知っておきたい日本のエネルギー問題と再生可能エネルギー

2020年11月19日

資源の少ない日本では、日々の生活に欠かせないエネルギーにおいて複数の問題を抱えています。また、脱炭素意識の高まりに伴い、従来の化石燃料からCO₂を排出しない再生可能エネルギーへのエネルギー転換が重要視されています。今さら聞けない日本のエネルギー問題と再生可能エネルギーについて分かりやすくご紹介します。

【目次】

日本が抱えるエネルギー問題

■温室効果ガス排出問題と脱炭素化によるエネルギー転換

■エネルギー自給率の問題と電気料金の変化

■安全性の確保


再生可能エネルギーの導入拡大


■再生可能エネルギーのメリット

 
■再生可能エネルギーの課題

まとめ


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※この記事は、2020年11月19日に公開した記事ですが、文言やデータ、その他の部分も追記‧更新して2021年12月24日、2022年4月25日に再度公開しました。

日本が抱えるエネルギー問題


■温室効果ガス排出問題と脱炭素化によるエネルギー転換

世界規模で早急に対応すべき大きな課題に「地球温暖化による気候変動問題」があります。既に、地球温暖化が原因とされる異常気象や生態系への影響は広がっています。
国内のエネルギー起源の温室効果ガスは、従来の「大規模集中型エネルギーシステム※」において、当たり前に使われてきた石油・石炭・LNGなどの化石燃料から多く排出されてきました。
東日本大震災以降、国内の原子力発電所が停止し、先に述べたような化石燃料を用いた発電の比重が大きくなったことから、日本の温室効果ガス排出量は増加し、2013年度には過去最高となる14億トンにも及びました。その後2017年度には東日本大震災前の2010年度の排出量を下回りましたが、「パリ協定」に基づいて定めた温室効果ガスの削減目標を実現するには、さらなる努力が必要です。

そこで、世界のエネルギー情勢は大きな転換期を迎えようとしています。
その代表格が世界的な「脱炭素化※」の流れと日本が掲げる「2050 カーボンニュートラル」です。人間が経済活動などを通じて出す温室効果ガスと、植物などがCO₂を吸収する働きで除去される温室効果ガスの量が同程度になるようにするために、石油や石炭などの化石燃料の使用は慎重に進めなければなりません。
蓄積している環境問題への対策として今後更なる化石燃料の低減が求められます。スライド1.PNG

※大規模集中型エネルギーシステム:大規模な火力発電所などを中心に、送電網を地方まで通して電力を供給する仕組み
※脱炭素化:温室効果ガス(GHG)の人為的な排出量と森林などの吸収源による除去量のバランスをとるために、温室効果ガス排出量を低減していくこと

もっと詳しく
2050年に日本が目指すカーボンニュートラルとは?
https://www.egmkt.co.jp/column/corporation/20210625_36.html

■エネルギー自給率の問題と電気料金の変化


石油やLNGなどのエネルギー資源は、従来のエネルギーシステムにおいて無くてはならない存在ですが、 国内のエネルギー自給率は12.1%(2019年度) と、他国と比べて低くなっています。
その主な理由は、日本の化石燃料への依存度の高さと、それら燃料のほとんどを海外からの輸入に頼ってることが挙げられます。

日本の化石燃料の海外依存度

原油 99.7%
LNG 97.7%
石炭 99.6%

海外に依存するということは、相応のリスクを常に孕んでいるということです。
例えば、原油は約90 %を中東地域からの輸入に依存していますが、 この地域は政情が安定しているとは言えず、いつ輸入状況が不安定になるか分かりません。
また、新型コロナウイルスのような予期せぬ事態が発生した場合に、海外からの資源がストップするなども考えられる為、エネルギー自給率の向上は日本のエネルギー安全保障上極めて重要です。
国内のエネルギー自給率の問題は、一見大きな枠組みの中にあるように見えますが、実際は私たちの日常生活にも直接影響を及ぼしています。
2011年の東日本大震災以降、電気料金は上がってきています。2014年~2016年度は原油価格の下落などにより低下したものの、2017年以降再び上昇傾向にあります。

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この他にも、再生可能エネルギーをあらかじめ決められた価格で買い取る「FIT制度」により、再生可能エネルギーの設備容量が増えている事も電気代が高くなる一つの要因となっています。私たちは毎月支払っている電気料金の一部としてFIT制度の買取費用を電気使用量に応じて負担しています。これは「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と呼ばれる料金ですが、FIT電源が多くなればなるほど、FIT電源に対する補助金額は増えていくため、私たちの電気料金を押し上げている一つの要因となっています。

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FIT制度について詳しくはこちら。

■安全性の確保

・電力インフラの強靭化
災害時に停電などで電力供給が停止してしまわないよう強靭なインフラを維持する取り組みのことを指します。
2020年6月には「エネルギー供給強靭化法」が成立し、政府も電力インフラの強靭化を本格的に進めています。
日本の電力ネットワークは、レジリエンスを抜本的に強化し、再エネの大量導入等にも適した次世代型ネットワークを構築することが重要です。

もっと詳しく
【2020年6月成立】エネルギー供給強靱化法とは
https://www.egmkt.co.jp/column/corporation/20210324_32.html

・分散型電力システム
分散型電力システムとは、近隣の地域に必要な電力を供給する小規模な電力エネルギーシステムのことで、事業者が自ら設置して運営する小型電源も含みます。
電力会社が管理する大規模システムとは違い、各地域に分散していることから「分散型」と言われています。

この仕組みは災害時に強く、分配型の配電網と一般の送配電網を切り離し独立したかたちで運用すれば、この配電網から電力を供給された民家やビルは停電などの影響を最小限に抑えることができます。

