環境価値を取引する3種類の証書(Jクレジット制度・非化石証書・グリーン電力証書)とは?活用方法についてご紹介します。

2020年06月22日

地球温暖化の抑制、低炭素・脱炭素化社会への実現に向けて世界中の企業でCO₂削減の取り組みが重要視されています。今回は、CO₂排出削減に活用できるJクレジット制度、非化石証書、グリーン電力証書についてご紹介します。

【目次】

Jクレジット制度とは

■Jクレジット創出者のメリット

■Jクレジット購入者のメリット


非化石証書とは


グリーン電力証書とは

Jクレジット制度・非化石証書・グリーン電力証書の国際イニシアチブへの活用方法


まとめ




※この記事は、2020年6月22日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2021年3月2日に再度公開しました。

Jクレジット制度とは


Jクレジット制度とは、省エネ機器や再生可能エネルギーの導入、森林経営などの取り組みによるCO₂などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。
Jクレジット制度によって創出されたクレジットは、カーボン・オフセットや低炭素社会実現に向けての目標達成など様々な用途に活用できます。

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(出典:Jクレジット制度とは)

■Jクレジット創出者のメリット



Jクレジット創出者とは、再生可能エネルギー、省エネ設備等の導入によってエネルギー転換している企業や、適切な植林、問伐等により森林を管理する農業者、森林所有者、地方公共団体等を指します。Jクレジット創出者になることで、以下のようなメリットがあります。

1) 地球温暖化をはじめとする環境問題への取り組みに積極的な企業であることを、外部にアピールできる。
地球温暖化は、世界共通の課題として、早急な対策が求められています。企業、団体として自主的にCO₂の吸収、排出に取り組むことで、地球温暖化対策に積極的であるということを、取引先や投資家、消費者に対してPRすることができます。

2) クレジットを売却することによる利益創出
創出したクレジットを必要としている企業、地方公共団体に売却することで利益を得ることができます。また、得た利益を新たな設備投資の一部に活用すれば、投資費用の回収や更なる省エネ投資に繋がります。

3) 電気料金等のランニングコストの削減が期待できる
省エネ設備、再生可能エネルギーの活用により、自社の電気料金等のランニングコストの削減が期待できるうえ、持続的なクリーンエネルギーでの事業運営が可能です。

4) 社内教育への活用、組織内メンバーの環境意識の向上
Jクレジット制度への参加で、取り組みを具体的な数値として見える化でき、自社のメンバーの環境意識の向上や、社内教育に活用できます。

5) 新しいネットワークの開拓、拡大
創出したクレジットの売買等を通じて、環境への取り組みに意欲的な企業、地方公共団体と新しい繋がりができるほか、その企業等を通じて更なるネットワークの拡大も期待できます。

(出典:Jクレジット制度とは)

■Jクレジット購入者のメリット


では逆に、Jクレジットの購入者は購入したJクレジットをどんなことに利用できるのでしょうか。

1) 環境貢献企業として企業価値の向上に繋がる
環境への取り組みは、国家間だけでなく企業にも求められており、なかにはCSR(企業の社会的責任)としてCO₂の排出削減を目標としている企業もありますが、自社の努力だけではなかなか難しい部分もあります。Jクレジットの購入を通して、クレジット創出者による省エネ活動や森林保全の促進に繋がり、環境貢献企業として外部へのPR効果に繋がるほか、CO₂を削減しているという実績を得られるため、企業価値の向上にも繋がります。

2) 温対法・省エネ法・各環境イニシアチブへの報告に活用できる
温対法※、省エネ法 への活用のほか、RE100 ※、CDP※質問書、SBT等のイニシアチブに対し再エネ調達量として報告可能です。

3) 製品・サービスの差別化を図れる
製品・サービスに係るCO₂量をオフセットすることで、他社との差別化や自社のブランディングが図れます。

4) ネットワークの構築、拡大
Jクレジット購入を通して他の企業や地方公共団体との新たなネットワークを構築できます。また、ビジネス機会の獲得などにも繋がります。

※温対法:地球温暖化対策の推進に関する法律
※RE100:RE100への報告にはGHG(温室効果ガス)プロトコルをベースに独自要件あり
※CDP:投資家向けに企業の環境情報の提供を行うことを目的とする国際的なNGO

