コーポレートPPAの契約とは
コーポレートPPAの契約件数は伸びている
コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)とは、企業や自治体など電力を使用する需要家が、小売電気事業者から太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力を長期購入する契約のことです。
コーポレートPPAはCO₂排出量の削減につながる電力調達手段として注目が高まっていて、近年では太陽光発電のコストの低下や、電気料金の高騰もあって、契約件数の伸びが加速しています。
発電設備の設置場所や、契約形態も多様になってきたことから、需要家の選択肢も広がりつつあります。

コーポレートPPAを契約するメリットとは
コーポレートPPAを契約する主なメリットとして、次のようなものが挙げられます。まず、CO₂を含む温室効果ガスの発生を抑制できることです。再生可能エネルギーの調達量を増やすことで、化石燃料由来の電力調達量を減少させて、温室効果ガスを削減できます。
次に、初期投資が不要でも、脱炭素の取り組みができることです。コーポレートPPAのうち、企業が発電設備を設置する場所を貸し出すオンサイトPPAの場合、需要家が太陽光発電などの設備導入の初期費用やメンテナンス費用を負担する必要がありません。
また、コーポレートPPAを契約することによって、長期的な電力コストを確定できることも大きなメリットです。再生可能エネルギーの購入価格は市場価値によって変動しますが、コーポレートPPAではプラン内容によっては長期契約を締結した時点で価格が固定され、電気料金を安定化させることができます。
コーポレートPPAを契約するデメリットとは
一方で、デメリットもあります。再生可能エネルギーの中には、天候によって発電量が変動しやすいものがあります。太陽光発電は日照条件の影響を受けやすいほか、風力発電も風の状況に影響されやすく、いずれも発電量は変動しやすくなっています。
長期契約を結ぶことがデメリットになる場合もあります。通常は契約期間が20年と長く、途中で方針を転換することや、再生可能エネルギーの利用を停止することはできません。
また、契約を結んだ時点から、再生可能エネルギー由来の電力の市場価格が下落した場合は、本来であれば電力をもっと安く調達できたところ、コスト削減の機会を失うことにもあります。長期契約がデメリットになるケースがあることは知っておくことが必要です。
コーポレートPPAの契約形態とは
コーポレートPPAの契約形態の種類
コーポレートPPAの契約形態は、大きく分けてオンサイトPPAとオフサイトPPAがあります。簡単に言えば、オンサイトPPAは発電施設が需要地点に近い場合の契約で、電力会社の送配電網を使わずに接続するものです。
オフサイトPPAは発電設備が需要地点から遠隔にある場合の契約です。電力会社の送配電網を使って接続します。具体的には、需要家が電力と環境価値をセットで購入するフィジカルPPAと、需要家が環境価値だけを購入できるバーチャルPPAがあります。
コーポレートPPA契約のオンサイトPPAとは
オンサイトPPAでは、需要家が電力を必要とする建物の屋上や、敷地内の空き地を発電事業者に提供して、再生可能エネルギーの発電設備の建設や運転、保守などを発電事業者に委託します。発電した電力と環境価値を需要家が長期契約で購入します。
メリットとしては、自家発電とは異なり、需要家が発電設備の建設や運転に責任を負わなくて済む点があります。送配電網を使用しないので、託送料や再エネ賦課金を払う必要もありません。契約条件によっては、契約期間が満了した時点で、需要家が発電設備を無償で引き取ることもできます。
デメリットとしては、発電設備の規模が相対的に小さくなるため、発電量が限られてしまうことが挙げられます。また、余剰電力が生じた場合には送配電事業者との接続契約や蓄電池の導入といった対策が必要になる場合もあります。

コーポレートPPA契約のオフサイトPPAとは
オフサイトPPAの契約件数は年々増加しています。主流になっているのは、小売電気事業者を通じて電力と環境価値を購入するフィジカルPPAです。これに対して、環境価値だけを長期契約で購入するバーチャルPPAを選択する需要家も確実に増えつつあります。
フィジカルPPAは、オンサイトPPAと同様に固定価格での契約になることから、電力の購入コストを長期で固定できるのがメリットです。一方で、送配電網を利用するため、需要家は託送料のほか、小売電気事業者に手数料を支払う必要があります。
バーチャルPPAのメリットは、従来の電力契約を変更する必要なく導入ができることです。フィジカルPPAよりも柔軟性があります。ただし、コストが変動するため、変動リスクを抑える対策も必要になります。
コーポレートPPAの契約状況は
コーポレートPPAの契約状況と注目されている背景とは
日本国内のコーポレートPPA全体の契約規模は、年々増加を続けています。オンサイトPPAの導入は2020年度以降に本格化しました。矢野経済研究所の太陽光発電市場に関する調査(2024年度)によりますと、2023年度の非住宅_オンサイトPPA導入容量は870MWの見込みで、太陽光発電市場全体の17.3%を占めるまで拡大すると推計しています。
一方、オフサイトPPAの国内での導入が本格化してきたのは2022年度頃からです。環境価値に対するニーズが高まっていることから、オフサイトPPAも導入容量が加速しています。
再生可能エネルギーの調達手段としては、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)がありますが、売電価格の低下などから事業用は減少の一途を辿っています。オフサイトPPAとオンサイトPPAはFIT制度に依存しない契約形態であることから、今後も導入が増加することが見込まれています。

コーポレートPPAの契約期間は長期が基本
コーポレートPPAの規約期間は、一般的には20年と長期にわたります。長期に契約期間が設定されているのは、太陽光パネルの寿命が長いことが背景にあります。
長期契約によって、PPA事業者は初期投資などを長期間にわたって回収できるメリットがあります。需要家にとっては電力単価が安価になるケースも多く、採用しやすくなっています。
リスクとしては、原則として中途解約が不可になっていることが挙げられます。契約期間中に需要家の建物が移転しなければならなくなり、中途解約する場合は解約金の支払いが生じます。また、PPA事業者の倒産や事業撤退のリスクもあることから、PPA事業者の安定性や信頼性を見極める必要があります。
エバーグリーンのコーポレートPPAは短期契約が可能
エバーグリーンでは、自社で調達した再生可能エネルギー電源を提供するコーポレートPPAのスキームを提供しています。固定価格で安定的に再生可能エネルギーを確保できることから、経営リスクを最小限に抑えることができます。
エバーグリーンが提供するコーポレートPPAの特徴のひとつは、短期契約が可能なことです。通常は20年の長期契約がメインになりますが、3年からの短期契約も受けています。ご要望に合わせて柔軟に対応しております。
また、多彩なプランが選べることも、エバーグリーンの特徴です。完全固定料金プランや、時間帯によってお得になる市場連動型プラン、それに固定価格と市場価格のいいとこ取りができるハイブリッドプランがあります。
これらのプランに、非化石証書によって環境価値を付加して、実質的に再生可能エネルギーを提供するCO₂フリープランをプラスアルファすることができます。導入によってCO₂排出係数をゼロにできます。詳しくはこちらをご覧ください。