カーボンクレジットとは?企業による活用方法を解説

ビジネス関連
2025年11月11日

カーボンクレジットとは、個人や企業がCO₂排出量の削減や除去の取り組みを行った結果を認証したものです。日本国内では企業や組織間で相対取引や入札販売などを通じて取引されてきましたが、新たに東京証券取引所が開設したカーボンクレジット市場でも取引ができるようになりました。今回は、企業によるカーボンクレジットの活用方法をわかりやすく解説します。

目次

カーボンクレジットとは

カーボンクレジットの定義とは

カーボンクレジットとは、企業や団体、個人などがCO₂排出量の削減や除去の取り組みを行った結果を、クレジットとして認証したものです。

カーボンクレジットはCO₂を1トン削減・除去するごとに、1クレジットが発行されます。日本国内では企業や組織間で、相対取引や入札販売などの形で取引されてきましたが、東京証券取引所が2023年10月に開設した「カーボン・クレジット市場」でも取引ができるようになりました。

カーボンクレジットと似た言葉に、カーボンオフセットがあります。カーボンオフセットは排出したCO₂を、第三者が行ったCO₂削減・除去の活動によって発行されたクレジットを購入することで、排出量を相殺することです。つまり、カーボンクレジットは、カーボンオフセットの手段のひとつとなっています。

カーボンクレジットの種類は

カーボンクレジットには多くの種類があります。大きく分けると、「国際協定に基づく枠組み」、「国や地域の制度」、それに「民間事業者による制度(ボランタリークレジット)」の3つです。認証機関と利用者がそれぞれ異なります。

「国際協定に基づく枠組み」は、パリ協定などの国際協定に基づくものです。クレジットの発行者は国連などの国際機関のほか、二国間制度の場合は両国政府となり、利用者は各国の政府や企業です。先進国が途上国のCO₂排出削減や除去に投資することでクレジットが発行されるものがあります。

「国や地域の制度」は、CO₂排出の削減・除去量を国や地方自治体が認証する制度です。国内や地方自治体に属する企業が利用できるもので、代表的なものに国内の排出削減活動や森林整備によって生じた排出削減や吸収量を認証したJ-クレジットがあります。

「民間事業者による制度(ボランタリークレジット)」は、民間企業や団体が発行するもので、企業や個人が利用できます。多様な種類があり、流通量も多いことが特徴です。

カーボンクレジットが広がっている背景とは

カーボンクレジットは、日本を含めた多くの国や地域が目指しているカーボンニュートラルの達成を促進するものとして、世界的に導入が広がっています。

企業にとってCO₂の排出量削減や除去は、経済活動に直接結びつきにくい面があるため、積極的な取り組みを行いづらいといった課題があります。

その課題に対して、カーボンクレジットであれば市場で売買ができて、CO₂排出の削減や除去の取り組みに経済的な価値をもたらすことが可能になります。こうした点から、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みを加速させる役割が期待されているのです。

カーボンクレジットを企業が活用する方法は

カーボンクレジットの取引方法による価格の違いは

カーボンクレジットは、「ベースライン&クレジット」と「キャップ&トレード」のいずれかの方法によって取引が行われています。取引方法によって価格が変わってくるほか、一般的に信頼性や透明性が高い認証機関によって認証されたクレジットや、持続可能な開発計画であるSDGsに貢献するような付加価値のあるクレジットほど、高値で取引される傾向にあります。

「ベースライン&クレジット」では、現在のCO₂排出量を基準値=ベースラインとして設定し、排出削減や除去のプロジェクトによって削減された量に基づいてクレジットが生成されます。このクレジットは市場で取引できます。日本国内では「ベースライン&クレジット」が主流で、代表的なものにJ-クレジットがあります。

ベースライン&クレジットのイメージ画像です。

(図)独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構 ホームページより

一方、「キャップ&トレード」は、国や地域が企業などに対してCO₂排出量の上限=キャップを設定して、その上限を下回った分をクレジットとして認証・取引します。排出量の上限を超えた場合は、罰金などのペナルティが科されます。

キャップ&トレードのイメージ画像です。

(図)独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構 ホームページより

カーボンクレジットを認証機関から購入する

カーボンクレジットを認証機関から購入する場合には、認証機関に登録した上で、プロジェクトを選んで購入します。

国内外のカーボンクレジットを手軽に購入できるのが、東京都カーボンクレジットマーケットです。カーボンクレジットのさまざまな情報を参照しながら、簡単に購入することが可能です。

東京都カーボンクレジットマーケットのホームページの画像です。

図)東京都カーボンクレジットマーケット(https://carbon-market.metro.tokyo.lg.jp/

カーボンクレジットを市場取引によって購入する

カーボンクレジットを市場取引によって購入する場合には、前述した東京証券取引所が開設している「カーボン・クレジット市場」があります。

取引対象になっているのはJ-クレジットで、法人、政府、地方公共団体または任意団体が対象です。個人は取引に参加できません。市場に参加する場合には登録が必要です。



東京証券取引所によりますと、2023年10月に開催されたカーボン・クレジット市場は、開設来の累計売買高が2025年9月8日に100万トンを突破しました。市場参加者数は334者で、累計売買高とともに順調に伸びています。

カーボン・クレジット市場の累計売買高と、市場参加者数の推移を示したグラフです。

(図)日本取引所グループホームページより

「カーボン・クレジット市場」でのJ-クレジットの取引価格は、市場開設直後は平均価格が1トンあたり3000円前後で推移していました。それが、2024年半ばから値上がりし、同年11月には6000円に倍増しました。長期的には上昇基調が続くとみられています。

カーボンクレジットを企業が活用するメリットとは

カーボンクレジットの活用でカーボンニュートラル達成を目指す

企業がカーボンクレジットを活用する場合には、カーボンクレジットの購入と売却の2通りの活用方法があります。

カーボンクレジットを購入することのメリットは、CO₂排出量の削減が困難な業種の場合に、実質的な排出量削減ができることです。

カーボンクレジットを売却する企業については、売却による利益が得られるほか、CO₂排出量削減に取り組むための設備投資が進むといったメリットもあります。

カーボンクレジットの活用で企業価値の向上を目指す

企業がカーボンクレジットを活用することのメリットが他にもあります。それは、環境に配慮した企業としての評価が高まることです。

環境・社会・ガバナンスへの取り組みを評価して投資先として選ぶESG投資に対応できることで、資金調達の面でメリットが生まれるほか、競争力の強化にもつながります。

カーボンクレジットを活用することによって、CO₂排出量の削減と企業価値の向上が同時に実現できることになります。脱炭素社会の実現に向けて、企業によるカーボンクレジットの活用は今後も広がっていくとみられています。

カーボンクレジットと電力事業との関連は

電力事業もカーボンクレジットと関係しています。電力会社自身がカーボンクレジットを購入することで、CO₂排出量の削減を目指しているほか、カーボンクレジットの活用として、カーボンクレジットを創出する事業に取り組んでいる会社もあります。

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