます。ここまでが制度対象となる年度に必要な手続きです。

翌年度になると、制度対象年度の排出実績量を算定します。この際にも登録確認機関による確認が必要です。この排出実績量を経済産業大臣に報告することで、排出枠の保有義務量が通知されます。

排出枠が足りない場合は、排出枠取引市場で排出枠を調達して、制度対象年度の翌年度の1月31日に、保有義務量と同量の排出枠を保有します。その上で経済産業大臣は、保有義務分の排出枠を事業者の口座から消滅させる排出枠の償却を行います。

経済産業省とGX推進機構による排出量取引制度ポータルサイト

このように、排出量取引制度ではさまざまな手続きが必要になります。経済産業省とGX推進機構は制度の概要や、制度対象者などに向けた情報を、排出量取引制度ポータルサイトで紹介しています。詳しくはポータルサイトをご覧ください。

経済産業省・GX推進機構「排出量取引制度ポータルサイト」

排出量取引制度の今後と課題は

排出量取引制度は2026年度から本格稼働

GX-ETSは前述の通り2026年度から本格稼働しています。2026年度は制度開始初年度のため、手続きなどのスケジュールは特例的なものになっています。

主な特例事項は、2026年度に限り、排出目標量等合計量の届出と排出枠の割り当てが2027年度となっていることです。このため、2026年度には登録確認機関の確認を要するものはないものの、2026年度から算定対象期間となることから、経済産業省では登録確認機関との契約は2026年度のうちから取り組むことを推奨しています。

また、排出枠取引市場はGX推進機構が設置・運営することになっていて、2027年秋頃に開設される予定です。

排出量取引制度のスケジュールとは

2027年度以降の基本的なスケジュールは、制度対象年度には年度平均排出量と排出目標等合計量の届出が9月30日までに必要となり、排出枠は11月末に割り当てられます。

翌年度は排出実績量の報告を9月30日までに行って、11月末に保有義務量が通知されます。排出枠の保有と排出枠の償却は1月31日になります。

経済産業省・GX推進機構が作成した排出量取引制度の基本的な制度スケジュール

基本的な制度スケジュール:経済産業省・GX推進機構作成資料

排出量取引制度の課題とは

割り当てられた排出枠を、実際の排出量が超過してしまった場合には、企業は不足分を補うための対応が必要になります。

補う方法には、排出枠取引市場を通じて他の企業が余らせた排出枠を購入することや、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入、それに森林による吸収などの活動によって実現されたCO₂の削減量と吸収量を価値化した、カーボンクレジットを調達する方法があります。翌年度の1月31日までに不足分を補うことができない場合は、未履行分に対して課徴金を支払うことになります。

また、GX-ETSの第3フェーズでは、2033年頃から発電部門について段階的な有償オークションを導入する予定です。制度を継続していくためにも、市場の公正性と価格形成を担保することなどが課題になっています。

企業がCO₂排出量を大幅に削減する方法に、電力契約の切り替えがあります。エバーグリーンでは、法人向けの高圧について5つの料金プランを用意しています。さらに、環境価値を持つ非化石証書を組み合わせることで、実質的に再生可能エネルギーを提供し、CO₂排出係数をゼロにできるCO₂フリープランを、全てのプランにオプションで付加することが可能です。以下のリンクからぜひご検討ください。

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よくある質問

Q.排出量取引制度はいつから始まりますか?

A.2026年度から本格稼働しています。初年度の2026年度は特例的なスケジュールが適用されています。排出枠取引市場は2027年度秋頃に開設予定です。

Q.排出量取引制度の対象企業は?

A.CO₂の直接排出量が、前年度までの3年度平均で10万トン以上の事業者です。

Q.排出量取引制度の取引価格はどのように決定されますか?

A.主に市場における排出枠の需要と供給のバランスによって決定されます。GX-ETSでは価格の急激な変動を抑制するための設計も検討されています。

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