産業競争力強化法とは?ポイントをわかりやすく解説

2021年08月11日

産業競争力強化法をご存知でしょうか。この法律は企業成長を促進させることを目的に制定されました。事業者が知っておくべき産業競争力強化法のポイントをわかりやすく解説します。

【目次】

産業競争力強化法とは?わかりやすく解説


産業競争力強化法のポイントは


改正産業競争力強化法のポイント


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※この記事は、2021年8月11日に公開した記事ですが、2023年7月30日と2024年4月16日に文言やデータ、その他の部分も追記・更新して公開しました。

産業競争力強化法とは?わかりやすく解説

産業競争力強化法が制定された背景とは


産業競争力強化法とは、その名の通り日本の産業競争力を強化するために「アベノミクス」の一環として2013年に成立、2014年から施行されている法律です。

成立の背景には、世界経済における日本の存在感の低下と日本の産業競争力自体の弱体化があります。

(出典:産業競争力強化法の概要と国会論議の整理~期待される産業競争力強化法の効果的な運用~)

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日本は、2010年に中国に追い抜かれるまではアメリカに次いで世界第2位の経済大国でしたが、2008年のリーマンショック以降、景気低迷と産業競争力自体の弱体化により、世界経済における存在感は急速に低下しています。また、1990年代後半以降デフレが深刻化したことによる「過少投資」、企業活動を必要以上に抑制するような「過剰規制」、国内企業同士の「過当競争」 などが課題となっており、産業競争力強化法の成立によってこれらの課題解決が求められています。

(出典:国民経済計算(GDP統計)|内閣府)

(出典:産業競争力強化法の概要と国会論議の整理~期待される産業競争力強化法の効果的な運用~)

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産業競争力強化法と産活法との違いは


産業競争力強化法と混同されることが多いのが「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」(以下産活法)です。産活法とは、生産性の向上等を図る事業者に対して、税制上の優遇や金融を受ける際の支援などを受けることができる制度などを定める法律ですが、再編の形や目的ごとに細分化された事業再編を支援する側面が強く、必ずしも使い勝手の良い内容ではありませんでした。こうした観点を踏まえ、産業競争力強化法では、事業改編の類型を大きく分けるなどして事業者の前向きかつ自由な取組を広く支援できるような内容になっています。

(出典:産業競争力強化法の概要と国会論議の整理~期待される産業競争力強化法の効果的な運用~)

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産業競争力強化法のポイントは


産業競争力強化法の施行規則で定めた規制改革の推進

産業競争力強化法は「実行体制の確立」「規制改革の推進」「産業の新陳代謝の促進を図るための措置」「中小企業の活力再生」の大きく4つの骨格から成り立っており、部分的には先に述べた「産活法」の条文をスライドさせています。ここでは、この4つの項目について解説します。

まず1つ目が実行体制の確立です。実行体制の確立では、アベノミクスの成長戦略として位置づけられる「日本再興戦略」に盛り込まれた施策を確実に実施するために、産業競争力強化法に関する実行計画の策定と定期的な見直しをPDCAサイクルに則って構築することとしています。具体的には、確実に実行すべき当面3年間の実行計画の策定・実施の期限を担当大臣について明示し、その実施状況について毎年度検証・評価し、必要に応じ計画の見直しを行うこととしています。

2つ目が規制改革の推進です。これには「企業実証特例制度の創設」と「グレーゾーン解消制度の創設」の2つがあります。

<企業実証特例制度の創設>
企業実証特例制度とは、現行の規制の目的である安全性等の確保を担保できる場合に、現行規制とは異なる方法で規制の特例措置を事業者単位で認める制度です。
具体的には、「企業が規制の特例措置を提案」→「事業所管大臣・規制所管大臣による特例措置の検討」→「安全性確保に係る措置を含む事業計画の認定を通じ、規制の特例措置を活用」することが可能となります。

<グレーゾーン解消制度の創設>
グレーゾーン解消制度は、現行の規制の適用範囲が不明確な分野がある場合、
具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認することができる制度です。
具体的には、「企業が事業計画の適法性の確認を申請」→「事業所管大臣を通じ、規制所管大臣に照会し確認」→「事業活動の認定を通じ、事業開始後における規制当局又は利害関係者とのトラブルリスクを未然に回避」することが可能になります。


