不動産のESG投資に活用できる「グリーンビルディング認証」とは?

2021年09月30日

環境や社会への配慮がなされた不動産へのグリーンビルディング認証制度をご存知でしょうか。不動産のESG投資に活用できるとして、注目されています。
今回は、グリーンビルディング認証の特長、詳しい内容についてご紹介します。

【目次】

グリーンビルディングとは

DBJグリーンビルディング認証制度の特長


■総合評価


■簡明性・簡便性


■プライズ


その他認証機関によるグリーンビルディング認証制度


■LEED


■CASBEE


■BELS


■WELL


グリーンビルディング認証取得に向けてできること


まとめ

グリーンビルディングとは


「グリーンビルディング」とは、将来世代にわたり持続可能な環境と生活の質(QOL: Quality of Life)の向上の実現に寄与するべく、立地選定から設計・建設・運用・保守・改修・解体といったライフサイクル全体を通じて資源効率が高く、環境的・社会的な責任を踏まえた、建築や地域コミュニティの構築と運用を目指す取組です。

世界にはグリーンビルディングに関する様々な認証制度や評価指標があります。
こちら でご紹介しているGRESB(グレスビー)は不動産会社・ファンドに対してESG配慮を評価する指標ですが、グリーンビルディングに関する認証の取得はこのGRESBの評価項目の一つに含まれています。

GRESBについて詳しくはこちら
不動産業界のサステナビリティ指標「GRESB」とは?

((出典:グリーンビルディングとは?|GREEN BUILDING JAPAN))

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DBJ グリーンビルディング認証制度の特長


数ある認証制度の中でも、日本政策投資銀行(DBJ) は金融機関としては日本初となるグリーンビルディング認証「DBJ グリーンビルディング認証制度」を導入しました。この制度には、「総合評価」「簡明性・簡便性」「プライズ」の大きく3つの特長があります。それぞれについてみていきましょう。

■総合評価


DBJグリーンビルディング認証では、ソフト面・マネージメント面を含めた5つの評価項目に基づき、社会・経済に求められる不動産を総合的に評価・認証しています。具体的には、省エネ・再エネの利用などの「建物の環境性能」、環境リスク・防災対策などの「リスクマネジメント」、テナントとの省エネ連携などの「ステークホルダーとの協働」、景観・コミュニティへの対応などの「周辺環境・コミュニティへの配慮」、設備・スペックなどの「テナント利用者の快適性・多様性」があります。

認証を受けた企業は、自社のCSRやIR、物件へのリーシングPRなどに活用することができます。

■簡明性・簡便性


DBJグリーンビルディング認証では、投資家・不動産所有者・建設会社など、不動産に関わるステークホルダー間のコミュニケーションを重視しています。
そのため、多様なステークホルダー間での対話を可能にするために、簡明な評価項目により構成されています。また、不動産所有者にとって使いやすい簡便な手続きで取得できるような仕組みになっています。

■プライズ


DBJグリーンビルディング認証では、対象物件の優れた取組を集約しながらスコアリング設計を行っており、そのスコアによって1つ星から5つ星までのプライズが与えられます。
このプライズを取得しない限り、グリーンビルディング認証可能物件となりませんが、現在の不動産市場においては1つ星に届かない物件が大半を占めています。また、ここでいう「優れた取組」には長期利用推進の観点から、物件改修やオペレーション面の評価等、規模や築年数に拘らないものも含まれています。

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DBJは2014年10月に日本で初めてGRESBの投資家メンバーに参加し、2016年9月には本邦会社として初めてGRESB Advisory Boardに就任しています。DBJグリーンビルディング認証がGRESBの評価項目の一つに含まれたことで、GRESBを活用する機関投資家からの投資を受けるために、REIT(不動産投資信託)によるグリーンビルディング認証の取得が進んでいます。脱炭素市場の拡大もあいまって、今後ますます広がりをみせることが予測されます。

(出典:DBJ Green Building認証制度のご紹介|DBJ)

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その他認証機関によるグリーンビルディング認証制度


グリーンビルディングの認証制度は「DBJグリーンビルディング認証」以外にも存在しています。
ここでは、その他の代表的な認証制度・指標を4つご紹介します。

■LEED


LEEDは、アメリカの非営利団体USGBC(U.S. Green Building Council)によって運営され、GBCI(Green Business Certification Inc.)が認証の審査を行っている、最高クラスのビルト・エンバイロメント(建築や都市の環境)を作るための戦略やそれらをどう実現させるかを評価するグリーンビルディングの認証プログラムです。

LEED認証を受けるためには、グリーンビルディングとして備えるべきいくつかの必須条件を満たし、Credit Pointsと呼ばれる選択項目のポイントを選んで取得する必要があります。必須条件と選択項目のポイントは、5つの認証システムごとに設定されており、取得したポイントの合計によって標準認証からプラチナ認証までの4つの認証レベルが決まります。

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LEEDは世界で最も広く利用されているグリーンビルディング評価システムで、アメリカを中心に中国やインドなどアジアの国でも広がりを見せています。
日本国内での認証件数もここ10年で10倍以上増えており、2020年7月時点で149件にのぼります。

