契約電力(kW)とは
契約電力(kW)の定義は
契約電力は、企業が電力会社と契約する際に決定する最大電力量のことを指します。具体的には、照明や空調、機械など電気を使用する機器を一斉に稼働した場合の、最大値を想定した電力量のことです。
電気料金に含まれる基本料金は、契約電力を用いて算出されます。企業や施設などでは過去の電力の使用実績をもとに契約電力を設定して、この契約電力をベースにして基本料金が決まります。
契約電力を超えると、契約超課金が発生することや、基本料金が上がる可能性があります。また、実際に使った電力量が契約電力を大きく下回っていることが多くなると、必要以上の電気料金がかかってしまうことになります。
契約電力におけるkWとkWhの違いは
電気料金を検討する際には、kWとkWhの2つの単位が出てきます。このうち、kWは電力の単位です。1kW=1000Wです。契約電力(kW)は、前述の通り、使用する全ての機器を動かすために必要な電力量を指しています。
一方のkWhは、1時間あたりの消費電力量を表す単位です。1kWの機器を5時間使用した場合は、1(kW)×5(h)=5(kWh)になります。
法人の場合、電気料金の基本料金は契約電力(kW)をもとに算出されます。また、使用量に応じて支払う従量料金は、消費電力量(kWh)をもとに決まります。

契約電力(kW)とアンペア(A)の違いは
kW以外にも、電気を使う際によく聞く単位があります。その1つがアンペア(A)です。アンペアは電流を表す単位で、1秒間に回路を流れる電気の量を指します。数値が小さいほど流れる電流が少なく、大きいほど電流が多いことを示します。
電気料金の基本料金は、法人の場合は契約電力(kW)をもとに計算されるのに対し、家庭の場合は20A、30Aといったアンペア数をもとに計算されるケースが主流です。一般的には10Aから60Aまでの契約アンペアを選ぶことによって、電気の基本料金が決まる仕組みになっています。
このほか、電圧を表すボルト(V)や、1秒間あたりの消費電力の単位を表すワット(W)があります。ワットが大きいほど、電気エネルギーの消費量は大きくなります。また、消費電力ワット(W)は、ボルト(V)×アンペア(A)で求めることができます。
法人の契約電力(kW)の決め方は
低圧契約における契約電力(kW)の決定方法は
法人向けの電力契約には、契約電力(kW)によって「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類があります。このうち、低圧は契約電力が50kW未満の場合です。小規模な小売店や、飲食店などが該当します。
低圧の契約電力を決定する方法には、主開閉器契約と負荷設備契約の2つがあります。主開閉器契約は、ブレーカーの容量に基づいて契約電力を決定する方法です。全ての電気機器を同時に使わない場合は、主開閉器契約を選ぶことで契約電力が下がる場合があります。
負荷設備契約は、使用する電気機器をあらかじめ設定して、その総容量に一定の係数を乗じることによって契約電力を算定する方法です。電気機器が出力のみ表示されている場合は入力換算によって入力容量に換算し、そこからそれぞれ係数を乗じる台数圧縮と容量圧縮によって契約電力が算定されます。
高圧の契約電力500kW未満は実量制で決定
高圧は契約電力が50kWから2000kW未満の場合です。その中でも、500kW未満と、500kW以上2000kW未満では決定方法が異なります。
500kW未満は、事務所や飲食店、小売店舗などの中小規模施設が対象で、実量制によって決定されます。実量制では過去1年間の最大需要電力のうち、最も大きな値が契約電力として適用されて、そこから基本料金が算定されます。
最大需要電力とは、30分ごとの使用電力の平均値であるデマンド値が1か月の中で最も高かった数値のことです。この最大需要電力のうち、過去1年間で最も大きい値が契約電力になります。
実量制では、繁忙期や酷暑、厳寒の時期に多量の電力を消費すると、高い最大電力需要が記録されて基本料金に反映されます。瞬間的な使用電力量の増加が、契約電力に大きな影響を及ぼすことになります。
高圧の契約電力500kW以上と特別高圧は協議制で決定
高圧の契約電力が500kW以上から2000kW未満の場合と、契約電力が2000kW以上の特別高圧については、協議制によって決定されます。500kW以上から2000kW未満の高圧は、主に工場や事業所、公共施設などの大規模、もしくは中規模の施設向けの契約で、特別高圧は製造工場や病院、複合商業施設などの大規模施設に向けた契約になります。
協議制では、直近12か月の実績や、負荷設備の容量などを加味しながら、企業などの需要家と電力会社が協議して契約電力を決定します。
実量制のように一律の算定方法ではないため、使用実績や運用計画などをもとに契約内容を柔軟に決定できる一方で、契約時には電力使用についての精緻な見通しや設備情報などの提出が求められます。