従来、配電事業への新規参入は非常にハードルが高い為、大手電力会社が所有する配電網を新規参入者に貸し出すことを許可する「配電事業ライセンス」や、分散型の電源を束ねて小売電気事業者に提供する「アグリゲーター」のモデルが許可されています。

もっと詳しく
日本のエネルギーマネジメントシステムの課題に対応しうる分散型エネルギーとは?
https://www.egmkt.co.jp/column/corporation/20200929_17.html#ap_2

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再生可能エネルギーの導入拡大


再生可能エネルギーは、太陽光や風力、地熱など発電時に温室効果ガスを排出せず、またエネルギー源の特徴から国内のエネルギー自給率にも貢献するとして注目されています。
世界的にも、「脱炭素化」の流れを受けて、従来の化石燃料から再生可能エネルギーへ移行しようという動きが活発化しています。

再生可能エネルギーについて詳しくはこちら

■再生可能エネルギーのメリット

再生可能エネルギー導入によるメリットは、下記のように多岐にわたります。

① 温室効果ガスの削減
先ほどもお伝えした通り、再生可能エネルギーはこれまでの化石燃料と異なり、利用時に温室効果ガスを排出しないため、地球温暖化対策に大きく貢献できます。

② エネルギー自給率の向上
再生可能エネルギーのエネルギー源は、太陽光や風、地熱など自然由来のため、基本的に場所を選ばず国内で生産できるメリットがあります。
再生可能エネルギーの導入を拡大することで、日本のエネルギー自給率を上げることができます。

③ 原油輸入額の抑制
原油価格は2000年半ばから国際的な原油価格高騰を受け、今もなお高い傾向にあります。2015年度は価格低迷により前年度比41%まで減少しました。しかしながら、OPEC諸国の協調減産等の影響により、原油価格は再び上昇し2019年度には輸入額が7兆9,772億円となり、総輸入額に占める割合も10.3%になっています。
再生可能エネルギーの導入拡大が、これらの原油輸入金額削減に繋がります。

▼原油の輸入価格と原油輸入額が輸入全体に占める割合

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※一次エネルギーの動向|資源エネルギー庁より引用

この他にも、世界の再生可能エネルギー市場の拡大に伴い、都市開発時のインフラの一部として再生可能エネルギーの導入が見込まれるなど、産業の国際競争力の強化に繋がるという見方や、再生可能エネルギー設備の製造、建設、資源の収集等に関わる新規雇用の創出にも繋がります。また、その導入のポテンシャルの高さから都市部のみならず地方部における地域活性化にも繋がるというメリットがあります。

■再生可能エネルギーの課題

一方で、再生可能エネルギーを将来安定的な主力電源化していくためには、現時点で下記のような課題を解決していく必要があります。

① コストの高さの問題
FIT制度により再生可能エネルギーで発電された電力を買い取るために必要となる費用の一部は、「再エネ賦課金」として国民が負担しています。
この国民負担を抑えつつ、再生可能エネルギー導入を拡大するためには、他の電源と比較して競争力のある水準まで発電コストを下げる必要があります。
そこで政府は、一部に入札制度を取り入れて発電事業者に競争を促したり、コストパフォーマンスの良い発電事業者を基準に買取価格を設定する「トップランナー方式」を導入するなど取組を進めています。

② 安全性
再生可能エネルギーを長期安定した電源にするためには、消費者側との連携は不可欠です。
導入拡大に伴い地域とのトラブルを抑えるために、安全性の確保や地域との共生をはかっていく必要があります。

③ 再生可能エネルギーを電力系統へ繋ぐ際の問題
電線などの発電、送電に必要な日本の電力系統は、再生可能エネルギー発電に適していると考えられる場所(太陽光を取り込みやすい、安定的に強い風が吹く場所など)に必ずしも整備されているとはいえないため、再生可能エネルギーの発電所を電線に繋ぐことができない「系統制約」の問題が生じる恐れがあります。この問題に対応するため、すでに存在している系統設備を最大限活用するとともに、系統の空き容量を柔軟に運用する「日本版コネクト&マネージ」の検討、導入が進められています。

④ 発電量の安定性
特に太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、発電量が季節や天候に左右されるため、電力を安定供給するためのコントロールが難しいという課題があります。条件に恵まれなければ、十分な発電が出来ないことはもちろん、逆に条件に恵まれても管理を怠れば電力需要以上に発電する可能性もあり、需要と供給のバランスが崩れ停電などを引き起こす恐れがあります。この問題を解決するために、需要に対して発電量が不足する場合は、火力発電等の従来のエネルギーで不足分を補い、逆に余る場合には再生可能エネルギーの発電量を抑える出力抑制などで調整をはかっています。

関連コラム
再生可能エネルギー主力電源化に向けて「出力制御」について考える(前編)

まとめ


日本のエネルギー問題は、数々の転換期を経てその度に様々な経験をしてきました。
その経験の蓄積が、今日の私たちの企業活動を支えています。
環境問題や資源の高騰による電気料金の問題などまだまだ解決すべき課題は山積みですが、他人事だと思っているうちはこれらを解決することは出来ません。
再生可能エネルギーをはじめとする新たなエネルギーの誕生が無駄にならないよう、日頃から関心を持ち、積極的に知ることから始めてみませんか?

(出典)
2019—日本が抱えているエネルギー問題(後編)

再生可能エネルギーの特性把握|環境省

2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)|資源エネルギー庁

2020—日本が抱えているエネルギー問題(後編)|資源エネルギー庁


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