【2024年版】GXリーグとは? 今後のスケジュールなどをわかりやすく解説

ビジネス関連
2023年11月29日

GXリーグは、野心的な炭素削減を掲げる参加企業群が、排出量削減に向けた投資を行いつつ、自主的な排出量取引を行う枠組みです。2023年度から試行が始まり、2026年度の本格稼働を目指しています。GXリーグや今後のスケジュールなどについて、わかりやすく解説します。

目次

【目次】

GXリーグとは

GXリーグの排出量取引とは

GXリーグ排出量取引市場の今後は

※この記事は、2023年11月29日に公開記事を加筆して、2024年8月10日に再度公開しました。

GXリーグとは

GXリーグの目的とは


GXはグリーントランスフォーメーションの略です。政府は2050年カーボンニュートラルや、2030年度に温室効果ガスの排出を2013年度に比べて46%削減する目標を掲げています。この目標の達成に向けた取り組みを経済成長の機会と捉え、経済と社会のシステム全体を変革することを指します。

GXに積極的な取り組みを行う企業が、同様の取り組みを行う企業や官・学と協働し、新たな市場創造のための実践を行う場として、経済産業省が設立したのがGXリーグです。具体的には、3つの場で繰り広げられる事業者間の対話を通じて、政策を形作っていきます。

場の1つ目は「未来社会像対話の場」です。産・官・学・民で2050年カーボンニュートラルと、そこに向けた経済社会システムの将来像などを議論します。2つ目は「市場ルール形成の場」。カーボンニュートラルではどのような市場が生まれるのか、そこにどんなルールが必要なのかについて議論します。3つ目は「自主的な排出量取引の場」で、企業が高い排出量削減目標を掲げて、自主的な排出権取引を行います。

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GXリーグの参加企業に求められる取り組みとは

 
GXリーグに参加する企業群は、大きく分けてGX実践企業、GX推進金融、イノベーション創出企業の3つに分類されます。

GX実践企業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて明確な目標を定め、そこに向けた活動を実行します。また、目標や活動内容を発信することも求められます。

GX推進金融は、GXを推進する企業に対して、積極的な投資や支援を行う企業です。銀行や証券、生保、損保などの金融機関が対象で、GXへの資金提供が期待されています。

イノベーション創出企業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたイノベーションの創出に積極的に取り組む企業です。

GXリーグの参加企業数は

GXリーグの参加企業は2023年度においては568者が参画しています。2024年度からは新たに179者の参画が予定されており、合計747者となります。

航空、鉄道、陸運等の運輸セクターをはじめ、半導体等の製造業や不動産、情報通信業等、幅広い業種の企業が2024年度から新規に参画します。

GXリーグの排出量取引とは 

GXリーグの排出量取引制度が試行開始

 
GXリーグの取り組みとして、国内で注目を集めているのが自主的な排出量取引制度です。参加企業は高い排出量削減目標を自主的に掲げて、その達成に向けた取り組みの推進や開示を行うとともに、自主的な排出量取引であるGX-ETSに参加します。

排出量取引では、排出量が多い企業が排出量の少ない企業から排出権を購入することによって、排出量を削減できます。2023年度から試行的な運用が始まりました。

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GXリーグの排出量取引とカーボン・クレジット市場の関係は


GXリーグの排出量取引を推進するためには、温室効果ガスの排出削減量を企業間で売買できるカーボン・クレジット市場の整備が不可欠です。2023年度から試行的な運用が始まったことを受けて、東京証券取引所は2023年10月11日にカーボン・クレジット市場を開設しました。

このカーボン・クレジット市場は、GXリーグに参加している企業以外も参加できます。現在取引対象となっているのはJ-クレジットです。J-クレジットは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用による二酸化炭素の排出削減量や、適切な森林管理による二酸化炭素の吸収量をクレジットとして国が認証する制度です。

GXリーグの排出量取引の実績は

東京証券取引所によると、2023年10月11日の市場開設から10月20日までの8営業日の間に、累計売買高が1万トンを超えたことがわかりました。排出量取引への関心の高さが伺えます。

iStock-1365341958.jpg東京証券取引所

GXリーグ排出量取引市場の今後は

GXリーグ排出量取引制度の現状は


GXリーグの排出量取引であるGX-ETSでは、Jークレジットのほか、将来的には日本企業による海外での削減量(JCM)や、GXリーグ参加企業による「超過削減枠」をカーボン・クレジット市場で取引することを想定しています。

わかりやすく説明すると、企業は削減目標を超えて達成した分を「超過削減枠」として売却できます。一方、目標に達していない企業は、削減枠を取引所から調達することが可能になります。

GXリーグ排出量取引制度のスケジュールは

2023年8月に開催された政府のGX実行会議によると、今後のスケジュールでは2024年10月末から「超過削減枠」の取引が開始される予定です。また、2025年度までを第1フェーズとし、第2フェーズが始まる2026年度から、排出量取引を本格稼働する方針です。

このように排出量取引制度については、段階的な発展を目指して現在も検討が進められています。

GXリーグ参加企業のメリットとは 


最後に、企業がGXリーグに参加することのメリットについて見ていきます。まずは、排出削減量を対外的にアピールできることです。排出量取引制度のGX-ETSに参加することで、削減量を報告することに加えて、クレジットを売却して価値を創出していることを効果的に示すことができます。その結果、競争優位性の確保につながることも期待されます。

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