契約電力(kW)を適正化するポイントは
契約電力(kW)の超過を避けるピークカットとピークシフト
高圧電力の電気代は、次のように計算されます。
高圧電力の電気代=基本料金+電力量料金+再エネ賦課金+調整費
また、基本料金については、単価×契約電力×力率割引によって算出されます。契約電力を適正化することによって基本料金を下げることが可能になり、電気料金を削減することにつながります。
適正化の代表的な方法が、ピークカットとピークシフトです。ピークカットとは、最も電力を使用する時間帯の電力使用を抑えることによって、全体の電力使用量を抑える方法です。ピークカットの方法には、太陽光発電を導入して、最も電力を使う昼の時間帯に発電した電気を使うことなどが挙げられます。
これに対してピークシフトは、電力を使用する時間帯をずらして分散させることによって、最大需要電力を抑えることです。使用電力が少ない夜などの時間帯に蓄電池などで電気をためておいて、ピークになる時間に使用する方法があります。
ピークカットとピークシフトによって、基本料金を削減できるほか、電力量料金を削減することも可能になります。
契約電力(kW)の超過を避けるデマンド監視装置などの導入
契約電力を適正化する方法には、デマンド監視装置の導入もあります。監視装置によって30分ごとの最大使用電力であるデマンド値を抑えることで、最大需要電力を下げることが可能になります。
あらかじめ設定したデマンド値を超過しそうなタイミングで、警報やメールなどによるアラートを受け取ることで、手動で空調の停止や設定温度の変更、消費電力が多い機器の使用を停止するなどして調整します。監視装置を入れなくても、人的な管理や、自動で空調などを停止するデマンドコントローラーを活用する方法もあります。
電力需要のピーク時にデマンド値を管理し、最大需要電力を下げることによって、その後1年間の電気料金を大幅に削減することも可能になります。契約電力の適正化については、自社にあった方法を検討してみてはいかがでしょうか。

契約電力(kW)を最適化するエバーグリーンの法人向けプラン
エバーグリーンでは親会社のイーレックスと共に、特別高圧や高圧で契約する法人のお客様向けに、デマンドレスポンス(DR)サービスを提供しています。サービスの導入費は無料で、エバーグリーンから依頼を受けたお客様が、空調、照明、設備などの使用をコントロールして、使用量を増減させます。
具体的な流れは、前日もしくは当日に、ご登録いただいているメールアドレス宛にエバーグリーンから「節電のお願い」をメールでお送りします。お客様には指定されたタイミングで、無理のない範囲での節電をお願いします。
2024年度から発電事業者が安定して発電できるように、小売電気事業者が供給中のお客様の電力量に応じて拠出金を支払う仕組みが開始されました。節電によって電力量の抑制ができた場合、拠出金の金額が削減できるため、ご協力いただいた量に応じて電気代の割引として還元します。
デマンドレスポンスに取り組むことで、効率よく電気を使い、発電量を減らすことによって、二酸化炭素排出量の削減につながります。 また、昼間の電気使用量が多いお客様には、市場連動プランがおすすめです。 市場価格は夜間よりも昼間の方が安い傾向があるため、お得なプランになります。詳しくはこちらをご覧ください。