【4ステップ】中小企業が脱炭素経営を行うポイント

2021年11月19日

世界的な脱炭素の潮流の中、グローバル企業や大企業だけではなく、中小企業にも脱炭素経営が求められつつあります。そもそもなぜ中小企業も脱炭素に取り組む必要があるのか、脱炭素経営に取り組むメリット、実際に脱炭素経営に取り組むための具体的な手順を4つのステップ別にご紹介します。

【目次】

なぜ中小企業も脱炭素経営が必要なのか?


■理由①:パリ協定

■理由②:ESG投融資の拡大

■理由③:サプライチェーン全体の脱炭素化


中小企業が脱炭素経営に取り組むメリット


■優位性の構築


■光熱費・燃料費の低減


■認知度の向上

■社員のモチベーション向上・新しい人材の獲得

■新規ビジネスの創出に向けた資金調達に有利に働く


企業の脱炭素に関する取組状況

中小企業が脱炭素経営に取り組む際のポイント

■基本的な考え方

■具体的な計画策定の検討手順4STEP


まとめ

なぜ中小企業も脱炭素経営が必要なのか?


中小企業にも脱炭素が求められている背景には様々な理由がありますが、ここでは「パリ協定」「ESG投資の拡大」「サプライチェーン全体の脱炭素化」の3つを挙げたいと思います。

■理由①:パリ協定

パリ協定は、2016年に発効された2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。産業革命後の気温上昇を、2度を十分に下回るように抑え、1.5度までに制限する努力を追求することを目標として掲げており、日本を含む190以上の国と地域が締結・参加しています。最近では離脱していたアメリカが、政権交代によって2021年2月に正式に復帰したことでも話題となりました。
パリ協定以降、今までの温室効果ガスの排出量を抑える「低炭素化」から、温室効果ガス排出量ゼロを目指す「脱炭素化」へ世界的に潮流が変わったことで、脱炭素の流れが一気に加速しました。

また、日本は2020年10月に当時の首相だった菅総理が、日本の温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする、脱炭素社会の実現を宣言しました。
これにより、企業にも脱炭素を取り入れた事業運営が求められるようになり、大企業のみならず日本企業の大多数を占める中小企業にも取組が求められています。

パリ協定について詳しくはこちら

パリ協定とは?今さら聞けない基本的な考え方や国内の取り組み、ビジネスとの関係をご紹介します。

(出典:脱炭素社会に向けた潮流と企業・地域の価値向上について|環境省)

(出典:ビジネス短信:JETRO)

■理由②:ESG投融資の拡大

取り組むべきは、自社だけに限りません。企業を取り巻く多くのステークホルダーもまた、脱炭素や気候変動に強い関心を示しています。
ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。
企業にとって、投資家は大きな影響力がありますが、投資家もまた自分の投資する企業が脱炭素に取り組んでいるかどうかは今後投資を続けていくかどうかの判断材料として重要視しています。
実際、投資家に対してESG 情報を考慮した投資行動を求める PRI へ署名する投資家・金融機関は2021年現在で3,826にのぼります。2006 年の発足から、60倍以上も拡大しており、ESG投資も今後一層の拡大が予測されています。

また近年、金融業界においても環境への取組を重視する動きが増しており、それに伴い融資先の企業に対してESG要因を考慮し、情報開示を求めるケースが増えています。
金融機関の中には自社でESGやSDGs経営を掲げている場合もあり、企業へ融資する際に、その企業が非上場の中小企業であった場合も情報開示を求める可能性があります。影響の大きさはまだ限定的とはいえ、将来ESG考慮がなされていなかったり、取組自体が不十分な企業は、中小企業も含め長期的な銀行融資を受けにくくなる可能性も無いとは言えません。

この流れは、地域金融機関でも加速しています。
2019年に環境省で行われた「ESG地域金融の先行事例調査に関する検討会」では、地域金融機関はESG要素を考慮して取引先を支援し、事業価値向上や地域活性化を図ることが提言され、ESG地域金融の普及を促進しています。

ESG地域金融は、ESG要素を考慮した「案件組成」「評価」「モニタリング」を通じて、地域の核として地域の持続可能性の向上に資するESG地域金融の実践が期待されているようです。