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■CASBEE


CASBEE(Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency)とは、日本語で「建築環境総合性能評価システム」と言い、省エネや環境負荷の少ない資材の使用といった環境配慮に加え、室内の快適性や景観への配慮なども含めた、建築の品質を総合的に評価するシステムです。
日本では代表的な認証制度の一つで、建築物の環境に対する様々な側面を客観的に評価するという目的から、以下3つの理念に基づいて開発されました。

1. 建築物のライフサイクルを通じた評価ができること
2. 「環境品質(Q)」と「環境負荷(L)」の両側面から評価を行うこと
3. 環境効率の考え方を用いて開発された評価指標「BEE(Built Environment Efficiency:建築物の環境性能効率)」で評価すること

評価は、「Sランク(素晴らしい)」から「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」までの5段階で行われます。 認証を取得すると、認証書や認証マークが交付され、認証物件であることを明示できるだけでなく、高い環境性能であることを対外へ公式にアピールすることができます。

■BELS


BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)とは、日本語で建築物省エネルギー性能表示制度と言い、「建築物の省エネルギー性能等を評価し、消費者に分かりやすく表示を行う制度」です。国交省が制定したガイドラインに基づき、一般社団法人住宅性能評価・表示協会によって創設されました。
BELSの評価指標は、建築物一次エネルギー消費量に基づき、5段階の星で表示されます。
BELSは、省エネルギー性能に特化した評価・表示制度であることから、評価結果は従来の総合的な環境性能評価制度よりも分かりやすく、専門知識を持たずとも省エネルギー性能を理解できる仕組みになっています。

■WELL


WELL(WELL Building Standard™)とは、空間のデザイン・構築・運用に「人間の健康」という視点を加え、人々の肉体的・精神的・社会的な健康に焦点を合わせたビルト・エンバイロメント(建築や街区の環境)の性能評価システムです。
公益企業(PBC)であるIWBIによって、2014年にv1.0として正式に公開されて以降、2018年にv2 pilotの発表と試行を経て、2020年9月に最新版であるv2が発表されました。
WELLは建物の性能としてLEEDやCASBEE等で評価されてきた環境性能に加え、建物内での暮らし、働く居住者の健康・快適性に焦点を当てた世界初の建物・室内環境評価システムであり、特に居住者の身体に関わる評価ポイントについては、環境工学の観点のほかに医学の観点も組み合わせ、人の肉体的・精神的・社会的な健康をサポートする建築や街区の環境を評価します 。

WELL認証を受けるには、全ての必須項目を満たし、必要な数の加点項目を取得することが必要で、点数が多いと認証レベルが高くなります。認証レベルには、Bronze、Silver、Gold、Platinumの順で4つに分かれており、取得した点数によって決まります。審査は必須・加点項目を満たしていることを示す書類審査の他、現地にて空気質・水質・光・音・温熱感指標などの環境測定と各種チェックにおいて要件を満たす必要があります。また、認証を受ければそれで終わり、というわけではなく、認証取得後にも継続的なビルト・エンバイロンメントの維持が求められます。
WELLの評価システムには、ご紹介したWELL Building Standard™の他に、複数建物の街区を評価する「WELL Community Standard」、複数建物をまとめて取り扱う「WELL Portfolio」、そして2020年5月に新たに発表された「WELL Health-Safety Rating」があります。WELL Health-Safety Ratingは、運用ポリシーや維持管理手順、危機管理計画などの建物運用を主に評価する評価システムで、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、建築環境において人の健康と安全性に影響を与える項目を評価するシステムとして誕生しました。

WELLの登録件数は、世界各国で年々増加傾向にあり、2021年4月時点で65カ国、9,547件にのぼります。日本は61件で11番目に登録数が多く、そのうち12件が認証、7件が予備認証を受けています。

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(出典:グリーンビルとはなんだろう|GREEN BUILDING JAPAN)
(出典:GBJ BOOKLET 2020 v.3)
(CASBEEの概要|一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構 (IBEC))
(出典:J-REIT 所有オフィスにおける環境認証が陳愛事業収益へ与える影響|空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集)
(出典:WELLとは|GREEN BUILDING JAPAN)

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グリーンビルディングに関する認証取得に向けてできること


それでは、これらのグリーンビルディングに関する認証を取得する為に、まず出来ることは何でしょうか。
GREEN BUILDING JAPANでは、SDGsへの取組から始めることを推奨しています。
SDGsは昨今IRやステークホルダーへの対応などで活用される機会が増えているのに加え、地球環境に関することから、社会、人間などあらゆる指標を網羅的に含んでおり、自社との関わりを見つけやすいためです。

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(出典:グリーンビル超入門|GREEN BUILDING JAPAN)


まとめ


いかがでしたでしょうか。
グリーンビルディングは、持続可能な環境と質を向上させる為の建築や地域コミュニティの構築・運用を目指しています。グリーンビルディングに関する認証は、DBJグリーンビルディング認証の他に、LEED、CASBEE、WELLなど様々な視点での評価指標があり、これらは環境の変化に合わせて常に更新されています。
日本での登録、認証件数は増えているものの、世界で見ると少数派です。これからますます需要の高まりが予測されますので、興味のある方は是非、チェックしてみてはいかがでしょうか。

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