【電力創出・調整力の新手法】VPPとは?導入のメリット、活用モデルをご紹介。

2020年10月16日

VPPとは、バーチャルパワープラントの頭文字を取ったもので、「仮想発電所」とも呼ばれます。仮想発電所というと少し現実離れした印象がありますが、どのようなシステムなのでしょうか。アメリカやヨーロッパでは電力創出、調整力の新手法として既に検討が進んでいます。近い将来日本国内での実施も期待されている「VPP」についてご紹介します。

【目次】

VPPとは


VPPの実施が期待される背景


VPPを実施するメリット

 
VPPを活用したビジネス


■ネガワット取引

■卒FIT太陽光発電

まとめ



VPPとは


VPPとは、バーチャルパワープラント(Virtual Power Plant)の略で、分散設置されたエネルギーリソース(発電設備、蓄電設備、需要設備)をICT※を活用してアグリゲーション(束ねること)し、あたかも一つの発電所のように制御する技術のことです。複数の小規模発電設備を1つの発電所であるかのようにまとめて機能させることから、「仮想発電所」とも呼ばれます。

※ICT:Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。通信技術を活用したコミュニケーションを指し、情報処理の他、インターネットのような通信技術を利用した産業、サービスの総称。

VPPは、工場や家庭などで所有する小規模のエネルギーリソースを一つ一つ束ね、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用できるとして、期待されています。

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(出典:資源エネルギー庁|バーチャルパワープラント(VPP)・デマンドレスポンス(DR)とは)

(出典:資源エネルギー庁|バーチャルパワープラント)

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VPPの実施が期待される背景


VPPは、国内での導入はまだ進んでいる状況ではありませんが、分散型エネルギーシステムにおいては既に活用されています。東日本大震災を機に、電力供給のひっ迫が課題として浮き彫りになり、従来の省エネの強化だけでなく、電力の供給バランスを意識したエネルギーの管理の重要性が広く認識されました。また、並行して太陽光発電やエネファーム(家庭用燃料電池)等を燃料として電気をつくると同時に、発電時に排出される熱を給湯や暖房など他の設備に利用するコージェネレーションシステム(コジェネ)、蓄電池、電気自動車、ネガワット(電力の節電)等、需要家側に導入される分散型エネルギーリソースの普及が進みました。

こうした背景から、従来の大規模集中型エネルギーシステムによるエネルギー供給が見直され、需要家側のエネルギーリソースを電力システムに活用する仕組みの構築が進められています。

(出典:資源エネルギー庁|バーチャルパワープラント(VPP)・デマンドレスポンス(DR)とは)

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VPPを実施するメリット


VPPを実施することで以下のようなメリットが期待されます。

■電力需要の負荷を平準化し、発電コストを削減

VPPにより、ピーク時間帯の電力の需要量を下げたり、別の時間帯に移したりすることで、電力需要の負荷を平準化することができます。
電力需要のピーク時間は、年間でみるとわずかな時間ですが、このわずかな時間の需要を満たすために発電設備は常に維持、管理されています。このピーク時間帯の電力需要を抑制することで、維持、管理費や設備投資を抑えることが可能になります。

■再生可能エネルギーの導入拡大

太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候などにより発電設備の出力が変動するため、他の電源の出力を調整することで変動を吸収し、電力の需給を一致させる必要があります。再生可能エネルギーによる発電設備の導入の促進が求められる中、例えば1日の中で発電量が需要量を上回る時間帯が生じ、再生可能エネルギーを抑制する必要が出てきた場合、VPPにより需要を創出することで、発電した電力を有効活用することが出来ます。

具体的には、蓄電池などをはじめとする需要家側のエネルギーリソースを制御し、当初の計画を上回る需要を創出することにより、需要と供給のバランスを保つことができます。これにより、将来的により多くの再生可能エネルギーの導入に貢献することが期待されています。

(出典:資源エネルギー庁|バーチャルパワープラント)

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VPPを活用したビジネス


VPPとは何か、実施のメリットをお伝えした上で、VPPを活用したビジネスについて、いくつかのモデルをご紹介します。

■ネガワット取引

VPPを活用したビジネスとして、2017年から始まったのが「ネガワット取引 」です。
ネガワット取引とは、アグリゲーター等との事前の契約に基づき、電気のピーク需要のタイミングで節電を行う、インセンティブ型のDRです。

ネガワット取引は、事業者のみならず一般家庭もDRに参加でき、通常の節電効果に加え、報酬※を受け取れることがメリットとして近年注目されています。

※依頼方法や報酬等の内容はアグリゲーター等との契約によります。

■卒FIT太陽光発電



卒FIT 太陽光発電とは、FIT制度による買取期間が満了した太陽光発電設備を指します。
2019年11月以降、順次FIT買取期間を終えた住宅用太陽光発電がでてきたことで、その後投資回収が済んだ安価な電源として活用されるケースが増えること等から、家庭における再エネ活用モデルとして注目されています。VPPを活用することで、アグリゲーターによる、系統や蓄電池等を活用した家庭の余剰電力の有効活用が可能になると言われています。

(出典:資源エネルギー庁|バーチャルパワープラント)

(出典:経済産業省|分散型エネルギーリソースの最適活用に向けた取組)

まとめ


VPPとは何か、実施が期待される背景と、実施のメリット、VPPを活用したビジネスをご紹介しました。
電気料金の値上げ、災害時等ひっ迫した状況下での電力の安定供給と需給調整など、従来の大規模集中型の発電設備が抱える課題を解決する一つの方法としてVPPは有効であると考えられています。

既に検討が進んでいるアメリカ、ヨーロッパ※に続いて、 IT技術や電力システムの変革が少しずつ進歩している日本でも、将来的な導入と定着に期待します。

※(出典:諸外国におけるバーチャルパワープラントの実態調査)




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