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(出典:PRI Association)

(出典:事例から学ぶESG地域金融のあり方-ESG地域金融の普及に向けて-|環境省)

■理由③:サプライチェーン全体の脱炭素化

先ほどのステークホルダーの関心に付随して、自社だけでなく、サプライチェーンにも脱炭素を求める動きがグローバル企業を中心に増えています。なかには、再エネ利用や環境に配慮した事業運営を取引条件の一つにする企業もあり、取引を続けるために脱炭素への取り組みが必要になります。
例えばApple(米)は、サプライヤーも含めて再エネ100%の製造を目指しており、サプライヤーである日本企業はCO₂排出量の大幅削減を宣言しています。
近年は、グローバル企業のみならず、日本企業でもこの動きは活発化しており、大企業だけでなく中小企業も含めいち早く対応することで、競争力の強化に繋がります。

 

(出典:脱炭素社会に向けた潮流と企業・地域の価値向上について|環境省)

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中小企業が脱炭素経営に取り組むメリット


中小企業が脱炭素経営を行うメリットには、以下のようなものがあります。

■優位性の構築


SBTやRE100加盟企業など、環境意識の高い企業を中心に、サプライヤーに対して排出量の削減を求める傾向が強まりつつあります。脱炭素経営を実践することで、このような企業に対する訴求力に繋がり、自社の競争力強化、売上の拡大に繋がります。

※イメージ
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■光熱費・燃料費の低減


脱炭素経営を行う上で必要なのが、エネルギーを多く消費する非効率なプロセスの見直しと設備の更新です。国内の中小企業の事例では、省エネ推進等を行う財団法人が実施している無料の省エネ診断や国の補助金などを活用して、省エネ設備を導入した結果、光熱費・燃料費の低減に成功した事例もあり、一般的には費用が高くなると思われがちな再エネ電力の調達についても、大きな負担なく実施しているケースもあります。

■認知度の向上

省エネに取り組み、大幅な温室効果ガス排出量削減を達成した企業や再エネ導入を先駆的に進めた企業は、メディアへの掲載や国・自治体からの表彰対象となることがあります。
このような活用を通じて外部への露出を積み上げることで、自社の知名度・認知度の向上に繋がります。
また、大幅な省エネ対策の実施によって光熱費を大幅に削減できたことにより、利益を出しにくい多品種少量生産の製品であっても積極的に生産・拡販できるようになり、副次効果として顧客層への浸透が期待されるケースもあります。

■社員のモチベーション向上・新しい人材の獲得

気候変動などの社会課題解決に対して取り組む姿勢を示すことで、社員の共感や信頼を獲得し、しいては社員のモチベーション向上に繋がります。また、脱炭素経営に向けた取組は、気候変動問題への関心の高い人材から共感・評価され、「この会社で働きたい」と意欲を持った人材を集める効果が期待されます。

■新規ビジネスの創出に向けた資金調達に有利に働く

各金融機関では、融資先の選定基準に地球温暖化への取組状況を加味し、脱炭素経営を進める企業への融資条件を優遇する取組が行われています。
実際、温室効果ガス排出量の削減や再生可能エネルギーの生産量または使用量等に関する目標の達成状況に応じて貸出金利が変動するローンのプランを提供している銀行もあります。

(出典:中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック|環境省)

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企業の脱炭素に関する取組状況


中小企業が脱炭素経営に取り組むべき理由の一つで上げたESG投資では、PRIに署名する投資家の数が増えているという話をしましたが、このPRIは、CDP(投資家向けに企業の環境情報の提供を行うことを目的とした国際的なNGO)が公開しているレポートなどを参考に投資を行っています。CDPは、企業の気候変動、⽔、森林に関する世界最⼤の情報開⽰プログラムを運営する英国で設⽴された国際NGOです。SBTやその他分析情報に関して世界9,600社のデータを有しており、ESG投資における基礎データとしての地位を確⽴していると言われています。CDPレポートは、SBTやその他の分析情報を参考に作成されています。

つまり、PRIに署名している機関からのESG投資を受け続けるためには、企業は最低限SBT等の評価項目に含まれる取り組みを行い、CDPレポートでの評価を下げないようにすることが重要になります。

