【2024年版】温対法のポイントとは?簡単に説明

2021年07月16日

温対法についてご存知でしょうか。2021年に成立した改正温対法によって、事業者に求められる報告義務などが変更されました。2024年現在の温対法のポイントを解説します。

【目次】

温対法とは


温対法が改正された背景は


改正温対法のポイントとは

※この記事は2021年7月16日に公開した記事ですが、文言やデータ、その他の部分も追記・更新して2023年6月30日と2024年1月31日に公開しました。

温対法とは



温対法における温室効果ガスの種類とは



温対法とは、正式名称を地球温暖化対策推進法といい、その名の通り地球温暖化対策を国・地方自治体・事業者・国民が一体となって取り組んでいくために制定された法律です。温室効果ガスの排出量に対する報告義務や排出量抑制等について規定しており 、平成9年に採択された京都議定書を受け、平成10年に成立しました。

温対法は地球温暖化の防止を目的とする日本初の法制度として、国、地方公共団体、事業者、国民すべての主体の役割を明確にし、それぞれの責務を定めています。

事業者の責務には具体的に、「自ら排出する温室効果ガスの排出抑制」「製品改良や国際協力など他者の取り組みへの寄与」「国や自治体の施策への協力」などがあります。

温対法の対象企業に求められる報告義務とは



温室効果ガスには大きく以下6つの種類があります。

・二酸化炭素
・メタン
・一酸化二窒素
・ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
・パーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
・フッ化硫黄

温対法では、この温室効果ガスの種類を「エネルギー起源のCO2」と「エネルギー起源のCO2以外の温室効果ガス」の2つに分けており、それぞれで対象となる条件や罰則の内容が異なります。

エネルギー起源のCO2では、全ての事業所のエネルギー使用量合計が1,500kl/年以上となる「特定事業所排出者」と省エネ法の特定旅客輸送事業者や特定荷主などの「特定輸送排出者」が対象となります。

エネルギー起源のCO2以外の温室効果ガスでは、温室効果ガスの種類ごとに全ての事業所の排出量合計がCO2換算で3,000t以上かつ、事業者全体で常時使用する従業員の数が21人以上という要件をみたす特定事業所排出者を対象とします。

特定事業所排出者は毎年度7月末日までに、特定輸送排出者は毎年度6月末日までに排出量を報告する義務があります。排出量の報告をしない、または虚偽の報告をした場合には20万円以下の過料の罰則が科せられます。

(出典:地球温暖化対策推進法の成立・改正の経緯|環境省)

(出典:温対法|新電力ネット)

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温対法が改正された背景は

改正温対法の目的とは


1998年に成立した温対法は、京都議定書の内容に基づき改正が重ねられ、2021年には7回目の改正がなされました。

この改正は、2020年秋に宣言された、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を基本理念として法に位置付けるものです。

法改正の背景には、
①カーボンニュートラルを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明する自治体の増加
➁ESG金融の進展に伴い「脱炭素経営」に取り組む企業の増加
③脱炭素の取り組みがサプライチェーンを通じ、地域の企業に波及していること
などがあります。

こうした状況を受け、2020年10月から12月に開催された「地球温暖化対策の推進に関する制度検討会」で地球温暖化対策のさらなる推進に向けた今後の方向性について取りまとめられ、改正される運びとなりました。

関連コラムはこちら
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ニューノーマルに対応した環境経営を行うための6つのポイント

(出典:地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について|環境省)

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温対法と省エネ法の違いとは

温対法とやや似ている法律に、かつて「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の名称だった、いわゆる省エネ法があります。省エネ法にも温室効果ガス排出量の報告義務があるものの、目的や対象などが異なっています。

目的は、エネルギーを効率的に活用することです。エネルギーを使用する全ての事業者に対して、努力義務が設けられています。

省エネ法も2023年4月に改正されています。名称が「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に変わりました。省エネの取り組みを進めることに加えて、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換を図ることを新たに盛り込んでいます。

改正温対法のポイントとは



改正温対法の再エネ促進区域は排出係数ゼロに

では、温対法改正で具体的に何が変わったのでしょうか。3つのポイントについてそれぞれ解説いたします。

まず、大きなポイントとして挙げられるのが、先に述べた「パリ協定」の目標や「2050年カーボンニュートラル宣言」が基本理念として法に明確に位置付けられたことです。

地球温暖化対策に関する長期的な方向性が法律上に明記されたことで、国の政策の継続性・予見可能性が高まるとともに、自治体や事業者もより確信をもって地球温暖化対策の取り組みを加速できるようになります。

また、関係者を規定する条文の文頭に「国民」が位置付けられました。

これは前例のない規定であり、カーボンニュートラルの実現には国民の理解や協力が不可欠であることを示しています。

次に挙げられるのが、地方創生につながる再エネ導入促進のため、地域の再エネを活用した脱炭素化を目指すための再エネ活用事業の計画・認定制度が創設されたことです。

現在、「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明した自治体は、408自治体(40都道府県、243市、7特別区、98町、20村)に上り、それぞれ取り組みを進めています。

しかし、カーボンニュートラルの実現に重要な再生可能エネルギー事業に関しては、地域によってトラブルが発生することもあり、地域における合意形成が課題となっています。

法改正によって、地域課題の解決に貢献する再エネ活用事業については、自治体が積極的に再生可能エネルギー活用事業に関与し、地域内での円滑な合意形成を図りやすい基盤を整えています。

企業の排出量情報を改正温対法でオープンデータ化


最後のポイントが企業の排出量情報のオープンデータ化です。温対法では、一定以上の温室効果ガスを排出する事業者に対して排出量を国に報告させる制度があります。このデータは国がとりまとめ公表していますが、今回この報告を原則デジタル化することで、利便性向上を図る目的があります。

また、開示請求を不要とすること、公表までの期間を以前の「2年」から「1年未満」に変更しています。

これにより、企業の排出量情報が広く活用されるようになる基盤を整え、企業の脱炭素への前向きな取り組みが評価されやすい環境を作ります。

更にこの改正で、ESG投資が一層活発になることも期待されています。

関連コラムはこちら
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(出典:改正地球温暖化対策推進法 成立|環境省 脱炭素ポータル)

(出典:わかりやすい法案説明スライド(温対法)|環境省)


温対法が改正されたことにより各自治体の動きも活発化し国民の関心も高まることから、企業に求められる取り組みもより高度なものになることが予想され、投資機会も今後変化していくと思われます。 これからの企業活動を見直すきっかけになれば幸いです。

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