【2021年6月施行】改正競争力強化法その中身とは?グリーン社会への転換に関連する支援策について詳しくご紹介します。

2021年08月31日

2021年6月に施行されたばかりの改正競争力強化法。今回の改正では、新型コロナウイルス、人口減少、環境問題などこれからの日本が抱える新しい課題に対応する様々な取組、支援策が追加されました。本コラムでは産業競争力強化法、強いてはグリーン社会への転換に関連する新たな取組について詳しくご紹介します。

【目次】

産業競争力強化法とは

産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の概要


■改正5つの取組


グリーン社会への転換


■カーボンニュートラルに向けた投資促進税制


■カーボンニュートラル実現に向けたトランジション推進のための金融支援


まとめ

産業競争力強化法とは


産業競争力強化法とは、弱体化した日本の産業競争力を強化し、日本経済の再興を目的とした法律で、大きく以下4つの項目から成り立っています。


・実行体制の確立
・規制改革の推進
・産業の新陳代謝の促進を図るための措置
・中小企業の活力再生


産業競争力強化法について詳しくはこちら
1から分かる産業競争力強化法:4つの基盤とその目的

産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の概要


2021年6月、この産業競争力強化法の一部を改正する法律が施行されました。
今回の改正によって変更される法律は以下の通りです。

① 産業競争力強化法
② 中小企業等経営強化法
③ 地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律
④ 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律
⑤ 下請中小企業振興法
⑥ 独立行政法人中小企業基盤整備機構法

改正の背景・目的には、新型コロナウイルス感染症の影響、急激な人口減少等の短期及び中長期の経済社会情勢の変化に対応するために、古い社会システムからの脱却、「新たな日常」に向けた取組を先取りし、長期視点に立った企業の変革を後押しすることがあります。

(出典:ニュースリリース|経済産業省)

■改正5つの取組


改正競争力強化法では、ポストコロナにおける成長の源泉となる以下5つの取組を促進するための措置を講じるとしています。

① 「グリーン社会」への転換:カーボンニュートラルに実現に向けた税制・金融支援
② 「デジタル化」への対応:ウィズ・ポストコロナ時代を見据えたデジタル技術を活用した企業変革(デジタルトランスフォーメーション)の促進
③ 「新たな日常」に向けた事業再構築:カーボンニュートラル、DX、事業再編構築等に取り組む企業に向けて「繰越欠損金の控除上限」の特例
④ 中小企業の足腰の強化:中堅企業、海外で競争できる企業を育成するための支援施策
⑤ 「新たな日常」に向けた事業環境の整備:バーチャルオンリー株主総会の実現、ベンチャー企業の成長支援、事業再生の円滑化等

今回は、産業競争力強化法に関連する「グリーン社会への転換」にフォーカスをあて、詳しくご紹介します。

(出典:産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の概要|経済産業省)



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グリーン社会への転換


世界では、124以上の国と地域※が2050年までのカーボンニュートラルを実現すると表明しています。日本も2050年までの実現を宣言しており、それに向けて様々な取組を進めています。 そのうちの一つが「グリーン社会への転換」です。
では具体的にどういった内容なのでしょうか。それには

・設備投資促進税制
・金融支援

の2つがあります。詳しく見ていきましょう。

※2021年1月20日時点

■カーボンニュートラルに向けた投資促進税制


2050年カーボンニュートラルの実現には、民間企業による脱炭素化投資の加速が必要不可欠です。
そこで、事業者のカーボンニュートラル実現に向けた計画を産業競争力強化法の計画認定制度に基づき、

①大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備
②生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備の導入

に対して、最大10%の税額控除又は50%の特別償却を新たに措置※することとしました。

※措置対象となる投資額は500億円まで。控除税額は、後述のDX投資促進税制と合計で法人税額の20%まで
※適用期限:令和5年度末まで

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(出典:「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の制度概要|経済産業省)

■カーボンニュートラル実現に向けたトランジション推進のための金融支援


2050年のカーボンニュートラル実現に向けて着実にCO2を削減するための取組(トランジション)を進めるためには、
長期的な目標を立て、それに沿って一貫した取組を行うことが重要です。
ところが日本では一般的に3~5年ほどの短中期での経営計画に基づき事業を進めることが多く、長期での取組を計画的に進めることはあまり一般的ではありませんでした。

そのため、本制度では、カーボンニュートラルの実現に向けた野心的な目標を掲げ、10年以上の計画を策定し、事業所菅大臣の認定を受けた事業者に対し、ツーステップローン及び成果連動型利子補給制度の措置を講じることで、事業者による長期間にわたるトランジション(移行)の取組を推進するとしています。

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ツーステップローンとは、2つ以上の金融機関を通じて特定の企業・事業者に対し一定の政策実施のための必要な資金を供与する仕組みです。
ここでいうと、事業適応計画の認定を受けた事業者は、国から融資を受ける間に、日本政策金融金庫と指定の金融金庫を経由し結果的に指定の金融機関から貸付をうけられます。
融資期間は5年以上で、金額規模は50億円以上にのぼります。

ツーステップローンによって、多数の最終受益者に資金を供与できるとともに、金融機関を仲介することで、その金融機関の能力強化や金融セクター開発を支援することができます。

成果連動型利子補給制度とは、KPIを達成した場合に利下げを行う成果連動型の利子補給制度です。
実際にこの制度を使用し利子補給を受ける場合には、計画期間終了時に達成を目指す目標に加え、計画達成のマイルストーンとなる期中目標を、3回以上設けることが求められます。

計画認定を受けた事業者に対しては、0.1%幅の利下げを実施し(最初の期中目標まで)、その上で、計画期間において、あらかじめマイルストーンとして定める期中目標を達成できた場合には、最大0.2%幅までの利下げを行います。

※イメージ図

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また、金融支援を受ける場合、作成する計画は以下の要件を満たす必要があります。

①野心的な目標が設定されているか
②トランジション戦略が妥当なものか
③モニタリング・レポーティングが適切に実施されるかどうか
(ツーステップローンのみを受ける場合には満たす必要はない)
④競争力の強化が見込まれるかどうか

事業所管大臣は上記要件が満たされていることを前提に事業計画を認定しますが、①~③に関しては、マーケットでの評価と連動する仕組みとするために、「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針※」及び「サステナビリティ・リンク・ローン原則※」に適合しているかについて、外部評価機関による認証を求めます。

また、外部評価機関については、これまでの実績や業務の実施体制、評価プロセスなどの観点から、経産省が審査を行い、あらかじめ指定・公表します。

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※クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針

※サステナビリティ・リンク・ローン原則

(出典:「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の制度概要|経済産業省)

まとめ


いかがでしたでしょうか。
低迷した日本の経済再興のために誕生した産業競争力強化法ですが、いまや日本が抱える問題は経済だけでなく環境・人口・新型ウイルスなど多岐に渡ります。
今回の改正は、新たな時代への変革を目指すべく、未来に向けた先進的な取り組みや、新たな挑戦を行う企業への支援策が充実しています。

変化の目まぐるしい企業社会で自社が成長し続けるためにも、これらの支援制度をうまく活用してみてはいかがでしょうか。

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