また、SBTの他にも気候変動に関する企業の対応について情報開示を促すTCFDや、将来的なゼロカーボングリッドを推進するRE100等、企業が脱炭素経営に取り組むうえで活用できるイニシアティブは多く存在します。

それでは、TCFD・SBT・RE100に取り組む日本企業はどのくらいいるのでしょうか。

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ご覧の通り、TCFDへの賛同を表明している日本企業数は世界第1位、SBT・RE100に認定・参加している日本企業はアジア第1位と世界トップクラスとなっています。

こうした企業の取組は、自らの企業価値の向上につながることが期待できるほか、気候変動の影響がますます顕在化しつつあるビジネス業界において、先んじて脱炭素経営の取組を進めることにより、他者と差別化を図ることができ、新たな取引先やビジネスチャンスの獲得に繋がります。

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(出典:企業の脱炭素経営への取組状況|環境省)

(出典:多様化するESG情報開示基準等の果たす役割と課題|ニッセイアセットマネジメント)

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中小企業が脱炭素経営に取り組む際のポイント


では、実際に中小企業が脱炭素経営に取り組むには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。ここでは、環境省が発行している「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック」を参照しながら、基本的な考え方と具体的な計画に落とし込むための4つのステップをご紹介します。

■基本的な考え方


中小企業が脱炭素経営に取り組む際の基本的な考え方として、「温室効果ガス大幅削減」が挙げられます。ここについて環境省では以下3つの方向性を挙げています。

① 可能な限り、エネルギー消費量を削減する(省エネを進める)

例)高効率の照明・空調・熱源機器の利用等

 

② エネルギーの低炭素化を進める

例)太陽光・風力・バイオマス等の再エネ発電設備の利用、CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)付き火力発電の利用、太陽熱温水器・バイオマスボイラーの利用等

 

③ 電化を促進する(熱より電力の方が低炭素化しやすいため)

例)電気自動車の利用、暖房・給湯のヒートポンプ利用等

これら3つの方向性を具体的な計画に落とし込むためには、単純に運用改善等の省エネ対策を行うだけでは難しく、再エネ電気やバイオマス、水素といった温室効果ガス排出の少ないエネルギーを利用できる可能性を模索する必要があります。

■具体的な計画策定の検討手順

ステップ1:長期的なエネルギー転換の方針の検討

ステップ1では、都市ガスや重油などを利用している主要設備がないかを振り返り、これらを電化・バイオマス・水素等へ燃料転換する等、長期的なエネルギー転換の方針を検討します。

 

ステップ2:短中期的な省エネ対策の洗い出し

ステップ2では、ステップ1で検討したエネルギー転換の方針を前提に、これを補完する形で省エネ対策を検討します。ここまでのステップを通じて、自社の温室効果ガス削減余地を概ね把握することができます。

 

ステップ3:再生可能エネルギー電気の調達手段の検討

ステップ3では、温室効果ガス削減目標の達成に向けた再エネ電気調達の必要量を明確にするとともに、自社に適した再エネ電気の調達手段を検討します。

 

ステップ4:削減対策の精査と計画へのとりまとめ

最後のステップ4では、対策の実施に必要な投資額がキャッシュフローに及ぼす影響を分析し、最終的に実施する削減対策を精査し、削減計画としてとりまとめます。

(出典:中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック|環境省)

まとめ


いかがでしたでしょうか。
中小企業が脱炭素経営に取り組むべき理由として、
① パリ協定によって世界の脱炭素の流れが加速したこと
PRI署名数の増加などから見られるように、ESG投資が主流になりつつある中、SBTやRE100等何らかの対策を先んじて打つことがビジネスを続ける上で重要になっていること
③ サプライチェーン全体でも脱炭素が求められていること
を挙げました。

また、脱炭素経営に取り組む上での基本的な考え方と具体的な検討手順をステップ別にご紹介しました。

中小企業の脱炭素の取組はまだ先だという考えもあるかもしれませんが、そうしている間にも気候変動は進んでおり、それに伴うリスクも増えています。
すぐにでも取り組めることはたくさんありますので、興味を持っていただいた方は是非詳しく調べてみてください。

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