カーボンクレジットとは?仕組みや種類、企業による活用方法などをわかりやすく解説

ビジネス関連
2025年5月21日

カーボンクレジットとは、企業や個人などが二酸化炭素排出量を削減する取り組みを行った結果を認証し、売買できる仕組みのことです。日本国内でも企業の取り組みが活発化しているカーボンクレジットについてわかりやすく解説します。

目次

カーボンクレジットとは

カーボンクレジットの仕組みとは

カーボンクレジットとは、個人や企業などが二酸化炭素の排出量削減や除去の取り組みを行った結果を認証して、取引ができる仕組みです。二酸化炭素を1トン削減または除去するごとに、1クレジットが発行されます。

これまで日本では、企業やNPOなどの団体との間で、売り手と買い手が当事者同士で価格などを決める相対取引や、入札による販売などによって取引されてきました。それが、東京証券取引所が2023年10月に開設した「カーボン・クレジット市場」でも取引ができるようになりました。

カーボンクレジットの目的とメリットとは

カーボンクレジットは、日本に限らず、世界中で注目が高まっています。その背景には、2015年にフランス・パリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、世界的な平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力をすることを掲げたパリ協定が締結されたことがあります。

パリ協定を受けて、締約国のうち欧米などの国々の多くは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルを、2050年までに達成する目標を掲げています。日本も2050年の達成を目指しています。そこで、カーボンクレジットが、カーボンニュートラルの達成のために有効な手法の一つとなっています。

カーボンクレジットとカーボンオフセットの違いとは

カーボンクレジットがカーボンニュートラル達成のために有効な理由を、企業活動から見てみましょう。カーボンニュートラルを目指している企業は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用や、省エネルギーに取り組むことで、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。

しかし、どれだけ排出量を削減する努力をしても、削減できない部分が残ります。その部分を、カーボンクレジットを購入することで、排出量を相殺=オフセットすることができます。

この方法が、カーボンオフセットです。具体的には、植林など二酸化炭素の削減に取り組んでいる企業や団体から発行されたカーボンクレジットを購入することで、自社の排出量をオフセットします。カーボンクレジットを販売した企業や団体は、その収入を脱炭素に取り組むための資金に充てることで、温室効果ガスの削減に寄与することができます。

カーボンクレジットの種類とは

カーボンクレジットの国際協定に基づく枠組み

カーボンクレジットにはさまざまな種類のものが存在します。大きく分類すると、国際協定に基づく枠組みと、国や地域の制度、それに民間の事業者による制度の3つがあります。それぞれ認証する機関や利用者が異なります。

国際協定に基づく枠組みによるカーボンクレジットは、国連などの国際機関や、二国間での取引を行う場合はそれぞれの国の政府が発行します。利用するのは各国の政府や企業です。

先進国が途上国の二酸化炭素排出量の削減や除去に投資することなどでクレジットが発行されます。代表的なものには、二国間クレジット制度(JCM)などがあります。

カーボンクレジットの日本国内における政府や地方公共団体の制度

国や地域の制度によるカーボンクレジットは、政府や地方公共団体が発行します。つまり、二酸化炭素の削減量や除去量を国や地方自治体がカーボンクレジットとして認証するものです。

日本国内で政府や地方公共団体が主導しているのが、Jークレジットです。再生可能エネルギーや省エネルギーの設備導入や、森林管理などによる温室効果ガスの排出削減や吸収量をJークレジットとして認証していて、2023年11月時点で70の方法論があります。

このJークレジットは、カーボンクレジットの制度のうち、ベースライン&クレジットに属します。現在の二酸化炭素排出量を基準値=ベースラインとして設定し、特定のスキームのもとで排出削減や除去のプロジェクトを実施することによって、削減量や除去量に基づいてクレジットが生成されます。

ペースライン&クレジットとは別の制度に、キャップ&トレードがあります。これは、国や地域が企業などに対して二酸化炭素排出量の上限=キャップを設定し、そのキャップを下回った分をクレジットとして認証し、取引する制度です。このクレジットは逆に排出量がキャップを上回った企業が購入します。キャップ&トレードは排出量の基準が定められているEU加盟国などで取引が行われています。

カーボンクレジットの民間事業者による制度

民間の事業者によるカーボンクレジットの制度は、ボランタリークレジットと呼ばれています。クレジットを発行するのは民間企業や団体です。自主的にプロジェクトを開発して、認証機関の評価に合格することで、クレジットを発行できます。

ボランタリークレジットの制度には、主に世界中の企業やNGO団体などによって運営されています。国際的なカーボンクレジット基準団体のVerraが運営しているVCS(Verified Carbon Standard)や、世界自然保護基金(WWF)などの国際的な環境NGOによって設立されたGS(Gold Standard)などがあります。

日本国内のボランタリークレジットには、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が運営しているJブルークレジットがあります。これは海洋生態系に取り込まれて貯留された炭素であるブルーカーボンを取引するものです。ブルーカーボンは炭素の貯留期間が数百年から数千年とも言われていて、近年注目を集めています。

カーボンクレジットの現状と課題とは

日本国内のカーボンクレジット市場の現状と取引価格

前述した東京証券取引所による「カーボン・クレジット市場」は、2023年10月に開設後、クレジットの1トンあたりの平均価格は3000円前後で推移していました。ところが、2024年6月頃から価格は上昇傾向を見せるようになり、11月には約6000円に高騰するなど、1年余りで倍の価格になりました。

価格上昇の背景には、取引への関心が高まるとともに、環境課題に対する取り組みを企業に質問し情報を開示する、CDPなどの国際的なNGO団体に回答する企業が取引を活発化したことも一因と見られています。ただ、まだまだ市場に出てくるクレジットは多いとはいえず、需要に供給が追いついていないことも影響していると考えられます。

カーボンクレジットと排出量取引制度GXーETS

また、2026年度から本格的な排出量取引が予定されているのが、GXーETSです。経済産業省は、グリーントランフォーメーション(GX)に積極的な取り組みを行う企業が、新たな実践を行う場として、GXリーグを設立しました。GXリーグの取り組みの一つが、自主的な排出量取引制度のGXーETSです。

GXーETSは、GXリーグに参加している企業が取引を行うもので、排出量が多い企業が、排出量が少ない企業から排出権を購入することで、排出量を削減します。2023年度から施行的な運用が始まっていて、2026年度から本格的な始動を目指しています。

カーボンクレジットの課題とは

カーボンクレジットの活用は今後も活発化することが考えられます。ただ、課題もあります。一つは、企業がカーボンクレジットを利用して簡単に、かつ、低コストにカーボンオフセットができると、自社の排出量削減に消極的になる懸念があることです。

また、カーボンクレジットの排出削減効果に疑念を抱かれる可能性もあることから、品質評価のためのルールや、安易に活用されないためのルール整備なども必要と言えそうです。

企業がカーボンニュートラルに向けて取り組みを行う際に、設備投資なども必要なく二酸化炭素の排出量削減を実現できるのが、再生可能エネルギーによる電力を使用することです。エバーグリーンでは、電気に環境価値を保つ非化石証書を組み合わせることによって、実質的に再生可能エネルギーを提供する法人向けの「CO₂フリープラン」を提供しています。詳しくはこちらをご覧ください。

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