カーボンフットプリントとは?ガイドラインや計算方法などを解説

2024年02月18日

カーボンフットプリントは、商品やサービスのライフサイクルを通して排出される温室効果ガスの排出量を、CO₂に換算して表示するものです。カーボンフットプリントのガイドラインや、計算方法などについて解説します。

【目次】


カーボンフットプリントとは


カーボンフットプリントのガイドラインと計算方法


カーボンフットプリントの今後の課題は








カーボンフットプリントとは

カーボンフットプリントの定義とマーク


カーボンフットプリントとは、Carbon Footprint of Productsの略称です。カーボンは炭素、すなわち二酸化炭素のことを指していて、フットプリントは足跡、つまり排出量を表しています。

商品やサービスについて、原材料から廃棄やリサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに表示する仕組みです。

排出量をわかりやすく表示する際に使われているのが、カーボンフットプリントマークです。CO2と書かれた計量器の形をしていて、ライフサイクル全体の排出量をまとめて表示される場合もあれば、原材料の調達、生産、流通、使用・維持管理、廃棄・リサイクルの5つの過程ごとに、排出されるメタンや一酸化炭素、フロンガスなどの排出量を、CO2に換算して表示する場合もあります。

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カーボンフットプリントの目的はCO₂の見える化と削減

 
カーボンフットプリントは、イギリスの商品会社が2007年に世界で初めて自社製品に表示しました。その後、ヨーロッパやアジアに広がり、2013年に「ISO/TS 14067:2013」が制定されています。日本ではカーボンフットプリントマークを許可するプログラムが2009年から始まり、2023年現在はSuMPO環境ラベルプログラムとして運営されています。

カーボンフットプリントの目的は、CO₂を見える化することです。CO₂などの温室効果ガスの排出が地球温暖化の原因になっていることは一般的に知られています。

しかし、自分が日常生活でどれだけのCO₂を排出しているのかを理解している人は、ほとんどいないのではないでしょうか。また、個人で積極的に排出削減に取り組もうと考えても、実際にどれだけ削減できるのかは検討がつきません。

このように、CO₂を排出している実感がわかないために、排出量削減の行動に移しづらいのが現実です。その原因は、CO₂が目に見えないからです。

見えないCO₂の排出量を数値化して、見える化する。カーボンフットプリントマークによって、商品やサービスの排出量や、過程ごとの排出量を一目見てわかるようにすることで、ライフサイクルのどの過程で排出量を減らせばいいのかを考えやすくなるのです。

カーボンフットプリントのガイドラインと計算方法

環境省と経済産業省のカーボンフットプリントガイドライン

 
カーボンフットプリントに取り組もうと考える企業は、国内外ともに増えています。その際に課題となるのが、CO₂排出量の算定です。

見える化のためには、工程ごとにCO₂排出量を算定していく必要があるものの、ほとんどの場合は原料や部品は別の事業者から購入しています。原料や部品の排出量がわからなければ、計算はできなくなります。

大きな製品や、構造が複雑な精密機械などの場合には、原料や部品も多くなり、排出量の計算は大変な作業になります。しかも、製品ごとの算定ルールが決められているのは一部の業界や一部の製品だけなので、独自に算定方法を設定しなければなりません。排出量の算定のハードルは高いのです。

そこで、排出量の算定について、考え方と実践方法を解説しようと、環境省と経済産業省が策定しているのが、カーボンフットプリントガイドラインです。

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商品やサービスのカーボンフットプリント計算方法と計算ツール


ガイドラインでは、カーボンフットプリントの算定や検証についての取り組み指針が、わかりやすく示されています。一般的な手順に従って、4つのステップによって構成されています。

ステップ1は算定方針の決定です。まず、カーボンフットプリントに取り組む目的や用途を明確にします。その上で、計算するにあたって参照するルールを定めます。ISOなどの国際的な基準を使うのか、製品別に定められた算定ルールを使うのかなどを決めます。計算したい製品にルールがない場合は、新たにルールを作成することになります。

ステップ2は、算定範囲の設定です。算定する製品について、ライフサイクルを構成するプロセスを明確にします。

ステップ3は、5つのプロセスの温室効果ガス排出量及び除去・吸収量を計算し、合算します。その際の計算方法は次のようになります。

当該プロセスの排出量=活動量×CO₂排出原単位

活動量は原材料の使用量や、製造における電力使用量などです。CO₂排出原単位は、素材によって決まっています。計算ツールは公共機関や民間企業が用意している場合もあり、経済産業省はエネルギー起源のCO₂排出量計算ツールと利用マニュアルを提供しています。

最後のステップ4は検証と報告です。カーボンフットプリントの算定結果を、算定のロジックやデータの収集方法などの面から検証し、算定報告書に取りまとめます。

こうして算定報告書ができると、第三者による検証によって合格がどうかが判定されます。合格後に登録公開申請を行うことで、カーボンフットプリントマークを取得できます。

カーボンフットプリントの今後の課題は

欧州で義務化されたカーボンフットプリント


イギリスで始まったカーボンフットプリントは、現在では世界各国の大手企業を中心に活用されています。自動車業界では蓄電池などの部品や、金属などの素材メーカーが、顧客にカーボンフットプリントを提供する動きも出ています。

欧州連合(EU)では、カーボンフットプリントを規制にも活用しています。2022年12月には、気候変動対策が不十分と判断された国からの輸入品に対し、水際で炭素課金を行う炭素国境調整措置の導入を決定しました。この炭素の算定や開示のために、カーボンフットプリントが活用されています。

また、2024年からは、EU内で販売する電気自動車の蓄電池について、カーボンフットプリントを開示するようにメーカーで義務付けました。日本でも経済産業省が同様の検討を進めています。

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カーボンフットプリントをCO₂削減につなげる


これまで見てきたように、カーボンフットプリントは、商品やサービスごとに、原材料の調達から廃棄・リサイクルに至るまでの過程を通して排出される温室効果ガスの量を、CO₂に換算して見える化するものです。

事業者にとっては、サプライチェーン全体における排出量を定量的に把握できるメリットがあります。把握することで、事業者単位を超えた削減策を検討し、実践することが期待されています。

一方で、消費者にとっては、カーボンフットプリントマークによって排出量が把握できることで、低炭素なサービスや商品を選んで購入することが可能になります。

いずれにしても、見える化しただけでは、CO₂の削減にはなりません。2023年は年間の平均気温が世界も、日本も観測史上最高を記録しました。地球温暖化の脅威は確実に迫っていて、CO₂の排出量削減を行動に移していくことが、事業者にも消費者にも求められています。カーボンフットプリントは、その行動のきっかけを作る役割を果たしています。

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