デマンドレスポンスに取り組むには?契約など導入方法や事例、メリットを解説

ビジネス関連
2025年9月25日

電気の需要をコントロールする、デマンドレスポンスの導入を検討している企業は増えているのではないでしょうか。デマンドレスポンスの契約の進め方や導入の事例、メリットなどについて解説します。

目次

デマンドレスポンスの仕組みやメリットを事例から解説

デマンドレスポンスとは

デマンドレスポンスとは、企業など電力を使用する需要家が、電力使用量を制御することで電力需要のパターンを変化させることです。デマンドレスポンスによって、電力の需要と供給のバランスをとることができます。

電気を安定して供給するためには、電気を作る量=供給と、電気の消費量=需要が同じ時に同じ量になっている必要があります。これらの量が一致しないと、電気の周波数が乱れて、電気の供給を正常にできなくなる恐れがあります。

電力会社は発電計画をベースにしながら、刻々と変動する電力需給に合わせて発電量を変えているものの、その日に使う電気は毎日生産しています。天候などの影響によって需要が多い時には電力需給は逼迫し、需要が少ない時には供給が過剰になり、電力需給バランスを狂わせてしまう場合があります。このため、需要家が電力の供給状況に応じて消費パターンを変化させる、デマンドレスポンスの重要性が高まっています。

デマンドレスポンスのメリットと事例

デマンドレスポンスには、需要制御のパターンによって、需要を抑制する「下げDR」と、逆に需要を増やす「上げDR」があります。「下げDR」は、電気のピーク需要のタイミングで、需要機器の出力を落として需給バランスを図ることです。「上げDR」は再生可能エネルギーの過剰出力分を、需要機器を稼働することによって消費することや、蓄電池の充電で吸収することなどを指しています。

このほかにも、ピーク需要時に電気料金を値上げするなど、多様な電気料金を設定することで電力需要の抑制を促す「電気料金型デマンドレスポンス」や、電力会社が報奨金などを支払うことで電力需要の抑制を促す「インセンティブ型デマンドレスポンス」があります。「インセンティブ型デマンドレスポンス」はネガワット取引とも呼ばれます。

デマンドレスポンスに取り組み、全体の電力需給バランスを取ることによって、さまざまなメリットが生まれます。ひとつは、電力使用量を抑えることによって、日本全体として発電のための燃料調達コストを抑制することにつながります。あわせて、再生可能エネルギーの導入が拡大していることから、デマンドレスポンスによって需要時間帯をシフトすることで、再生可能エネルギー由来の電力を有効に使うことができます。

また、「インセンティブ型デマンドレスポンス」の場合、企業などの需要家にとっては、電力会社からの報酬が得られるメリットがあります。

エバーグリーンでは、イーレックスグループのバイオマス発電所と、東京電力エナジーパートナーの営業力を融合して、100%再生可能エネルギー由来の「CO₂フリー電気」を法人向けに提供するとともに、初期費用・運用コストともに0円で参加できるデマンドレスポンスサービスもご提供しています。エバーグリーン・マーケティングと需給契約のあるすべての特別高圧・高圧の法人様が、このサービスに無償でご参加いただけます。

このプログラムには、2024年度に製造業から教育機関、それにサービス業まで125社が参加しました。電力需要が多い時間帯から少ない時間帯に企業活動を移すピークシフトは、年間累計で108,939kWhを達成し、電力使用の平準化と再生可能エネルギー発電の安定化に寄与しています。

このデマンドレスポンスの実績に基づいたインセンティブの総額は1090万266円でした。参加企業にとってはピークシフトのインセンティブによる還元と、節電に取り組んだこと自体の電気料金削減効果が、メリットとして得られたことになります。

デマンドレスポンスの契約の進め方と事例

デマンドレスポンスの導入や契約を成功させるためには必要なステップがあります。エバーグリーンの導入事例からポイントを見ていきます。

まずは、事前のヒアリングです。現在の契約電力のデータや、過去使用料と利用設備の情報を詳細に収集します。A社では、導入前に機器の利用状況を分析することで、最適な制御方法を立案しました。

次に、シミュレーションです。ピークシフトの量とインセンティブを試算して、期待できる効果を可視化します。実際にシミュレーションを行ったB社は、事前のシミュレーションによって年間1,300kWhの電力抑制と、15万円の電気料金削減効果を試算することで、社内での承認を獲得しています。

そして、本番での運用では、節電通知に応じた節電アクションをマニュアル化することが重要です。前出のA社、B社とも、月3回の節電通知に対応することによって、安定的にピークを抑制することができています。

デマンドレスポンスの導入事例は

デマンドレスポンスを取り入れたエネルギーマネジメントの事例

では、デマンドレスポンスを導入した企業の、具体的なエネルギーマネジメントの事例について見ていきましょう。

ある教育施設では、蓄熱システム、照明、冷房・空調設備、それに冷水製造システムを対象に、デマンドレスポンスを導入しました。中央監視システムによってエネルギー使用状況を集中監視することで、使用状況の見える化を実現しています。