(出典:Jクレジット制度とは)

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非化石証書とは


非化石価値取引市場で売買される非化石証書とは、石油や石炭などの化石燃料を使っていない「非化石電源」で発電された電気が持つ「非化石価値」を取り出し、証書化したものです。
小売電力事業者は、自ら供給する電気の非化石電源比率を2030年までに44%とすることが、エネルギー供給構造高度化法によって求められています。この目標達成を促し、固定価格買取制度(以下、FIT)による再エネ賦課金の軽減を資するために誕生したのが、非化石価値を証書化して売買できる非化石価値取引市場です。

再生可能エネルギーなどの非化石電源は、化石燃料を使う化石電源に比べ、地球温暖化の原因となるCO₂の排出量が少ないという特徴があります。
前述の通り、CO₂を発生させない電気には、「環境価値」があり、その環境価値のひとつである「非化石価値」を取り出し、証書のかたちにして売買を可能にしたのが「非化石証書」です。非化石電源を使って電気をつくる発電事業者は、この非化石証書を非化石取引市場でオークションにかけます(現時点ではFIT対象となっている電源のみ可能)。小売電気事業者がこの証書を購入することで、高度化法の義務の履行(非化石電源比率を2030年度までに44%にすること)に利用することができるほか、購入した証書の分だけ販売する電気のCO₂排出量が少なくなるとみなされます。

(出典:資源エネルギー庁|2018年5月から始まる「非化石証書」で、CO2フリーの電気の購入も可能に?)

(出典:資源エネルギー庁|「非化石証書」を利用して、自社のCO2削減に役立てる先進企業)


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グリーン電力証書とは


グリーン電力証書は、再生可能エネルギーによって発電された電気の「環境価値」を証書化したもので、第三者承認機関の承認を得て証書発行事業者がグリーン電力証書を発行します。また、グリーン電力証書の発電電力量・生成熱量に基いて、そのCO₂排出削減価値を国が認証することにより、温対法に基づく温室効果ガス排出算定・報告・公表制度等に活用できるようにした制度が、「グリーンエネルギーCO₂削減相当量認証制度」です。

グリーン電力証書を購入することで、購入した分に相当する使用電力を再生可能エネルギーにより供給されたものとみなすことができます。また、グリーンエネルギーCO₂削減相当量認証制度の活用によって、グリーン電力証書のCO₂排出削減価値が国により認証されるため、温対法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度にも利用することができます。企業や自治体は発電設備を所有していなくても、自然エネルギーの普及に貢献できるため、地球温暖化防止につながる仕組みとして、多くの企業や自治体の関心を集めています。

(出典:経済産業省|第3回CO2フリー水素WG)

(出典:資源エネルギー庁|グリーンエネルギーCO₂削減相当量認証制度ご利用ガイド)

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Jクレジット・非化石証書・グリーン電力証書の国際イニシアチブへの活用方法


Jクレジット、非化石証書、グリーン電力証書はそれぞれ各温対法対策や省エネ法に報告できるほか、各イニシアチブにも活用できる可能性について触れてきました。
ここでは、近年参加する企業や関心が高まっているRE100、CDP、SBTにおいてどの証書が活用できるのかまとめます。

基本的にCDP、SBTに関しては3つ全てにおいて活用可能です。非化石証書は、条件付きでRE100において利用が認められています。非化石証書の元になる自然エネルギーの発電設備に関する属性情報を追加した場合に限って利用が認められており、この非化石証書はトラッキング付非化石証書と呼ばれています。
グリーン電力証書とJクレジットに関してもRE100への活用は可能ですが、Jクレジットの場合は再エネ発電由来のJクレジットでなければ認められていません。

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まとめ


CO₂排出削減への取り組みは、今後の企業活動において、必須事項といっても過言ではありません。もちろん、今回ご紹介した3つの証書を活用する以外にも、取り組む方法はありますが、様々な方法を組み合わせて、CO₂の削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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