【業界別事例付き】持続可能な企業になるためのSDGs活用方法とは?

2020年09月10日

昨今ますます注目が高まっているSDGsについて、企業がSDGsを活用するメリット、企業、バリューチェーンのSDGsをめぐる取り組みなどを事例付きでご紹介します。

【目次】

SDGsとは

SDGsの活用で企業が得られるメリット


SDGsをめぐる企業、バリューチェーンの持続可能性に関わる動き



■金融・証券業界の動き


・全国銀行協会によるSDGsへの取組


・証券業界における「SDGs宣言」の公表


■SDGsを巡る企業、バリューチェーンの持続可能性に関わる動き


・持続可能な調達アクションプログラム


・農林漁村


・食品業界

SDGs実施指針の改定について


まとめ




 

※この記事は、2020年9月10日に公開した記事ですが、文言やデータ、その他の部分も追記‧更新して2021年09月29日に再度公開しました。

SDGsの基本知識、取り組みの進め方等を紹介したコラムはこちら
SDGs(持続可能な開発目標)とは?需要が高まる理由、国内の取組についてご紹介します。

SDGsとは


SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、日本語で「持続可能な開発目標」とも呼ばれます。
SDGsは2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,日本も積極的に取り組んでいます。

SDGsについて詳しくはこちら


(出典:SDGsとは?|外務省)

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SDGsの活用で企業が得られるメリット


昨今の少⼦⾼齢化による⼈材不⾜や消費者ニーズの多様化等に伴い、売上拡⼤や事業承継において課題を抱える企業が増えてきています。企業が安定した事業運営を行い、将来発展していくために必要となるのが、⻑期的な視点で社会のニーズを重視した経営と事業展開です。
そこで、ビジネスにおいて経営リスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを獲得して持続可能性を追求するためのツールとして注目されているのが、SDGsです。

企業がSDGsに取り組むことで以下のようなメリットがあります。

① 企業イメージの向上
SDGsに取り組むことで、自社を取り巻く様々なステークホルダーにアピールできるとともに、信頼を得ることができます。
また、多様性に富んだ⼈材確保にもつながるなど、企業にとってプラスの効果をもたらします

② 生存戦略になる
取引先のニーズの変化や新興国の台頭などで、昨今の企業の⽣存競争はますます激しくなっています。特に海外の企業と取引をしているところでは、SDGs への対応がビジネスにおける取引条件になっているというケースもあります。SDGsへしっかりと取り組むことで、持続可能な経営を行う戦略の一つとして活用できます。

③ 社会課題への対応
SDGs には社会が抱えている様々な課題の解決をゴールとして設定しており、今の社会が取り組むべきあらゆる問題がまとめられています。
これらの課題への対応は、経営リスクの回避とともに社会への貢献や地域での信頼獲得にもつながります。

④ 新たな事業機会の創出
SDGsへの取組をきっかけに、地域との連携、新しい取引先や事業パートナーの獲得、新たな事業の創出など、今までになかったイノベーションを生み出すきっかけにもなりえます。

また、SDGsに取り組むことでSDGsのゴール・ターゲットと自社の繋がりに気づき、そこから自社の強みを再確認したり、逆に今まで気づかなかった自社の可能性の発見にも繋がります。

(出典:すべての企業が持続的に発展するために-持続可能な開発目標(SDGsエスディージーズ)活用ガイド-[第2版]|環境省)


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SDGsを巡る企業、バリューチェーンの持続可能性に関わる動き


SDGsと関連の深いESG投資 においては、企業の社会課題への対応と企業価値のバランスが評価の基準となります。従来はCSR(企業の社会的責任)やCSV(共通価値の創造)等が企業価値を判断する上での重要な要素となっていましたが、そこに新たにSDGs(持続可能な開発目標)が加わりました。
ここでは、例としてSDGsを巡る企業、団体の動きについていくつかご紹介します。

■金融・証券業界の動き

日本の年金積立金の管理及び運用を行っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、2015年にPRI※に署名したことをきっかけに、国内でのESG投資への関心が一気に高まるとともに、金融・紹介業界におけるSDGsへの取組が活発化しました。

※PRI:資金運用においてESGの視点を反映させる国連責任投資原則

・全国銀行協会によるSDGsへの取組

全国銀⾏協会では、2018 年 3 ⽉、会員銀⾏と役職員に向けた⾏動指針「⾏動憲章」を改定してSDGs の考え⽅を反映するとともに、協会としての SDGs 推進体制や取組項⽬を決定しました。新たに設置した「SDGs/ESG 推進検討部会」を中⼼に、中⻑期的に SDGs に取り組むことを表明しており、それらの活動実績等は、「全銀協レポート」として取りまとめられています。
また、会員銀⾏においても、SDGs の達成への貢献を⽰した「SDGs 宣⾔」の策定や SDGs に係る⾦融商品の取り扱いなどが始まっています。

・証券業界における「SDGs宣言」の公表

⽇本証券業協会では、証券業界としての SDGs への積極的な取組姿勢として、2018 年 3 ⽉に「SDGs 宣⾔」を公表しました。
同宣⾔では、下記4項⽬を通じて SDGs の達成に貢献するとともに、証券業⾃らの持続的成⻑を⽬指すとしています。

① 貧困・飢餓をなくし地球環境を守る取組み
② 働き⽅改⾰そして⼥性活躍⽀援を図る取組み
③ 社会的弱者への教育⽀援に関する取組み
SDGsの認知及び理解度の向上に関する取組み

■SDGsを巡る企業、バリューチェーンの持続可能性に関わる動き


企業は、製品やサービスの供給に関し、原料の採取、運搬、加⼯、販売などの企業活動の全過程(バリューチェーン)において、環境と社会に何らかの負荷をかけています。
企業・バリューチェーンにおいては、持続可能な調達を行うために以下の様な取り組みが進んでいます。