その上で、蓄熱システムによって、空調の負荷を夜間にピークシフトすることや、照明や空調のリアルタイム遠隔制御による需要削減、冷房や空調設備の運用高度化によって、2年間で約2000万kWhの消費電力量を削減しました。これは、この教育施設が通常消費していた電力の2か月分に相当するものです。

デマンドレスポンスの自動化によって省エネと省力化を両立した事例

デマンドレスポンスを完全自動化することで、省エネルギーと省力化を両立することも可能です。あるスーパーマーケットでは、蓄電池と空調設備を対象に完全自動化によるデマンドレスポンスを導入しました。

具体的には、電力需要が少ない夜間に蓄電池を稼働して充電するとともに、電力需要の多い日中に放電することで負荷を平準化することと、電力需要ピーク時の空調負荷をリアルタイムで制御して需要を削減することに取り組みました。

導入当初は従業員の業務負荷が増加するのではないかといった懸念があったものの、完全自動化することで業務負荷が増えることはありませんでした。取り組みによって需要削減による省エネルギー効果と、デマンドレスポンスを実施したことによる報酬も得られています。

遊休状態の発電機を活用したデマンドレスポンスの事例

製造業では、遊休状態にあった発電機を活用して、製造工場にデマンドレスポンスを実施した複数の事例があります。

デマンドレスポンスの導入にあたっては、機器の管理方法やコスト効率などの観点から、手動もしくは自動を選択します。手動で制御することを選んだ企業は、需給バランスの調整などを行うアグリケーターから、1時間前もしくは10分前に需要抑制依頼の通知を受けて、発電設備を直接操作するか、もしくは電子操作盤による遠隔操作を行います。自動を選択した場合は、当日の10分前にシステムに連動した需要抑制依頼を受けることで、発電機を自動制御します。

遊休状態にあった発電機によってデマンドレスポンスを導入することは、資産の有効活用とともに、これまで購入していた電力を代替できるなどのメリットがあります。手動での需要抑制は、最初は不安感があっても、回数を重ねるうちにスムーズに対応することが可能になります。

参考資料:資源エネルギー庁「バーチャルパワープラント・ディマンドリスポンスについて」取組事例紹介

デマンドレスポンスの国内外の状況は

デマンドレスポンスの海外の事例は

デマンドレスポンスの取り組みは、国内外で広がりつつあり、今後も市場は世界的に拡大すると見られています。

ヨーロッパの国々では、太陽光発電や風力発電の導入拡大に伴って、変動する電力供給に対する需給調整方策の検討が必要になっています。出力抑制や再給電といった系統運用面の対策や、需給調整の広域化とともに、デマンドレスポンスも需給調整の重要な方策のひとつになっていて、活用を推進するための枠組みが政策的に策定されています。

また、米国では連邦エネルギー規制委員会において、デマンドレスポンスに関係する各種の指令や活動が実施されるとともに、政府当局によってデマンドレスポンスに係るプログラムが実施されています。国内で最もエネルギーを消費する組織の防衛省は、省エネルギーや効率化のプログラムに参加するとともに、2009年以降50を超えるデマンドレスポンスのプログラムに参画しています。

国内のデマンドレスポンスの今後は

日本国内では、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画によって、再生可能エネルギーが初めて最大の電源と位置付けられました。具体的には、電源構成に占める割合を2023年度の22.9%から、2040年度には4割から5割程度に引き上げることが明記されています。

このため、電力需給のバランスを保つための有効な手段であるデマンドレスポンスの重要性は、日本国内でもますます高まっていくことが予想されます。今後中小企業や家庭などでもデマンドレスポンスに参加しやすくなる仕組みが整備されていくことによって、簡単に参加できる環境が整えられていくことが期待されます。

エバーグリーンのデマンドレスポンスサービス

エバーグリーンでは前述の通り、グループ会社のイーレックスと協力して、デマンドレスポンスサービスを提供しています。2024年度から発電事業者が安定して発電ができるよう、小売電気事業者が、供給中のお客さまの電力量に応じて拠出金を支払う仕組みが開始されました。エバーグリーンでは電力量が抑制できた場合、ご協力いただいた量に応じて電気代の割引として還元します。詳しくはこちらをご覧ください。

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皆さまの暮らしを支えます

  • Point
    1

    CO₂排出量が実質ゼロの電気

    実は、家庭から排出されるCO₂の約半数は電気の使用によるもの。エバーグリーンの電気をご利用いただくと、これを実質ゼロに抑えることができます!

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    2

    安心・安全の供給体制

    エバーグリーンは、再生可能エネルギーのリーディングカンパニーであるイーレックスと、東京電力エナジーパトナーの共同出資により創設した企業です!

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    3

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