トラッキング付き非化石証書とは?仕組みや有償化について解説

ビジネス関連
2023年10月12日

トラッキング付き非化石証書をご存じでしょうか。非化石証書は再生可能エネルギーなどによる電力の環境価値を証書化したもので、どこで発電されたのかを示す情報を付与したものがトラッキング付き非化石証書です。今回はその仕組みと、2024年に行われた制度改定などについて解説します。

目次

【目次】

トラッキング付き非化石証書とは

非化石証書のトラッキングの仕組みとは

トラッキング付き非化石証書のメリットは

 

※この記事は、2023年10月12日に公開した記事ですが、文言やデータ、その他の部分も追記‧更新して2025年10月13日に再度公開しました。

トラッキング付き非化石証書とは 

 
非化石証書のトラッキング情報とは

 

非化石証書は、化石燃料を使わない再生可能エネルギーなどによって発電された電力について、環境価値の部分を証書化したものです。 

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再生可能エネルギーによる電力は、物理的な電気の価値と環境価値を持っています。この2つを切り分けて、環境価値だけを取引できるようにしたのが、非化石証書やグリーン電力証書、それにJ-クレジットです。 

このうち、どこの発電所で発電された分なのかがわかるトラッキング情報を付与したものが、トラッキング付き非化石証書です。 2024年度からは、全ての非化石証書にトラッキングが付与されるようになりました。

トラッキング付き非化石証書の種類は 

非化石証書には、FIT非化石証書(再エネ指定)、非FIT非化石証書(再エネ指定)、非FIT非化石証書(再エネ指定なし)の3種類があります。

FIT非化石証書は、再エネ価値市場で取引される証書で、取引の対象となるのはFIT電源です。

非FIT非化石証書(再エネ指定)は、高度化法義務達成市場で取引されます。対象となるのは、FIT制度の買い取り期間が終了した太陽光発電設備などの卒FIT電源や、大型水力などです。

非FIT非化石証書(再エネ指定なし)も、高度化法義務達成市場で取引される証書です。対象となるのは原子力やごみ発電などの再生可能エネルギーに当てはまらない非化石のエネルギー源になります。

トラッキング付き非化石証書は有償化の方向も

トラッキング費用については国が負担しているものの、さらに需要が伸びることが予想されるなかで、トラッキング費用の有償化が検討されてきました。 

ただ、有償化に向けては、整理しなければならない論点がいくつかあります。1つは、誰が費用を負担するのかという点です。小売電気事業者や需要家など、証書を購入する側が負担するのかどうかが議論になっています。 

もう1つは、費用のかけ方です。トラッキングの利用料に応じたかけ方にするのか、それとも一定の利用範囲ごとに階層的なかけ方を設定するのかなどが、これまでも経済産業省の制度検討作業部会で話し合われてきました。 

2024年度時点では、全ての非化石証書でトラッキングが始まったことを受けて、費用負担についての見直しが行われました。

非化石証書のトラッキングの仕組みとは 

 
非化石証書のトラッキングのルールが2024年に改定

ここでは2024年度に行われた、非化石証書のルール改定について詳しく見ていきます。

ルール改定のポイントは、「全量トラッキング」と、トラッキングの費用負担方法の見直しです。

非化石証書の全量トラッキングと費用の見直し

全量トラッキングとは、全ての非化石証書にトラッキング情報が保有されることです。FIT証書と非FIT証書がともに対象になりました。具体的なトラッキング情報は、発電方法、発電所名、発電所の所在地、それに運転開始後15年未満か否かです。

費用負担方法の見直しでは、非化石価値を具現化したい発電事業者が会員になる際の年会費が12万円から60万円に引き上げられました。その一方で、売買手数料はそれまでの1kWhあたり0.01円が、0.001円に引き下げられています。  


非化石証書のトラッキング付与の方法とは

トラッキング付与の方法も、2024年度の改定で変更されました。これまでは、トラッキング予約をして、量を入札し、約定してからトラッキングを付与する流れでした。それが、入札時に希望をあわせて入力することになりました。

希望の優先度は、FIT証書は約定価格、非FIT証書は入札価格の高い順になります。また、約定価格が同一の場合は、約定量による按分となります。また、希望が実現できない場合には、無作為に割り当てられることになりました。

トラッキング付き非化石証書のメリットは 

再エネクレジットの中では価格帯が安い非化石証書 

 
非化石証書を購入するメリットは、その分の電力についてCO₂排出量がゼロになることです。

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また需要家にとってもメリットがあります。2021年11月に非化石証書取引の制度が見直されたことで、需要家は小売事業者経由で調達できるほか、直接購入することが可能になるなど、活用しやすくなりました。 

同じ再生可能エネルギークレジットであるグリーン電力証書やJ-クレジットと比較すると、価格帯が安いことも非化石証書のメリットです。2021年11月の制度見直しでは、FIT非化石証書は最低価格が1.3円/kWhから0.3円/kWhに大幅に引き下げられました。 

ただ、非化石証書の価格は、2025年5月時点では上昇しています。価格の動向は証書の種類によって異なるものの、今後も価格は上昇する可能性が高いと見られています。

トラッキング付き非化石証書はRE100などに活用できる 

 
脱炭素化の動きが進む中で、世界の企業や団体の参加が急増しているのが国際的イニシアチブのRE100です。「Renewable Energy 100%」の略で、世界の有力企業が事業で使用する電力を、再生可能エネルギー100%で調達することを目指しています。 

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RE100が発足したのは2014年。2023年1月10日の時点で世界全体の参加企業は397社まで拡大しました。そのうち、日本企業は77社となっています。RE100に参加する企業は今後も増えていくことが予想されます。 

ただ、RE100に対応するためには電源を特定することが求められていて、従来の非化石証書ではRE100には対応していませんでした。そこで国が取り組んだのが、トラッキング付き非化石証書の制度創設です。 

トラッキング付き非化石証書の取引が制度化されたことで、RE100に参加する企業は電気事業者を通じて購入するか、直接購入することによって、RE100の報告に活用できるようになりました。 

また、世界の主要企業が排出するCO2の量や、気候変動対策の取り組みに関する情報を収集・開示する国際イニシアチブであるCDPへの報告にも、トラッキング付き非化石証書であれば対応できます。 

トラッキング付き非化石証書の今後は 

トラッキング付き非化石証書については、2024年度にルール改定や費用負担の見直しが行われたほか、制度の見直しは継続的に行われる見通しです。

また、2030年に向けて再生可能エネルギーの導入はさらに進むとみられることから、今後もトラッキング付き非化石証書の需要が高まり、価格上昇が加速する可能性があります。

エバーグリーン・マーケティングでは、RE100やCDPなどの国際的イニシアチブへの報告に活用可能なトラッキング付FIT非化石証書の調達を代行するサービスを2023年4月3日から開始しました。販売価格については、「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。 

お問い合わせフォーム
/inquiry/form/index.html 

トラッキング付FIT非化石証書の購入代行サービス開始のお知らせ 
/news/2023/0403_2.html 

 エバーグリーン・マーケティングは今後も環境負荷の低減を希望するお客様に様々なサービスを提供し、脱炭素社会の推進や地球環境に優しく環境負荷の少ないエネルギーの普及、実現に向けた取り組みを推進して参ります。 

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