カーボンニュートラルとは?企業が達成するためのポイントを解説

ビジネス関連
2025年11月13日

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。カーボンニュートラルが求められる背景や、企業がカーボンニュートラルを達成するためのポイントについてお伝えします。

目次

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは何かについて簡単に解説

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて、排出を全体としてゼロにすることです

温室効果ガスの種類には、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがあります。経済産業省資源エネルギー庁によりますと、2022年度の日本の温室効果ガス排出量は11.4億トン。そのうち化石燃料を燃焼させることで発生する二酸化炭素であるエネルギー起源二酸化炭素が9.6億トンと、85%を占めています。

2022年度の日本の温室効果ガス排出量の内訳を示した円グラフです。

(図)経済産業省資源エネルギー庁 日本のエネルギー2024年度版「エネルギーの今を知る100の質問」より
https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2024/04.html

排出を全体としてゼロにするということは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味します。

カーボンニュートラルが求められる背景とは

カーボンニュートラルは、2025年2月13日の時点で世界の146の国や地域が、2050年、2060年、2070年までに実現することを宣言しています。これらの国の二酸化炭素排出量が、世界全体の二酸化炭素排出に占める割合は、2022年度実績で約7割です。

カーボンニュートラルを表明した国や地域を、2050年まで、2060年まで、2070年までの目標別に色で示した世界地図の画像です。

(図)経済産業省資源エネルギー庁 日本のエネルギー2024年度版「エネルギーの今を知る100の質問」より

世界の国と地域がカーボンニュートラルを目指している背景には、パリ協定の存在があります。パリ協定は、温室効果ガスの削減に関する多国間の国際的な協定で、2015年にフランス・パリで開催された、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されました。

具体的には、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること。そのために、できる限り早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトして、21世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と、吸収源による除去量との間の均衡を達成することなどが合意されています。

しかし、パリ協定が採択された後も、気温の上昇は続いています。世界の平均気温は2024年時点で、産業革命前の水準(1850~1900年)と比べて1.55℃上回ったことが、世界気象機関(WMO)から発表されました。気温上昇を抑える目標の1.5℃を初めて超えたことになり、今後も更なる気温上昇が予想されます。

日本が目指す2050年カーボンニュートラルとは

日本政府も2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。2021年4月には、2030年度に温室効果ガスを2013年度に比べて46%削減することを目指すことや、50%の高みに向けて挑戦を続けていくことを表明しました。

さらにこの目標は、2025年2月に改定されています。2013年度に比べて2035年度に60%、2040年度に73%削減する目標を掲げ、気候変動に関する国際連合枠組条約事務局に提出しました。

国立環境研究所によりますと、2019年度時点では日本が排出している温室効果ガス排出量のうち、約4割が電力部門、残りの6割が産業や運輸、家庭などの非電力部門からの排出でした。このため、カーボンニュートラルの目標を達成するためには、国内の企業それぞれがカーボンニュートラルを目指していく必要があります。

2019年度の日本の部門別のCO2排出量の内訳を、円グラフで示した画像です。

(図)経済産業省資源エネルギー庁「日本の部門別のCO2排出量(2019年度)」

カーボンニュートラルを企業が達成する方法とは

カーボンニュートラルを達成するためのエネルギー効率化とは

企業がカーボンニュートラルを目指す際には、さまざまな取り組みが考えられます。最初に行うのは、自社の温室効果ガスの排出量を正確に把握して「見える化」することです。現状の排出状況を理解することで、部門ごとの削減目標の設定や、具体的な改善計画を立てることが可能になります。

その上で取り組む方法の一つが、エネルギーの効率化です。省エネルギー設備の導入や、省エネルギー化を進めるための業務プロセスの改善などによって、効率化を図ることができます。これらの取り組みは大企業だけでなく、中小企業でも有効です。

2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でも、徹底した省エネルギーを進めていくことが明記されています。

カーボンニュートラルを達成するための再生可能エネルギーの活用とは

企業がカーボンニュートラルを目指す際に、省エネルギー以外にも導入しやすい取り組みがあります。それは、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーを活用することです。

石炭や石油などの化石燃料による発電が大量の二酸化炭素を排出するのに対して、再生可能エネルギーによる発電は燃料を消費しないため、二酸化炭素を排出しないか、または排出量が大幅に少なくなります。

企業にとっては、太陽光の自家発電設備を導入する方法のほか、再生可能エネルギー由来の電力プランに切り替える方法もあります。

カーボンニュートラルを達成するためのカーボンオフセットの取り組みとは

温室効果ガスの排出量をできるだけ減らすように努力しても、排出量をゼロにするには難しい場合があります。このような場合に活用できるのが、カーボンオフセットです。

カーボンオフセットとは、排出される温室効果ガスを相殺=オフセットするために、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資することなどを指します。具体的には、国内の排出削減活動や森林整備によって生じた排出削減や吸収量を認証したJ-クレジットを購入する方法があります。

Jークレジット制度及びカーボン・オフセットの仕組みについて説明した画像です。

(図)環境省「Jークレジット制度及びカーボン・オフセットについて」より

このほかにも、クレジットが付与された商品の購入やサービスの利用といった方法もあります。エネルギーの効率化や、再生可能エネルギーの活用などに取り組んだ上で残った温室効果ガスの排出量を、カーボンオフセットを実施することでゼロにすれば、カーボンニュートラルを達成することができます。

カーボンニュートラルと電力事業との関連とは

カーボンニュートラルに向けた電力会社の現状と取り組みとは

日本の二酸化炭素の排出量の内訳では、前述の通り電力部門からの排出が約4割を占めています。電力会社の取り組みがなければ、日本のカーボンニュートラル達成は難しいといえます。

電力会社の事業者団体である電気事業連合会では、2050年のカーボンニュートラルの実現向けて、安全性、安定供給、経済性、環境保全の同時達成を前提に、供給側の電源の脱炭素化や、需要側の最大限の電化の推進に取り組むことを掲げています。

特定の電源に過度に依存することなく、バランスのとれた電源構成を追求するとともに、水素などの新たな脱炭素エネルギーの供給や利用の促進を目指しています。

カーボンニュートラルを目指す企業に対する電力会社の支援とは

電力会社はカーボンニュートラルを目指す企業に対して、さまざまな支援を行っています。

そのひとつが、企業に対して電力によるさまざまなサービスを提供することです。また、企業が電化を選択したいと考えられるように理解の促進や、意識改革への働きかけも行っています。

このほか、メーカーとの技術開発や技術革新に向けた協働、国や自治体の政策による訴求など、電力会社と国・自治体、メーカーが一丸となった取り組みを進めることによって、企業の電化を最大限推進していくことを目指しています。

企業のカーボンニュートラルを支援するエバーグリーンのCO₂フリープランとは

企業がカーボンニュートラルの実現を目指す際に、簡単な方法のひとつが電力プランを切り替えることです。

エバーグリーンでは、環境価値を持つ非化石証書を組み合わせることで、実質的に再生可能エネルギーを提供し、CO₂排出係数をゼロにするCO₂フリープランを提供しています。

法人向けのシンプルプラン、完全固定料金プラン、市場連動型プラン、ハイブリッドプランに付加してご利用いただくことをおすすめします。詳しくはこちらをご覧ください。

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