風力発電とは?メリットと課題、洋上風力発電の可能性についてご紹介します。

2020年12月15日

風力発電は、日本でも有力な発電方法として導入が進められてきましたが、国内の他の再生可能エネルギーと比較すると、まだまだ未達な部分があります。今回は、身近な風力発電について、改めてそのポテンシャルと現状をお伝えします。

【目次】


風力発電とは


風力発電のメリット


風力発電の課題


洋上風力発電の可能性


洋上風力発電の導入状況


まとめ



※この記事は、2020年12月15日に公開した記事ですが、文言やデータ、その他の部分も追記‧更新して2021年6月22日に再度公開しました。

風力発電とは


風力発電は、太陽光発電などと並んで代表的な、再生可能エネルギーによる電気エネルギーの一つです。
その名の通り、風のエネルギーを電気エネルギーに変えるもので、2000年以降導入件数は増え続けており、2020年12月末には設備容量443.9万kW、設置基数2,554基となっています。

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※2021年2月時点の速報値

再生可能エネルギーの詳しい解説はこちら

再生可能エネルギーとは?企業のメリットと今後の課題

(出典:NEDO|日本における風力発電導入量の推移)

(出典:一般社団法人 日本風力発電協会 |日本の風力発電導入量)

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風力発電のメリット


風力発電には、主に以下のようなメリットがあります。

1) 経済性を確保できる可能性のあるエネルギー源
風力発電は、大規模に発電できれば発電コストが火力並みであることから、経済性も確保できる可能性のあるエネルギー源といわれています。

2) 変換効率が良い
風車の高さや羽根(ブレード)によって異なりますが、風力エネルギーは高効率で電気エネルギーに変換できるといわれています。

3) 陸上と洋上で発電可能
日本で風力発電といえば、大体が山間や丘に建つ陸上風力を想像すると思います。実際、陸上風力の設置の方が日本は進んでいますが、導入可能な適地は限定的であることから、大きな導入のポテンシャルを持つ洋上風力発電も検討・計画されています。

4)昼夜問わず 稼働できる
 太陽光発電と異なり、風さえあれば夜間でも稼働できるため、時間帯 の影響をあまり受けません。

(出典:資源エネルギー庁|なっとく!再生可能エネルギー 風力発電)

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風力発電の課題


既にお伝えした通り、風力発電の導入は、2000年以降増加の一途を辿っていますが、2030年の日本の電源構成(電力を発電する方法の組み合わせ)を示した「エネルギーミックス」において、目標として掲げられた全体の1.7%を風力発電とすることについては、2020年6月の時点で目標の導入量に対して約44%程度の進捗となっています。
固定価格買取制度(FIT)のスタート以来、FIT制度の対象として認定を受けた風力発電は、2030年のエネルギーミックスの見通しである「1,000万kW」に近づいています。しかしながら、「実際に稼働している風力発電」で見ると、導入量はまだまだ少ないのが現状です。

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これには、以下のような課題を解決していく必要があります。

1) 発電コストの削減
2020年上半期の日本の陸上風力発電コストは12.9円/kWhで、世界平均の4.8円/kWhと比較して8.1円の差があります。開発から運営まで全て担うことのできる風車メーカーの育成や、低コストを実現できるような新型風車の開発、メンテナンスの効率化、人材育成など効率的で安定的な発電システムの確立が求められます。

2) 環境アセスメントの手続きなどでリードタイムが長くなる
環境アセスメントと呼ばれる、主に大規模開発事業等による環境への影響を事前に調査する手続きには通常3~4年かかるとされており、スムーズな導入に少なからず影響しています。この課題解決のために、環境調査をほかの手続きと並行して行えるような実証実験が行われていますが、今後も手続きに要する期間の短縮が求められます。

FIT制度について詳しくはこちら

FIT制度とは?導入の背景と関連する再エネ賦課金について紹介

(出典:資源エネルギー庁|これからの再エネとして期待される風力発電)

(出典:資源エネルギー庁|風力発電について)

(出典:資源エネルギー庁|これからの再エネとして期待される風力発電)

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洋上風力発電の可能性


陸上風力発電においては、適地が限定されるため、海域を利用した洋上風力発電が新たに注目されています。諸外国に比べ、国土も広くはない日本において、周囲を海に囲まれている環境は洋上風力発電を導入しやすく、期待されています。
導入に向けて、海域の占用に関するルールの問題や、漁業、船舶運航事業者との利害調整の必要などの課題がありましたが、2019年4月に施行された「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」によって、それらの課題が整理され、今後は事業を適切なプロセスで進められるようになることが期待されます。

日本政府も洋上風力発電の導入促進に向けて、以下の政策の実施を提言しています。

1) 中長期的な導入目標量や発電ポテンシャル量の提供を行うことで、継続的かつ計画的な洋上風力発電の導入促進につなげる。また、関連する投資を促す。
2) 洋上風力関連産業の育成や、新たな産業・市場の創出によって、地元の経済および産業を活性化していく。
3)日本特有の気象・海象特性等に応じた、発電設備・構造、設計・施工・維持管理・撤去・コスト削減に関わる新しい技術開発を促す。
4)導入までをスピーディーに行うために、促進区域指定・事象者選定を円滑にすること、基地港湾の適正配置や機能強化を通じた、事業環境の整備を行う。

実際の取り組みとして、経済産業省及び国土交通省は洋上風力発電の計画的かつ継続的な導入拡大とそのために必要な洋上風力関連産業の競争力強化を進める「洋上風力発電の産業競争力強化に向けた官民協議会」を令和2年に設立しています。

(出典:資源エネルギー庁|新法施行後、「洋上風力発電」に向けた動きは今どうなっている?)

(出典:資源エネルギー庁|日本でも、海の上の風力発電を拡大するために)

(出典:国土交通省|我が国における洋上風力発電の現状と将来展望)

(出典:国土交通省|洋上風力の産業競争力の強化に向けた官民協議会 )

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洋上風力発電の導入状況


日本における洋上風力発電の導入量は、約2万kWに達しています。また、環境アセスメント手続き中の案件が1,300万kW以上に達し、民間企業などが積極的に事業参入をおこなうフェーズに入っています。

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出典:発電所環境アセスメント情報サービス(経済産業省HP)等から作成
※環境アセス手続き中は2019年8月末時点
※一部環境アセス手続きが完了した計画を含む
※一般海域は一部区域が重複しているものあり

(出典:国土交通省|我が国における洋上風力発電の現状と将来展望)

まとめ


世界規模でみると再生可能エネルギーの中で導入が比較的進んでいる風力発電ですが、日本では先に述べた課題などによって、まだまだ導入が進んでいるとは言えません。しかし、風力発電のポテンシャル自体は高く、将来的な日本の再生可能エネルギーの導入拡大に大いに貢献してくれるのではないでしょうか。


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