産業競争力強化法で新陳代謝促進を図る


3つ目が産業の新陳代謝の促進を図るための措置です。ここでは、国と事業者に対してそれぞれ責務が明記されており、「ベンチャー企業の成長支援」「事業再編等の推進」「先端設備投資の促進」の3つが主な内容です。

<ベンチャー企業の成長支援>
経営支援能力の高いベンチャーファンドを通じたベンチャー企業への資金供給を拡大するために、資金調達支援、税制優遇措置等を講じています。
また、資金が必要とされる「事業拡張期」のベンチャー企業に投資し、経営支援も行うベンチャーファンドを対象としています。

<事業再編等の推進>
事業再編等の推進では、過当競争を解消するとともに、世界で通用する強い事業の創出や新たな事業への挑戦等、事業革新を強力に推進するため、事業再編等に取り組む事業者に対し、税制優遇措置、会社法の特例措置等が講じられています。
また、事業者による事業再編の実施の円滑化のために必要があると認められた場合に限り、政府による各事業分野の市場構造に関する調査・公表を行う仕組みが設けられています。

<先端設備投資の促進>
先端設備投資の促進では、高額な初期費用を要し、初期稼働が見通しにくい先端医療機器や3Dプリンター等の先端設備について、会計上の取扱いを明確化する等、リースの手法を活用した設備投資を支援しています。

最後が中小企業の活力再生です。ここでは、「地域での創業の促進」「事業再生支援の強化」の2つについて解説します。

<地域での創業の促進>
地域での創業の促進では、地域における創業を促進するため、市区町村が連携して創業支援体制を構築する取組に対して、国が全面的にサポートすることが明記されています。
具体的には、特定の条件をクリアした創業支援事業者への専門家派遣等の支援を行うとともに、創業者のうち、特に創業に寄与する支援を受けた者に対して、信用保証の特例や登録免許税の負担軽減といった措置が講じられます。

<事業再生支援の強化>
独立行政法人中小企業基盤整備機構※に設置している中小企業再生支援全国本部の機能を拡充し、中小企業再生支援協議会が実施する業務の評価を行うとともに、全国本部自身が再生支援業務を行います。また、再生支援協議会等からの支援を受けて経営改善・事業再生計画を策定した中小企業に対して、資金調達を円滑化するための、新たな信用保証制度が創設されました。

※独立行政法人中小企業基盤整備機構:国の中小企業政策の中核的な実施機関

(出典:産業競争力強化法の概要と国会論議の整理~期待される産業競争力強化法の効果的な運用~)

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改正産業競争力強化法のポイント


改正産業競争力強化法で脱炭素・DX投資が促進


2013年に成立した改正産業競争力強化法は、2021年6月に改正されました。改正法では、新型コロナウイルス感染症の影響や急激な人口減少等の社会情勢の変化に対応し、長期視点での企業の変革を後押しする様々な法律案が追加されています。
例えば、「グリーン社会」への転換に伴い、脱炭素効果が高い製品の生産設備・生産工程等の脱炭素化を進める設備に対する設備投資税制やDX投資促進税制の措置により「デジタル化」への対応の促進する狙いがあります 。改正産業競争力強化法については別のコラムで詳しくご紹介します。

(出典:ニュースリリース|経済産業省)



改正産業競争力強化法で事業環境の変化に対応


産業競争力強化法4つの基盤をまとめると以下の通りです。

「実行体制の確立」:産業競争力強化法に関する実行計画の策定と定期的な見直しを図る。
「規制改革の推進」:規制の特例措置を事業者単位で認め、現行の規制の適用範囲が不明確な場合は明確にし利害関係者とのトラブルリスクを下げるための制度
「産業の新陳代謝の促進を図るための措置」:ベンチャー企業、新規事業に挑戦する事業者に対する経営支援。
「中小企業の活力再生」:地域における創業支援と事業再生支援

産業競争力強化法などの企業経営に関する法制度に精通することは、激しく変化する事業環境の中で大きな価値になるのではないでしょうか。興味のある方は是非詳しく調べてみてください。
次のコラムでは、改正産業競争力強化法で何が変わるのか、5つのポイントと共にご紹介します。

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