小水力発電とは?環境活動と地方活性化に繋がる新しい水力発電についてご紹介します。

2020年12月24日

水力発電というと、多くの方がダムのような大きな設備を想像すると思います。しかし、「小水力発電」と呼ばれるごく小規模な水力発電があるのをご存じでしょうか。日本の地理的な特徴から導入の好条件が揃っているといわれる「小水力発電」について詳しくご紹介します。

【目次】


小水力発電とは


小水力の特長


①環境に配慮した再生可能エネルギー


②将来的な市場の拡大が見込まれる


③独自の小水力技術


④地域活性化、雇用促進に繋がる


導入のメリット、課題


■メリット


■課題


まとめ

小水力発電とは


小水力発電とは、最大出力が通常の水力発電よりも少ない環境配慮型の発電設備です。
この「小水力」の規模は、世界各国で統一されているものではありませんが、概ね「10,000kW以下」とされています。日本の電力業界では、従来から「10,000kW以下」を小水力としてきましたが、小水力発電の普及に取り組む全国小水力利用推進協議会では、「1,000kW以下」を小水力として扱っています。理由としては、①日本の法律では、1,000kW以下と1,000kWを超える水力が明確に区分されていること、②1,000kW以下の水力発電は新エネルギー法の施行令改正(2008年4月施行)により、「新エネルギー」に認定されていること、③2002年に公布された再生可能エネルギー(再エネ)を推進するためにつくられた「電気事業者による新エネルギー等利用に関する特別措置法(RPS法)」の対象が、1,000kW以下の水力発電だったこと等、法律上の区分や今後の水力発電の在り方などを踏まえたことが挙げられます。

因みに、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のガイドブックでは、「10,000kW以下を小水力」「1,000kW以下をミニ水力」「100kW以下をマイクロ水力」などと分類していますが、ここでは、全国小水力推進協議会の定義に則り、「1,000kW以下」を小水力とします。

(出典:全国小水力推進協議会)

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小水力の特長


①環境に配慮した再生可能エネルギー


小水力は、水力発電同様温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーです。また、基本的には落差と流量のあるところであれば場所を問わず設置することができ、「流れ込み式」「水路式」等と呼ばれる河川の水を貯めること無く、そのまま利用する発電方式であるため、一般河川、農業用水、砂防ダム、上下水道など、普段はエネルギーをつくる目的で使用されていない場所を有効活用できます。

②将来的な市場の拡大が見込まれる


これまでは大中型中心の水力市場だったことから、現在国内の小水力市場は殆どありません。新エネルギーとして注目されていることもあり、将来的に大きな市場の成長が期待されています。

③独自の小水力技術


小水力は、大中水力技術をただ縮小したり、機能を省略したものではなく、独自の技術開発によって誕生した発電技術です。そのため、技術者の育成や技術そのものの進歩が必要です。

④地域活性化、雇用促進に繋がる


小水力発電は、条件を満たしている場所であれば基本的にどこでも設置できることから、都心から離れた地方での導入に向いています。地元のコンサルタントや、技術者、設備の保守管理業者などが必要になるため、雇用の促進、地域活性化に繋がります。

(出典:全国小水力推進協議会)

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導入のメリット・課題


小水力発電のメリット、課題は以下のようなものがあります。

■メリット


・昼夜、年間を通じて安定した発電が可能です。設置場所によっては天候にも左右されない発電が可能になります。
・設備利用率が50%~90%と高く、太陽光発電と比較して5~8倍の電力量を発電できます。
・出力変動が少なく、系統安定、電力品質に影響がありません。
・地点毎に異なりますが、基本的に経済性は高いといわれています。
・未開発の包蔵量が多く存在するため、企業にとってはビジネスの拡大に繋がります。
・太陽光などの大型の設備と比較して、設置面積の少ない場所にも対応できます。
・太陽光、風力発電に比べ設備寿命が数倍長く、設備生涯の発電コストを低く抑えられます。

■課題


・設置場所は「落差と流量がある場所」に限定されるため、地域によっては設置できる場所が限られます。
・設置にあたり法的な規制や申請手続きを要するため、場合によってはハードルが高くなってしまいます。
・同じ再生可能エネルギーでも太陽光発電や風力発電に比べ認知度が低く、一般にまだ浸透していません。

(出典:全国小水力推進協議会)

(出典:資源エネルギー庁|【インタビュー】「日本の環境に適した小水力発電は、地域の活力を生みだすもとになる」―上坂博亨氏(前編))

(出典:資源エネルギー庁|【インタビュー】「日本の環境に適した小水力発電は、地域の活力を生みだすもとになる」―上坂博亨氏(後編))

まとめ


小水力発電は、国家レベルの大きな電力を担うほどの量を発電することは出来ません。
しかしながら、地域レベルで見てみると、決して影響力がないというわけではなく、むしろ大きな利益に繋げることができます。実際にある地域の小水力発電所では、最大出力160kW、年間3000万円以上の売電利益を生んでいるという事例もあります。
先に挙げたような課題の他に、設置に際し地元住民からの理解を得る等いくつかのハードルはありますが、再生可能エネルギーの導入をお考えの方は小水力発電も選択肢の中に入れてみてはいかがでしょうか。


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