・持続可能な調達アクションプログラム

企業・⾏政・⺠間団体で構成された、グリーン購⼊ネットワーク(GPN:Green Purchasing Network)では、持続可能な社会経済への寄与をめざすグリーン購⼊※の促進、普及啓発を⾏っています。2018 年 より、企業における消費と⽣産への持続可能性への考え⽅を根付かせる客観的な評価を行うための、「持続可能な調達アクションプログラム」を始めました。
このプログラムは、⾃社や⾃社製品・サービスの環境⾯だけでなく、社会⾯の取組やサプライヤーへの確認状況などをセルフチェックするもので、チェックリストを記⼊・提出し、事務局からの評価結果をもらう仕組みになっています。⾃社の環境・社会⾯の取組を客観的に評価できるとともに、⾃社の課題を明確にできる等といったメリットが紹介されています。

※ グリーン購入:購入の必要性を十分に考慮し、環境負荷ができるだけ小さい製品を、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入すること

(出典:環境省|すべての企業が持続的に発展するために- 持続可能な開発目標(SDGsエスディージーズ)活用ガイド -[第2版]

・農山漁村の取組


農山漁村には、環境・経営の面で持続的な発展を可能とする再生可能エネルギーのポテンシャルやバイオマス、在来作物など様々な資源が存在します。
例えば、再生可能エネルギーの観点でみると、農山漁村地域が持つ「太陽光」や「風力」、「バイオマス」などの自然由来の資源と、「低炭素」「エネルギーの地産地消」などの再生可能エネルギーの価値を組み合わせることで、SDGsが掲げる8・11番目のゴール「地域再生・創生」「雇用創出」「地域主体の地域づくりのチャンス」の達成に取り組むことができます。

事例を挙げると、千葉県匝瑳(そうさ)市では拡大した荒廃農地の解消が長年課題となっておりました。解決に向けて作物の販売収入に加え売電による継続的な収入や発電電力の自家利用等で経営を改善する「営農型太陽光発電に着目」し、新規就農者や地元の発電事業者が一体となって取り組みました。その結果、農業者は売電収入の下支えで安定経営を実現しただけでなく、太陽光パネルの下で栽培した大豆などを材料として新たな加工品をつくるなど付加価値の高い農業になりました。それと同時に営農型太陽光発電による耕作面積の拡大で荒廃農地が解消するなど、地域農業の継続性も高まりました。

(出典:1 農山漁村 × 再生可能エネルギー|農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/attach/pdf/main-1.pdf

・食品業界の取組


食品産業は、さまざまな栄養素を含む食品を安定供給することで、SDGsが目指す豊かで健康な社会に貢献できる産業です。
例えば、SDGs2番目の目標「飢餓をゼロに」では、2030年までに、飢餓とあらゆる栄養不良に終止符を打ち、持続可能な食料生産を達成することを目指しています。この目標達成の為に、食品産業業界のあらゆる企業が国内外の原料生産者と連携を行い、持続可能な農業に貢献しています。

業界大手の味の素株式会社では、グループポリシーの基本原則の一番に「栄養改善の取組」を掲げ、世界各国の様々な人々の栄養ニーズに基づき、毎日の食事の栄養バランスを向上させる製品を供給しています。また、栄養バランスのよいメニューの提案などにも積極的に取組んでいます。

また、同じく大手の株式会社伊藤園では、「コミュニティと産業育成」をESG重要課題に掲げ、調達の一部で茶農家や行政と協働で取り組む「茶産地育成事業」を展開しています。この事業は個々の茶農家との契約栽培と、耕作放棄地などを利用して大規模な茶園で畑づくりから茶葉を育成する新産地育成事業で構成され、継続的に面積が拡大しています。


(出典:17の目標と食品産業とのつながり|農林水産省)

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SDGs実施指針の改定について


冒頭でもご紹介した日本政府によって設置された「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」では、これまで幾度となく会議を重ねSDGs実施指針の改定を行ってきました。
令和元年12月20日にSDGs推進本部幹事会で改訂された最新のSDGs行動指針では、従来の取組に対する現状の評価を行った上で、ビジョンとして2030年にむけて取り組むべき課題を挙げ、ビジョンの達成及び日本の「SDGs モデル」の確立に向けた取組の柱として以下の 8 分野の優先課題を掲げました。



(People 人間)

1 あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
2 健康・長寿の達成


(Prosperity 繁栄)
3 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
4 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備


(Planet 地球)
5 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全


(Peace 平和)
7 平和と安全・安心社会の実現


(Partnership パートナーシップ)
8 SDGs 実施推進の体制と手段


これらの優先課題はそれぞれ、2030 アジェンダに掲げられている 5 つの P(People(人間)、 Planet(地球)、 Prosperity(繁栄)、 Peace(平和)、 Partnership(パートナーシップ)に対応する分類となっています。
また、SDGs におけるすべてのゴールとターゲットが不可分であり統合された形で取り組むことが求められているのと同様、これらの 8 つの優先課題も密接に関わる不可分の課題であり、どれか一つが欠けてもビジョンは達成されないという認識の下、その全てに統合的な形で取り組む、としています。

(出典:首相官邸|SDGs 実施指針改定版)

まとめ


前回のコラムと合わせて、SDGsについて少しでも理解を深めて頂けたなら幸いです。
SDGsへの取組の重要性を理解することはできても、自社で実際に1から何をすべきか考えることはなかなか難しいと思いますが、本コンテンツや政府が公開している資料を参考に、「出来る取り組み」から考えてみてはいかがでしょうか。


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